ありふれた日常、そして出会い
遅くなってすいません
ギリギリセーフ…?
日常回です!
イチノが元に戻ってから数十分位経った
リュウセイはイチノと一緒にいるのがだんだん気まずくなる
(危なかったとはいえあんなこと急にしたらダメだったな、反省し……ないです)
内心ではそう思っているが気まずいというのは本当だ、イチノは元に戻っても1人でずっとボソボソ喋っている
流石に罪悪感が勝ったのかリュウセイはイチノの気を紛らわせようとした
「お、お〜いイチノさん ? そろそろ口聞いてくれない ?」
「責任……子ども……どうしよう」
「…… !?」
イチノは真っ赤な顔でポツリとそうつぶやくとリュウセイは驚いた顔をしながら質問をする
「い、イチノまさかキスで赤ちゃんができるなんて思ってないよね ?」
「……」
無言、そしてだんだんとあたりが寒くなっていくのをリュウセイは感じ取った
「あ、あれ ? イチノさん ? まさかできると思ってたの !?」
どうか違いますように、神にもすがる思いが込められている、最近までその神に復讐しようとしていたリュウセイが、だ
「わ、悪いか ! 魔物を倒すためとはいえあんなことを急に……せ、責任は取ってもらうぞ !」
イチノは元に戻った顔を再び赤く染めながらそう言うと街に戻ろうとしていた
「早く街に戻るぞ ! やらなきゃいけないことも大量にあるんだからな……」
リュウセイはカルガモの赤ちゃんのようにイチノの後ろについて行った
街に戻っている間もずっと無言で気まずそうな顔をしている2人
そんな中リュウセイは沈黙に耐えきれずある提案をする
「そ、そうだ ! 冒険者ギルドにクエスト達成の報告とついでにゴブリンアビスの事について報告しに行きたいからついてきてくれないか ?」
「……わかった」
イチノは一言、そうリュウセイに告げると冒険者ギルドへ向かった
冒険者ギルドに着くとそこはいつも通り騒がしい
やれある国のお姫様が逃げ出しただのあの女冒険者が可愛いなどギルドはそんなたわいのない話で騒がしかった
リュウセイはある国のお姫様が逃げ出した事についてとても気にはなっていた
お姫様キャラはギャルゲーの中でも一番好きなヒロイン
その逃げ出したお姫様の情報をあとで聞きに行こうなどと思いながら受付へ向かう
「あの〜、クエスト達成しましたこれ、ゴブリンの魔心です」
そう言うと袋の中からゴブリンの魔心を取り出し受付に置くと受付のお姉さんは驚いた顔をしていた
「本当に討伐したんですね ! おめでとうございます ! Eランクに昇格です」
「それと、アルト草原にゴブリンアビス ? が居たんですけど……」
ゴブリンアビスと聞いた途端お姉さんの顔は一瞬険しい顔になった
「それは本当ですか !? もし本当なら大変です ! ゴブリンアビスはBランクの冒険者がやっと倒せるレベルの魔物です ! まだアルト草原にいましたか ?」
険しい顔をしていたと思えば次は焦ったような驚いたような顔で怒涛の質問攻めをしてくる、普通の攻めならリュウセイにとって大好物だかこの攻めは違う
「い、いや信じてもらえないかもしれませんが僕とこの子で倒しました」
お姉さんは口をポカンと開けて2人のことを見ていた
それもそのはず片方はFランクでもう片方はEランクしかも女の子だ
「えっ ?」
倒せるはずがないと思っているのだろうか2人のことをじっと見つめていた
「これ、証拠になるかわからないですけど……」
リュウセイは自分が切ったゴブリンアビスの腕の骨の一部を受付に置くと受付のお姉さんの顔が硬直する
「……」
(阿修羅像……)
リュウセイはまた失礼な事を考えていると急にイチノに殴られる
「急に何すんだよ !」
「女の勘ってやつ ?」
横暴な……、しかしこの勘が当たっていたのでリュウセイは責める事はできなかった
(なんだこいつ僕の考えている事分かったのかよ……)
リュウセイも内心驚いていると固まったはずのお姉さんがついに動き出した
「ど、どうやら本当のようですね少々お待ちください、ゴブリンアビスの討伐報酬金を支払います」
そう言ってお姉さんが渡して来た額はとんでもない金額だった
「こ、こんなに受け取れません」
「ギルド長の命令ですから……」
ギルド長の命令なら仕方ない、これは受け取らないとダメだ、内心ではガッツポーズをとるリュウセイだ
仕方なくイチノに半分渡そうとしてもそれもイチノに断られる
「イチノがいなかったら勝てなかったから……」
なんとか説得して3分の1を渡すとイチノは不服そうに礼を言う
「あ、受付のお姉さん、あなたの名前教えてください」
リュウセイは急に思いついたかのように質問すると受付のお姉さんはいつも通りの笑顔で答えてくれる
「私の名前はマタイです、よろしくお願いします」
お姉さんの名前を知ることができたリュウセイはイチノを宿まで送るために満足そうに冒険者ギルドを出た
その頃アルト草原では1人の女性がゴブリンアビスの居たはずの場所にいる
「あらあら、私の可愛い魔物がやられていますわ〜それも跡形もなく溶けていますわねこの様な事が出来る冒険者がこの街にいますなんて……」
一見優しそうな外見の女性は見た目とは裏腹に怖い事を言っていた
リュウセイは寒気を感じてくしゃみをする
「だ、大丈夫か ? リュウセイ」
「ん、ああ、大丈夫だ、問題ない」
そんなやりとりを続けているうちにイチノ達が宿泊している宿に着いた
「さぁ、入ってくれ」
部屋を開けるとちっちゃい女の子、ラルフが急ぎ足で出迎えてくれる
「い、イチノ ! あんたボロボロじゃない大丈夫なの !? あっ、変態もいるのね……」
ラルフが慌てふためきイチノに問い詰めるとイチノはどこか嬉しそうに答える
「ラルフ様、大丈夫ですよリュウセイに助けてもらいました」
「そう……変態に……」
ラルフは納得しなさそうな声でそう言うとリュウセイは口をハァハァさせた
そんな姿を見てラルフは冷ややかな視線を送るといつものやりとりをしていた
「と言うわけですラルフ様」
「少し待ってて、回復魔法をかけるわね」
イチノはラルフに事情を説明するとラルフはイチノに回復魔法をかけようとする
「『外傷回復』」
次の瞬間イチノの体はまばゆい光に包まれるとすぐに傷が消えていった
「おー !」
リュウセイはこの世界に来て初めて魔法が見る事が出来て興奮しているとラルフは杖をこちらに向けてきた
「え ?」
攻撃されるのか ? 何かしたっけ ? など考えているとイチノと同じように体が光りに包まれる
「まぁ、あなたがイチノを救ってくれたわけですから一応感謝の印よ」
「あ、ありがとう」
そんな化け物じみた事が出来るラルフのことが気になりリュウセイは「愛眼lv2」でラルフのステータスを除く事にした
名前:ラルフ・アラクネ
レベル:12
ランク:なし
体力:100
物理的攻撃力:10
物理的防御力:150
特殊攻撃力:1500
特殊防御力:700
固有能力:???、???
スキル:「回復魔法lv2」、「炎系魔法lv1」、「氷系魔法lv3」、「水系魔法lv2」「闇魔法lvMAX」、「詠唱破棄」、「特殊攻撃力強化lv2」
魔能力:???
好感度:???
適正職:???
リュウセイはラルフの事がとても気になっていた
好感度も適正職もほとんどが謎に包まれている、そのうえスキルが見ただけでわかるほどに強い
(こいつは一体何者なんだ ? )
「お、おいリュウセイ、おまえに礼がしたい、貸しを作るのはいやだからななんでもするぞ」
「えっ……今なんでもって言ったよね ?」
主人公とは思えないほどのゲスい顔をしてイチノの方によるとアワアワしていた
「っ、できる範囲でなんでもする、おおまえが望むならそういうことも……」
(えっ、まじで ? じゃああんなことやこんな事……出来る勇気がねえよ !)
「じゃあ明日この街の案内をお願いするよ、それとこの世界のことについても教えてくれ」
「へ ?」
イチノはまさかそんな普通の事を頼まれるとは思っていなかったのかびっくりしたように一言「わかった」と告げると顔が真っ赤になっていた
リュウセイはイチノ達に自分の止まっている宿を教えるとその日はもう帰る事にした
帰っている途中にラルフの事について考えていたが考えることがバカらしくなりやめた
宿に着くとダビが元気よく絡んで来たがこちらの様子を察したのかすぐにやめると夕飯が運ばれる
「なんかあったのか ?」
「ちょっとな」
リュウセイはダビに今日の出来事を話すとダビは感心したように
「坊主、やるじゃねえか !」
労いの言葉、その言葉はどんな回復魔法よりもリュウセイの心を癒してくれた
リュウセイが今日はもう寝ると言ってダビを部屋から追い出すとベットで一言呟く
「ラルフ・アラクネ……」
アラクネ、この言葉の意味をリュウセイはまだ知らない
次の日の朝、ダビが運んで来てくれた朝食をとるとリュウセイはイチノ達と合流する
「おはよう、イチノ、ラルフ」
「あぁ、おはようリュウセイ」
「おはよう、変態」
やはり変態呼びは変わらないようだ
まずリュウセイはこの世界の事について聞くとその事にはイチノが答えてくれた
「ん〜、どこから話したものかとりあえずこの世界の種族について話そう」
一通り聞き終わると要はこの世界には大きく分けて3つの種族がいるとのこと
一つはラルフ達「人間族」
一つは人間族と対になる存在「魔族」
一つはどちらにも属すことのない「獣人族」
「ケモミミ……」
あとは天災と呼ばれる「神族」や滅んだとされる「翼人族」についても喋ってはいたが頭の中がケモミミっ子でいっぱいなリュウセイは片隅に入れておく程度にしか聞いてはいなかった
次は街の案内を頼むとどうやらこの街は3つに大きく分かれている
商業区と観光区、そしてギルド区だ
リュウセイはイチノとラルフに商業区の鍛治エリアに案内してもらう
鍛治エリアに行くまでイチノ達はリュウセイの元いた世界の話を面白半分で聞いていた
「そうか、一度は行って見たいものだなリュウセイの住んでいたとされる元の世界に」
来れるものなら是非きて欲しい、そしてリュウセイをバカにしていた奴らに見せつけてやりたい……
「そうね、一度は行ってみたいわね変態の世界に、変態がいっぱいいるのかしら…… ?」
そんなこんなで鍛治エリアに着くと一つの店が目についた
やけにボロボロのその店は「マルバス工房」と書いてあり入ろうとするとイチノにやんわりと止められる
「その店はあまり入らない方がいいぞ
どうやら魔族がやってる店みたいだから……」
「そうか」
そんな注意を御構い無しに店に入るとそこには凛々しくてまだ幼い、可愛らしいちっちゃい魔族がいた
この魔族は男の娘だ、元々やっていたギャルゲーによくこういうキャラが出てくるからリュウセイは一目でそう思った
「いらっしゃいまへ、痛っ ! うぅ……噛んじゃった、いらっしゃいませ !」
その元気な声の主は魔族の男の娘だ
だんだんpvが増えて来てブクマも1人できた
やる気が出て来た!!
面白いと思ったら感想やブクマ、評価お願いします
もっともっとやる気が増えます