前世と新型銃のはなし
ペンは銃よりも強い
―N.織田―
前世では、鉄砲鍛冶の家系に生まれた。陸軍工廠で小銃を作っている父を尊敬していて、自分も父のように前線の兵隊さんの為に小銃を作っていくと思っていた。
だが現実は違った。職人として一人前になる頃には大東亜戦争も敗色濃厚で、作ってた99式短小銃もどんどん簡素化したものになっていき、最終的に作っていた末期型はそれはもうひどい物だった。
自分は長男で軍属だったので前線には出なかったが、弟は南洋で戦死した。戦後、どこにでもあるような町工場をやって、子供や孫にも恵まれて一緒にゲームを楽しんだりしていたが、死ぬまで弟のことが気がかりだった。もっとちゃんとした小銃を作っていればひょっとして帰ってこれたかもしれない。
どうやら、死ぬ間際の願いが叶ったらしい、僕アルベルトに前世の知識と経験がもたらされたのは前世の未練だった「ちゃんとした銃を作って家族を守る」を叶えるためなのではないだろうか。前世では失敗したが今世でそれが出来れば前世の僕も浮かばれると思う。
そして、今、僕の周りにある銃はマッチロック式マスケット、つまり火縄銃である。これを改良していくのが僕の使命なのかもしれない。
まずは前に貰った爆発の魔法陣、これを改造して火薬の起爆剤代わりに使えたらと思ったんだがこれが難しい。密閉された筒の中に魔法陣を書いても当たり前だがすぐに字が消えてしまう。色々試したんだが余計な副産物ばかりできてどうにも上手くいかない。
ちなみに副産物の中で一番のオススメは、蛙の尻に突っ込んで爆発させる用の細長い爆発魔法陣です。前世の息子が子供の頃蛙の尻に爆竹入れたりストロー入れたりしたのを思い出してうっかり作ってしまった。前世の記憶はあるけど精神的には普通に10歳なんで娯楽の無いこの世界ではすごく楽しいです。
それはさておき、ミレーユ姫から王都の魔法学者を紹介してもらえることになりました。優秀な魔法学者はやっぱり城勤めみたいです、王城の地下研究室に案内されました。
やっぱり王都の技術は凄い、勉強になります。既存の魔法陣をちょっといじって魔法陣から数センチ先に爆発が起きるように改造できました。これを尾栓に張り付ければ多分起爆剤代わりに出来るだろう。
尾栓が判らない方に説明すると銃の後ろ側を止めるネジの事です、鉄砲伝来の話に当時の日本ではネジが無かったから鉄砲が作れなくて南蛮人に聞いたとかご存知の方もいるかと思いますが、そのネジこそがこの尾栓の事なんです。
それからは王都に通って何度も試作して、何度も実験して、何度も失敗して、その合間にミレーユ姫やマチアス王子、イザベルを連れてきているときはイザベルと遊んで。月の半分は王都に行ってたのですが父上も母上も温かく見守って頂けました。流石に悪戯が過ぎて王都から苦情が来たときは滅茶苦茶叱られましたが。
そんな生活をして一年後、ようやく満足できる出来栄えの銃が完成した時は流石に感動しました。マチアス王子とミレーユ姫がちょうど見学に来てたので、感動のあまりうっかり二人を順番に抱きしめましたら姫からはグーパンチを頂きました。ブサイクが抱きしめてすみませんが流石にひどいと思う。
この日マッチロック式マスケットに代わるマジックロック式マスケットが完成。王国の銃は数年かけてすべてこれに変更され、国境の紛争で威力を発揮した。
冒頭の小ネタは不用でしょうか?
評判良くないようなら止めようかと思います




