強敵との遭遇
まだまだ続きます
リュウセイはなんとか残りの水薬草を集め終わった
「ふぅ、やっとおわったか……」
一安心したのか「グゥ〜」と腹の音をリュウセイが漏らす
「思えば異世界に来てからまだ何も食べてないな……腹が、早くギルドへ行こう」
「はぁはぁ、お姉さん、これ……残りの水薬草です」
「はい、確かに受け取りましたよ、報酬金の12000ルドです」
12000ルド、リュウセイにとってそれはどのくらいの金額かわからない、困った顔をしているとお姉さんが説明してくれた
「10000ルドで金貨一枚、1000ルドで銀貨一枚、100ルドで銅貨一枚、1ルドで鉄貨一枚です、だからこの場合金貨一枚と銀貨二枚ですね」
「ありがとうございます ! ついでと言ってはなんですがオススメの宿とかありませんか ?」
この際だ、宿も紹介してもらおうというリュウセイの根端が丸見えだ、お姉さん側もマニュアルか何かあるのかすぐにオススメの宿を教えてくれた
「……こことかどうですか ?」
「ありがとうございます、あ、あと」
「アルト草原」にいる魔物の情報をついでにと聞いた
「生肉ですね〜」
受付のお姉さんから紹介して貰った街の中心部分の宿に向かう途中寄り道をすると生肉を購入する
用事を終わらせて、宿に着いた異世界なら一般的などこにでもありそうな宿
「ここか、大人1人できれば風呂と飯をつけてくれないか ?」
「あいよ !」
気前が良さそうなおっちゃんはリュウセイを部屋に案内してくれるとおっちゃんは直ぐに夕飯を持って来てくれた
「ヘイお待ちどうさま、俺の店、料理には自信があるからな !」
異世界での食事は初めてだからどんな味か好奇心を隠しきれない、食事が運ばれる否やその食事に飢えた犬のように飛びついた
「……うまい ! おっちゃん、ここの飯すごい美味しいよ !」
食事が美味いと伝えるとおっちゃんは恥ずかしそうに眩しいような深い喜びをリュウセイに見せた
「そうかい ! ありがとよ坊主 ! ところで坊主は冒険者かい ?」
「まぁ、そんなところだよ」
異世界から来ました ! なんて言っても信じては貰えないだろう、むしろ言ったところで危ないやつ扱いされるかもしれないそう思い言葉を濁した
「俺も実は昔冒険者だったんだぜ ! 龍頭のダビって聞いたことないか ?」
他の人なら絶句するかもしれないがそんなこと、この世界に来て間もないリュウセイにとって知っているわけがない
「悪いが聞いたことないや……」
「そうかい……まぁそんなことはどうでもいいが、坊主の名前は ?」
「ん、あぁ僕の名前はリュウセイ・スメラギだ、よろしく頼む」
リュウセイは少し緊張しながら手を差し出すとダビも差し出された手を握り返してくれた
異世界初で初の知り合いができたと内心は喜んでいる、がそのことを決して顔に表すことはない
「ところで坊主まだFランクだろ ? ア水薬草を採取して食いつないでるってとこか ?」
「うっ……そうだけどなんだよ」
(こいつなんでわかるんだよ……)
「その顔は図星だな ? まぁ、今日のところは宿代と飯代まけといてやるよ ! 支払いはまとまった金がはいったらでいいぜ」
やっぱりか、と言った態度でダビはリュウセイにそう伝える
「おお ! おっちゃんありがとう !」
この時リュウセイにとってダビは神であるかのように見えていた
「おっちゃんじゃねえよ、ダビって呼んでくれ」
「ダビ、ありがとう僕のこともリュウセイって呼んでくれると助かる」
その日はリュウセイにとって記念日だ、異世界、いや生まれて初めての友達ができた
友達というのに強い憧れを抱いていたリュウセイにとってその日は興奮して眠れない、気づくと外は明るくなっていた
「結局眠れなかった……」
「よお、リュウセイ、昨日はちゃんと眠れたか ?」
ダビが持ってきてくれた朝食をとるとリュウセイは今日も冒険者ギルドへクエストを受けに行った
「水薬草の採取クエスト受けたいんですけど……」
「はい、わかりましたお気をつけて」
受付のお姉さんが笑顔で見送ってくれる、興味本位で「愛眼」を発動して受付のお姉さんのステータスを覗こうとするが急に猛烈な頭痛に襲われて覗くことはできない、また一つ自分の能力についての新事実が発覚した
自分の能力について考えているうちにアルト草原に着くと、今回はすぐに水薬草が集まった
「ふぅ〜、こんなところかそろそろお目当のものを探すとしよう、いやその前に『セーブ』」
セーブをかいた途端に後ろから矢が頭をめがけて飛んでくる急な攻撃に対処できるわけもなく再び目の前が真っ暗になった
「またか……」
目を覚ますと次は後ろから飛んできた矢を冷静に対処することに成功
矢を飛ばしてきた正体はゲームなどでよく見られる緑で小柄のゴブリンと呼ばれる存在だ
ゴブリンは自分の矢が当たらなかったことに目を見開きもう一度矢を飛ばす、しかし当たらない
リュウセイは「愛眼」を発動し、ゴブリンのステータスを確認する
名前:ゴブリン
レベル:5
体力:120
物理的攻撃力:210
物理的防御力:100
特殊的攻撃力:10
特殊的防御力:80
魔能力:なし
スキル:気配削除lv1、気配感知lv1、疾走lv1
好感度:0
そこには見慣れない項目、「スキル」の欄があった、そういえば昨日ダビが少しスキルについて教えてくれたことを思い出した
『いいか坊主、この世には3つの能力があるんだ、一つは魔物のにしか使えない魔能力、もう一つは人間にしか使うことのできない固有能力、そして最後はどちらも使うことのできるスキルだ、覚えておいて損はないぞ』
昨日水薬草のクエストを終えた時にお姉さんに聞いた魔物の好物について教えて貰い、購入した生肉を袋から取り出しゴブリンに投げると夢中で食いついた
すぐに「愛眼」を使って好感度を確認する
名前:ゴブリン
レベル:5
体力:120
物理的攻撃力:210
物理的防御力:100
特殊的攻撃力:10
特殊的防御力:80
魔能力:なし
スキル:気配削除lv1、気配感知lv1、疾走lv1
好感度:35
好感度はあまり変わっていない、まぁいいかと思いながら「絶対信頼」を使うが特に何か起こる様子もなく失敗に終わったのだ
「まじか」
袋からもう一枚の生肉を取り出しゴブリンに渡し、「愛眼」を使う
名前:ゴブリン
レベル:5
体力:120
物理的攻撃力:210
物理的防御力:100
特殊的攻撃力:10
特殊的防御力:80
魔能力:なし
スキル:気配削除lv1、気配感知lv1、疾走lv1
好感度:70
「これならいけるだろう『絶対信頼』」
次は流石に成功した、ゴブリンの体は光に包まれると直ぐにその光はリュウセイに取り込まれていく
「成功したか、念のためステータスを確認しておこう」
名前:リュウセイ・スメラギ
レベル:2
ランク:F
体力:222
物理的攻撃力:312
物理的防御力:241
特殊攻撃力:112
特殊防御力:221
固有能力:「セーブ」、「愛眼」、「絶対信頼」
スキル:気配削除lv1、気配感知lv1、疾走lv1
魔能力:「分解」
適正職:なし
新たにスキルの欄が追加されておりステータスも凄い上昇しているリュウセイ
とてもレベル2の冒険者とのステータスとは思えなかった完全に油断しきっているゴブリンはリュウセイの分解を纏ったただのパンチで一発で上半身が跡形もなく消えた
「いくら強くなるためとはいえ、魔物をなつかせて倒すという行為はさすがにちょっと……」
そんなことを考えているが直ぐにまぁいいかという結論にたどり着きゴブリンの死体を漁る
リュウセイはゴブリンの持っていた弓を回収すると冒険者ギルドへ向かう、「疾走lv1」というスキルを使ったこともあり、すぐにギルドに着いた
「終わりましたよ、水薬草です」
ギルドへ着くとクエスト終了の報告をお姉さんにした時お姉さんは驚いて目を白黒させていた
「あの〜、何かあったんですか ?」
「どうもこうもありませんよ ! あなたの持ってるそれゴブリンの弓ですよね !? ゴブリンはランクFが倒せる魔物じゃありませんよ ! どうやって倒したんですか ?」
お姉さんが驚くのも無理はない、何たって昨日までステータスが最弱だった冒険者が一晩でゴブリンを倒すまで成長したとなると誰でもこうなる
お姉さんの怒涛の質問ラッシュ、リュウセイは面倒臭かったので笑って誤魔化すことにする
「え〜、うん、まぁ、はは」
諦めてくれたのかお姉さんは「はぁ」とため息をもらしゴブリンの弓を買い取ってくれた
報酬金と合わせると42000ルド、少しお金に余裕が出来たから武器屋に行こうと街に向かう途中あるものを見かける
それは見覚えのある黒いポニーテールがチャームポイントのかわいい女の子、イチノだ、イチノはガラの悪そうな男に絡まれていた
「愛眼」でガラの悪そうな男のステータスをのぞいてみると自分よりか数段低かったので「気配削除lv1」を使いで後ろからの不意打ちで倒した
「イチノなんで君は見るたび絡まれているんだ ?」
「う、うるさいあれくらい自分でどうにかできた……ほ、本当だぞ ! !別にありがとうとか思ってないからな ! 」
「こいつもしかしてツンデレか…… ?」
「何か言ったか !? ところでお前はないをしていたんだ ?」
「ちょっと武器屋にな」
自分にあった武器を探しにいくところだと伝えると隠しようのない得意顔をしている
「それなら今泊まらせてもらっている宿に私が使っていたナイフがあるそれをやろう、そしてもう貸し借りは無しだ !」
「お、おうありがとう…… ?」
何でかわからないがリュウセイは礼を言うとイチノに着いていく
「なんだ ? はいらないのか ? 」
いままで女の子の部屋なんて一回も入ったことのないリュウセイはとても緊張している
部屋に入るとリュウセイが一目惚れした美しいピンク色のかかった銀髪ツインテールの持ち主、ラルフがいた
「にゃ、にゃんで変態がここにいるのよ !」
心底嫌そうな顔でリュウセイに向かって罵倒するとイチノは困った顔でラルフに事情を説得した
納得はしてくれたもののラルフは未だに気にくわなさそうな顔でリュウセイを睨んでいた
イチノからナイフを受け取るとリュウセイは一言礼を言いその場を後にしようとした時
「こ、困った事があったらここを訪ねてくるがいいどうせまだ暫くはここにいるのだしな」
イチノが赤く染まった顔でそう言うとリュウセイはポカーンと口を開けしばらく硬直した
「わかった、困ったときは尋ねるよ、今日はありがとう」
一言礼を言うとその日はもう宿に戻りぐっすり睡眠をとった……
朝起きてまた、ダビの作った朝食を食べて冒険者ギルドへ向かうとある一件の討伐クエストが発注されている
「お姉さん、この討伐クエストお願いします」
「本当にいいんですか ? ゴブリン5頭なんてランクEの冒険者がパーティーを組んで討伐するレベルですよ ? 」
「大丈夫だ、問題ない」
そう得意げに告げると「疾走lv1」を使ってアルト草原の中央部まで行きスキルや魔能力を使い4頭のゴブリンを瞬殺する
「ふっ、雑魚め」
「キャーー !」
最後の一匹だというところで聞き覚えのある悲鳴が草原に鳴り響く
悲鳴の聞こえる方向へ行って見ると声の主はイチノだった
イチノを襲っていたのはいままでのゴブリンとは格が違うそのことはリュウセイでもわかった
その正体はゴブリンアビス、普通ならこのあたりに出ないはずのモンスターが1人の少女に襲いかかろうとした時、そこにいたはずの少女がいない
ゴブリンアビスは驚きながらも周囲を警戒していた……
「リュウセイ……」
そんなゴブリンアビスとは裏腹にうっとりした声を漏らすイチノ
修正させていただきました
面白いと思ったらブクマや評価、感想などおまちしています
それ以外でもアドバイスや批判などもお待ちしています
なろう勝手にランキングの方にも登録させていただいていますのでよかったそちらの方にも…