冴えない能力の使い方
能力の説明会です
「はぁ」
悲しそうな目つきで言葉を漏らす
「そういえば、金がない…… ! 」
リュウセイは今一文無しだ異世界に来てからまだ食事も取っていないし、今夜の宿もとってはいない
「これなんかどうですか ?」
そのことを察したのか受付の優しそうなお姉さんは一つのクエストを勧めてくれた
「なになに、水薬草の採取…… ?」
「はい、水薬草の採取です、簡単なクエストですよ」
そのクエストは簡単な採取クエストで回復薬など幅広い目的で使われる水薬草を取って来いとのクエストだそうだ
お姉さんが言うには、基本的に水薬草は水の中に生えており、その周りには基本的に弱い魔物しかいないからランクFにとっての最適なクエストということを教えてくれた
「そういえば、魔物のこととか魔能力のこととか知っていますか ?」
「 ?」
リュウセイの頭には現在進行形で疑問符が浮かんでいる
「魔物には魔能力という人間でいう固有能力みたいなものがあるんですよ、魔能力は非常に強力なものが多いです……」
「へぇ〜、そうなんですか」
リュウセイは全く興味がないというわけではないがあまり興味はないように見える
「ははは、あ、それと水薬草は『アルト』というところに生えていますよ」
(やっと必要な情報をはいてくれたかこのアマ)
この男考えていることが最低だ
「ありがとうございます !」
リュウセイは早速アルトへ向かおうとしていた
アルトで自分のスキルがどんなものか知りたいという好奇心で胸いっぱいになり、その気持ちを隠しきれていなかった
「ステータスが弱くても能力が強かったらプラスマイナスゼロだ !」
そんなことを考えているうちにアルトへ着く
「たぶんこれが水薬草だな……簡単なクエストだったな」
水薬草と思われるものを見つけ、取りに行こうとしたその瞬間
「うわああああああ」
赤色の禍々しい色をしたもの、スライムらしきものが出て来た
リュウセイは自分の固有能力「愛眼」を使ってみるとステータスのような物が見えるようになった
名前:レッドスライム
レベル:2
体力:100
物理的攻撃力:100
物理的防御力:100
特殊攻撃力:100
特殊防御力:100
魔能力:分解
好感度:0
(この「愛眼」という固有能力、相手のステータスを覗くものか ? いやそれだけじゃない、好感度というものが見えるな……)
好感度が何のことかイマイチ理解することができなかったリュウセイは自分の何倍ものステータスに、やばそうな魔能力をみて次の固有能力「セーブ」を発動した
「何も起こらない ?」
……しかし何も起こらず、レッドスライムに攻撃される
その瞬間目の前が真っ暗になり一度心でいるリュウセイにとってそれが死だとすぐに理解できた
「またかよ……ってえ ?」
目に光が取り戻されるとそこは見覚えのある光景だった。目の前にはレッドスライムがいて、その奥に水薬草がある
(この能力はおそらく「セーブ」を使った場面に戻ることができるのだろう……しかし何かしらデメリットがあるはずだ、むやみに使うのはやめておこう、それよりとりあえず逃げよう)
リュウセイは自分でも驚くほどのスピードでその場を去った
アルトを抜けるとレッドスライムは追ってこなくなり安心したようなため息をつき、冒険者ギルドに戻り受付の優しいお姉さんにレッドスライムのことについて聞くと、お姉さんはボロボロのリュウセイを見て
(えっ、こんな雑魚モンスターも倒せなかったの…… ?)という顔をしながらレッドスライムの情報を教えてくれた
「レッドスライムの好物は水薬草です、そして初心者に向いているモンスターですよ」
「あ、ありがとうございます…」
リュウセイの胸には初心者という言葉が突き刺さっていた、それはもう自分は初心者にすらなれていないということだ
その状況はどこからか「お願い、死なないでリュウセイ ! あなたが死んだらこの世界はどうなっちゃうの ? 」と今にも聞こえそうな状態だった
リュウセイはボロボロの体を引きずりながらもう一度アルトへ向かう
レッドスライムがいない場所に生えている水薬草を入手したが、またすぐレッドスライムがあらわれた
リュウセイは固有能力「セーブ」を使い逃げようとするが逃げることはできい
「うわあああああああああ」
今日2度目の死だ
再び目を覚ますと手には水薬草をもって、目の前にはレッドスライムがいた
どうしようか考えているとお姉さんが言っていたことを思い出す
『レッドスライムの好物は水薬草ですよ』
そのことを思い出すと手に持っていた水薬草をレッドスライムに渡してみる……するとレッドスライムのステータスに変化があった
名前:レッドスライム
レベル:2
体力:100
物理的攻撃力:100
物理的防御力:100
特殊攻撃力:100
特殊防御力:100
魔能力:分解
好感度:100
そう、好感度が上がっていたのだ、リュウセイはもう一つの自分の固有能力「絶対信頼」を使ってみる
するとレッドスライムの体が光りだす、その光がリュウセイに取り込まれた、まさかと思い自分のステータスカードを確認する
名前:リュウセイ・スメラギ
レベル:1
ランク:F
体力:101
物理的攻撃力:101
物理的防御力:140
特殊攻撃力:101
特殊防御力:101
固有能力:「セーブ」、「愛眼」、「絶対信頼」
魔能力:「分解」
適正職:なし
(理解したぞ、「絶対信頼」、便利な能力だおそらく相手の能力やステータスを自分のものに出来るのだろう……)
ステータスカードを見てみると自分のステータスとレッドスライムのステータスが足されている
魔物の特有の魔能力もつかえるらしい
そのことがわかるとリュウセイは必死に水薬草を集めレッドスライムを探した
「これを続ければスライムだけで最強になれるんじゃないか ?」
レッドスライムを見つけると、水薬草を渡して、好感度の上昇を狙ってみると
名前:レッドスライム
レベル:3
体力:120
物理的攻撃力:120
物理的防御力:120
特殊攻撃力:120
特殊防御力:120
魔能力:「分解」
好感度:10
好感度が10、さっきのレッドスライムは一回で100まで上ったのに、と思うとリュウセイはまぁいいかといった感じで「絶対信頼」を発動した
……何も起こらない、10ではダメだということだろうか ?
など思い残りの水薬草を全て渡すと好感度が50まで上がる、これならいけるだろうと「絶対信頼」を発動してみるが……結果から言うとダメだった
自分よりステータスが高くて危ない、そう思いその場から一目散に逃げだすリュウセイ
残りの水薬草を採取し、「テブル」に帰っている途中、レッドスライムがあらわれた
「またかよ……」
「愛眼」を使ってステータスを確認してみると、さっきのレッドスライム達とは比べ物にならないほど弱かったまだおそらくまだ子供だろう
(これなら勝てる…… !)
誰が見ても気持ち悪いと思う笑みと無駄にイケメンな顔があわさりさらに気持ち悪い
リュウセイはレッドスライムの子供に「分解」を発動して倒す
リュウセイは自分のステータスカードを確認するが絶望に飲まれる
名前:リュウセイ・スメラギ
レベル:2
ランク:F
体力:102
物理的攻撃力:102
物理的防御力:141
特殊攻撃力:102
特殊防御力:141
固有能力:「セーブ」、「愛眼」、「絶対信頼」
魔能力:「分解」
適正職:なし
レベルが1上がっていたのだ、しかしステータスの上昇は本当に微々たるものでリュウセイは絶望する
「テブル」へ向かい冒険者ギルドに水薬草を渡しにいくと受付のお姉さんが困った顔をする
「1個じゃ足りませんよ……あと9個必要なんです……」
「……はぁぁぁぁぁぁ ?」
リュウセイは面倒臭そうにもう一度水薬草を「アルト」まで集めに向かうとそこには……
ここら辺からだんだんとチートでテンプレ存在になるのであった…
だいぶ修正しました
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今日はもう1話投稿できるかもです