一章:旅立ち 1
今日、学校で作文を書いた。
テーマは「この国について」。
ほかの奴等の作文を覗いてみると、
「ものも人の心も豊かですばらしい国だ」
とか、
「いい意味でここはまだまだ発展途上国だと思う」
とか、とにかくこの国を褒めちぎる文がずらずらと原稿用紙3枚ほどにわたって書かれている。
・・・・・全く反吐がでる。
こいつら全員腐ってやがる。
今、俺にはクラス全体の考えてることが手に取るようにわかる。
(作文でいいことを書いて、将来の出世に役立てたい)
・・・とまあこんなところだろう。
腐った大人に育てられた子供はやっぱり腐るんだな。
まあ納得といえば納得だ。
本当なら、俺はここでほかのやつに合わせて適当に美辞麗句を並べるべきだったんだろう。
けど、俺はそうしなかった。いや、できなかった。
自分もこいつら同類になるような、そんな気がしたからだ。
だから、俺は珍しく素直に自分の思いの丈を原稿用紙に書きなぐった。
そしてたいして推敲もせず担任に提出した。
思えば、これがすべての始まりだったんだろうな。
俺の作文を担任が見た。担任の顔色が見る見る蒼くなって、すぐにトマトみたいに赤くなった。
「龍太くん(俺の名前だ)、まさか君がこんな・・・・・こんな危険思考人物だったなんて・・・・・」
はあ、とわざとらしく担任がため息をつく。
・・・・いやな予感がする。
そして、その予感はみごと的中してしまう。
「本当に・・・・残念です。」
次の瞬間、俺は担任によって床に組み伏せられていた。
「校長先生! 誰か校長先生を呼んできなさい! この危険思考人物を処罰します!」
ざわざわと教室中がざわめく。それはクラスメイトが危険思考人物だったことにおどろいているわけではない。
納得していたのだ。
「なるほど、だから変だったのかあいつ」
「なにあれ、キモ~」
「俺たちキチガイとクラスメイトだったのかよ! 最悪だわ~」
出世のことしか考えない、同年代の目、目、目・・・・
くそっ! どいつもこいつも腐ってやがるっ・・・・!
俺の思いなど露知らず、担任はざわめくクラスに大声で呼びかける。
「一番最初に校長先生を呼んで来れた人には、先生が出世を約束しますよーっ!!」
その言葉で、クラス全員が校長室へと走った。
・・・・・浅ましい。
やっぱりこの国は、腐ってる。




