表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エマーランドにようこそ!  作者: 北郷 信羅
総まとめ 天然な幼馴染
25/28

4,ドタ甘

 夏休みに入り、昭裕たちは近所の山にキャンプにやってきた。

「うーん、来てみたら、これも悪くないなぁ」

悟が呟く。

「私の私服が見られたからですかー?」

綾香が言った。

「……コイツがいなけりゃ……」

悟は続けてぼやいた。ほぼ同時に綾香のバットがとんできたが。

「おい何でコイツがいるんだよ!で何でバット持ってきてんだよっ!?」

「もはや彼女はこのグループの一員だし」

昭裕が淡々と答える。

「もはやバットは私の身体の一部だし」

綾香も昭裕に続いて答える。

「いやその発言はおかしいだろ!」

悟が叫ぶ。

「おかしいみたいですよー」

綾香が昭裕に言う。

「お前の発言だよッ!」

悟が突っ込む。

「何言ってるんですか」

綾香はむしろ驚いた様子で言う。

「男たちはみんなバット持ち歩いてるようなものじゃないですか。これはその対抗策です」

「やめィ!」

昭裕が止めに入る。

「止めるな昭裕!まだ話は終わっちゃいねえぞっ!」

悟は昭裕を押しのけようとする。

「頼むからやめて!そっち方面だけは!」

昭裕も退かない。

「ここまで来て喧嘩しない!」

風音が昭裕と悟の頭を小突いた。

「え、俺止めに入っただけ……」

昭裕が呟く。

「いいから行くよ!」

風音は無視して、さっさと歩き出す。帰り道の方向に。

「逆だよー……」

奈菜がほんのり指摘する。

「……」

風音は顔を真っ赤にしながらUターンすると、さっさと歩みを進める。

「じゃ、じゃあ、行こうか」

奈菜がフォローするように言った。


 キャンプ場は、こじんまりとした所だった。もちろん、昭裕たちは敢えてこういった所を選んだのだが。

「じゃ、昭と悟はテントよろしく」

風音が指示する。

「は!?2人かよっ!?」

悟が抗議する。

「しょーがないでしょ?男勢あんたたちしかいないんだから」

「ぐ……。お、お前らはどーすんだよ」

「バーベキューの準備」

「でもそれだったら1人くらいは……」

悟は食い下がる。

「だって1人は動かないし」

風音は椅子に座ってくつろぐ綾香に目をやる。

「働けよっ!」

悟が叫ぶ。

「1人は動けないし」

風音は他のキャンピング客に囲まれている奈菜に目をやる。

「やっぱりダメだったか……」

昭裕が呟く。

「実質動けるの、私とニーターだけだもん」

風音は肩を竦める。

「……昭裕、やるか」

諦めたように悟が言った。

「ニーター、私たちも準備しよ」

「うん」

風音の言葉に夏海は頷き、彼女に従った。


 「おいィッ!」

「あ!あの、何かあったみたいなので……失礼しますっ」

悟の叫び声を利用して、奈菜はそそくさと他のキャンピング客たちから逃れた。キャンプ場に到着してから既に2時間が経過している。

「……どうしたの?」

「このっ……この肉……!」

悟が呻く。

「むっちゃドタ甘なの」

夏海が説明するが、エマ語なのでイマイチ要領を得ない。

「ドタ甘ってベタ甘の進化?」

すぐに理解した昭裕の問いに夏海は頷く。

「ちょっと2人とも、つまみ食いしないでよね」

風音が言った。

「んなことより何で甘いんだよ!?」

悟が叫ぶ。

「し、塩コショウ振れば美味しくなると思って、家から持ってきたつもりだったの!」

風音は少々動揺した様子で言い返す。

「でも塩じゃなくて砂糖持ってきちゃったっていう王道のボケですね」

綾香が呆れ顔で言う。

「ベタですねぇ」

「でもだからってムキになってかけることはねえだろっ!?」

悟は喚き続ける。

「いやあの、そうじゃなくって、ね……」

風音は目を泳がせながら言う。

「それをまた忘れて、塩のつもりで振っちゃった……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ