【閑話】 侯爵の独白
俺はリスホルン侯爵、実は転生者だ…しかも元女だ。ただし、転生前の記憶が蘇ったのはイザベルが生まれてからなので記憶はともかく女としての感性はほぼ無くなってる。性格も前世とはかなり違っていると思う。正直、前世の記憶を思い出す時は映画でも見てるような感覚にしかならない。
俺の前世である女は最低だった。結婚していたのに浮気して浮気相手の子供を産み、子供ごと旦那に捨てられて酒に溺れて虐待を繰り返し、挙句に自分の子供を死なせてしまった。正気に戻った時には全てが遅く、生きる気力を失って身を投げた、最後に「もし次の人生があるなら今度こそ家族を幸せにする」と誓って。
そしてそれを叶える機会を与えてもらったらしい。ただ、それが茨の道であることも理解している。何故ならここが乙女ゲームの世界であり、リスホルン侯爵家はそこに登場する悪役であるからだ。
前世でそのゲームをやり込んだから知っている。アルベルトの最後はどのルートでも自爆テロに走るし、イザベルの最後はどのルートでも国外追放だ。そして侯爵家はお取り潰しになる事も確定している。
俺はいい、前世の報いだ。ただ子供たちだけは何としてでも救いたい。そこで、まずは子供たちがゲームみたいな性格にならないように教育することにした。
アルベルトは子供の頃疱瘡に罹ってひどい痘痕面になり引きこもるという設定を覚えていたので、常に疱瘡の治療が出来る医者を呼べるように気を使っていた。結果、左頬に少し痘痕が残っただけで済んだ。そしてアルベルトのやんちゃもかなりの部分は見逃してやった、アルベルトが引きこもりにならなければかなりの確率でゲームの再現は回避できるはずだ。
イザベルは情緒的な教育に気を使った。我が家の中では使用人とフランクな関係を築くようにして高慢にならないようにした…どうもおかしい、イザベルに高慢になる要素が見当たらない何故だろう。兄二人がしっかり育って仲良くしてるからかもしれない。まあこっちも回避できたならいいとしよう。
何年か経って気が付いた、恐らくアルベルトも転生者だ。あの知識はこの世界の標準から考えるといくらなんでもおかしい。まあ本人が言い出さない限り気付いたことは黙っていよう。ただ、前世に振り回されて道を誤るようなら忠告はするつもりだ。
そして今日、アルベルトはルテティア王立学園に入学するため王都の邸宅に旅立つ。人事は尽くしたが、もし万が一のことがある場合俺は命を捨ててでも子供たちを助けなければいけない。改めてそう誓った。
ところで、名付けた自分が言うのもなんだがなぜアルベルトだけドイツ系の名前なんだろう。ゲームデザイナーはちゃんと調べたのか?
アルベルトだけドイツ人の名前というのは最初から仕込んでたネタです。
本当ですお願いですから信じてください。
姫に言わせるか侯爵に言わせるかは迷ってたんですが、侯爵に言ってもらいました
活動報告にも書きましたが、明日10日は投稿する予定がありません。多分書いてる時間もないかと




