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エマーランドにようこそ!  作者: 北郷 信羅
セクション3 魔性な転校生
19/28

5,ロベロベ

それから数日後。何故か教室を訪問する男子はいない。

「今日も誰も来ないねー」

昼休みに夏海がタコさん(ウィンナー)をぱくつきながら言った。

「うん……」

奈菜が不安そうに頷く。因みにこの2人、この頃はよく昼食を共にしている。

「『嵐の前の静けさ』じゃなきゃいいんだけどね……」

昭裕が彼女の心情をズバリ言った。

「『嵐』って言やぁ……」

悟が教室の出入口付近を見やる。

「アイツもあれから見かけないんだが」

正弦(サイン)(=綾香)?」

夏海がズバリ……言ってんだか言ってないんだか。

「ああ。なんか逆に気味(ワリ)ィ」

「この頃のお前、彼女にイジられるのが日常になってたからなぁ……」

昭裕が半分呆れた様子で言う。

「人をドMみたいに言うなっ!」

「セクション0。ドMな親友」

夏海が真顔で言う。

「やめろ!俺がいつドMなんて言った!?」

悟が夏海を揺すりながら叫ぶ。

「でもお前……あの子来てから既に2回、それっぽい発言してんぞ」

昭裕が指摘する。

「違うって!俺はーーー」

「あ、来た」

夏海が呟いた。


何時の間にか教室の出入口には、数人の男子生徒たちが集まっていた。

「北田昭裕はいるか!?」

生徒の1人が叫んだ。

「え」

昭裕が固まる。

「何昭裕、お前いつから男にモテるようになったの?」

悟が訊く。

「ンなわけあるかっ!」

昭裕が音速のツッコミ。

「え、総和(シグマ)、男子とロベロベなの?」

夏海が首を傾げる。

「セクション−1。ゲイな主人公」

「やめろォ!」

昭裕が叫ぶ。

「あとloveをローマ字読みすんなっ!」

「お前が北田昭裕か?」

男が苛々した様子で訊く。

「え、あー……そうですが」

昭裕は目を逸らしながら答える。

「ちょっと来い」

「はあ」

昭裕はやむなく男たちの後に続いた。


連れていかれた先は、本章2回目の校舎裏である。

(うわ……何かヤバイ感じ……)

昭裕は言い知れぬ不安を感じる。

「北田昭裕、」

振り返った男が言う。

「俺と勝負しろ」

「へっ?」

昭裕は思わず間の抜けた声を漏らす。

「俺と勝負しろッ!」

男は拳を振り上げた。

「ちょっ、ちょっと待ってください!」

昭裕は慌てて叫ぶ。

「なんだ」

「あの、何で俺に勝負しろなんて言うんですか?」

「何でだと……!?」

別の男が怒気を含んだ声で言う。

「お前から奈菜ちゃんを取り戻すために決まってんだろ!」

「はい!?」

「しらばっくれても、無駄だからな」

他の男たちも手首をゴキゴキと鳴らす。

「いや、ちょっと待った……」

昭裕の「待った」は受け入れられなかった。

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