最悪で最高な1日
これからよろしくお願いします
月の光が2人を照らすように夜の闇の中で輝いている
しばらく沈黙が2人を纏うように漂っている中、沈黙に耐えきれなくなったのか艶っぽい唇が開いた
「何か喋りなさいよ」
その一言が辺りの沈黙を切り裂きそれに続くかのようにイケメン風の男が口を開いた
「ご、ごめん、こんなところに呼び出して」
「早く要件話して」
艶っぽい唇の持ち主はどこか焦ったような口ぶりで言葉を発している。
ピンクのかかった銀色の美しい髪の持ち主の名はラルフ。
少なくとも本人はそう名乗っている、頭のサイドで二つのリボンで結ばれるどこか幼くとも感じる髪型彼女の言動はどこか可愛らしさを感じることもある
イケメン風の男はリュウセイは口を開いた
「す、好きです……僕に攻略されてください…… ! 」
リュウセイは唾をごくりと飲みしばらくの間沈黙との格闘を続けていた
「ごめんなさい、今はあなたの気持ちに答えられません……」
この時のラルフが何を考えていたのかなんて俺には全然わからない、いつも以上に
男の恋は儚く散る
この世界に来る前は男は学生をしていた。男の名は皇流星と言うらしいメガネで小太りの見るからにオタクな男であった
そのせいで学校に行ってもクラスの生徒からはイジメられ、しかし学校を休むこともなく毎日重たい足を引っ張りながら学校に通っていた
男が毎日学校に通えるのは生きがいがあるからだ
その生きがいはギャルゲーだ
ある朝、学校にいくと1人のガラの悪そうな男が寄ってきた
「あれ〜、また来たの君?もう来るなって言ったじゃん ? これはお仕置きだね」
( 朝から嫌なやつに会ってしまった、今日の運勢は最悪だ……)
ガラの悪い男はそう言って流星の顔に殴りかかろうとしていた
(あー、また殴られるのか……めんどくさいな)
もう殴られることに何も感じてはいないが、やはり殴られたら痛いとは感じる
ガラの悪い男がまるで追撃するかのように言葉を発した
「てめえ喋れねえのかよ ! 」
流星はついに口を開く
「フヒッ」
その瞬間「パン」と音が鳴り響き、流星は頰を抑えている
「やっぱり痛い……」
( くそっ、もし僕が異世界にでも転生して強い力が手に入ったら真っ先にやってやる)
その日は早退ということにして早足で急ぐかのように自宅に向かった
流星は帰りながらイジメられる理由を考えていた
(それにしてもなんで僕がイジメられるんだ ? 名前か ? 顔に不釣り合いな名前のせいか ? )
思い当たる節がありすぎてわからない理由はおそらく自分がギャルゲーオタクで名前と合わない外見をしているからである
「あーあ、異世界転生してみたいな……」
そんなことを考えているうちに自宅に着いた、そして自分の部屋へと迎いソファに座り、一つのゲームを起動したと同時に心臓は動くことをやめた
( えっ、まじで ? これって異世界転生 ? けどトラックにも引かれてないし、刺されてもいないぞ……)
「うっ、眩しい……」
気づくとそこは真っ暗な部屋に1つの椅子とひとすじの強烈な光が差し込んでいた
その光の中心には神々しいながらも何処か愛らしい女性が立っている、まるで全てを知っているかのように口を開いた
「あなたは選ばれました」
女性が意味のわからないことを言うと流星は驚きを隠せずに焦ったように話した
「は ? 何に選ばれたんだよ ! 早く家に返せよあと1人攻略すれば全クリなんだよ ! ギャルゲーさせてくれよ……」
せめてあのギャルゲーだけ終わらせてから死にたかった、それが流星の今の後悔だ
流星はつい感情的になってしまい叫ぶと女性はすこし困っていた
「あなたには異世界に行って神を倒してもらいます拒否権はありません絶対です。その代わりにあなたにはステータスの再分配権とあなたにあった能力を与えましょう」
( これって異世界転生 ? できることならチート能力持ちで異世界無双したいな)
当然流星はこの女のことをまだ信じていない
もしこれが本当ならば流星にとって願ってもいないチャンスだ
「はぁ ?」
( 何かのドッキリか ? 睡眠薬でも飲まされたんだろう……)
「あ〜、疑ってますね〜 ? いいですいいです証拠を見せてあげましょうとも、行きますよ行きますよ〜」
その瞬間女性は何か唱えながら持っていた杖を地面に叩きつけるとその瞬間
「うっ……首があああああああああああああああああああ !」
ああ、これ全然ドッキリとかじゃないや、なんで1日に二回も死ぬんだよ……やっぱり今日は最悪の日だ
流星の首は虚空を舞う
気がつくとまた暗い部屋に横たわっていた
「……またか」
「理解してくれましたぁ〜 ? 私が神であること、そして異世界に行って神を倒してもらうということが」
男はなぜ僕なんだと心の中で思い、自分のしてきた悪事を懺悔する
(ごめんなさい、ごめんなさい、パンツ盗んでごめんなさい、使用後のパンツをイジメの主犯の机に入れてごめんなさい)
わけのわからないようなことを暫く懺悔している流星
考えている事がわかるのか女性は呆れたような声でステータス再分配権のことを説明してくれた
「ステータス再分配権とはあなたに送られた権利のことです。【容姿】、【知力】、【コミュ力】など様々な力を自分の思う通りに振ることのできる権利です。振ることのできる数値は一個につき100まで振ることができます。ステータスポイントは300あります。ご自由にお降りください」
そんだけステータスの種類あってステータスポイント300は少なくないか ?
「まぁ、とりあえず」
流星は真っ先に【容姿】と【コミュ力】にステータスポイントを100ずつ降ることにした
あとは【知力】に60、【防御力】に40振り、全てを使い切ると女性は平均を教えてくれた。どうやらステータスポイントは50が平均となるらしい
「僕の防御力、平均以下かよ……」
普通異世界に行く時ってチート能力くれるんじゃないの ? いや、ステータスポイントの再分配だけでも十分チートだけどさ……
流星は軽く絶望しながら流すように話を聞いている
「何か質問はありますか ?」
今の流星には、質問している余裕なんて絶対にない
女性が呆れたかのように転生の呪文を唱え終えると流星の周りには光が振りかざされた。流星は考えることをやめ、1つの質問を女性にする
もういいや、異世界では自分の好きなことを好きなだけやろう
「あなたの名前が知りたい…… ! 」
あとこの女には絶対に復讐してやる、僕を異世界に落としたことを後悔させてやるよ
女性は呆れながらもどこか少し嬉しそうに答えてくれた
「私の名前はヒカリです。」
女性が喋り終わると同時に流星の姿は消えた、次に目を覚ますとそこはよくある異世界系の街そのままだった。
「ぱねえ……」
「いつもどこかで見守っていますよ」
ヒカリはニコッと笑いその顔を見た流星の顔は真っ赤だったということは流星はまだ気づいていない
流星は内心異世界に対する期待と同時に見知らぬ土地でやっていけるだろうか、ギャルゲーも無ければ何も無いじゃん
けどこんなやつってたいてい異世界から来た人はチート能力を持ってるからあいつも何かしらつけてくれただろうし大丈夫だと信じたい
イケメンになる自分を絶対的に信頼していた……
「2度目の人生、異世界でがんばるぞい」
絶対あいつに後悔させてやる
ついでにもし現実の世界に戻ることができたら僕をいじめていた奴全員島流しにしよう、そう決心した
サブタイトルと以前指摘があったところを自分なりに直しました、またお気づきのことなどありましたらその度ご指摘お願いします
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