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第17話:明日香の恋

 三千代が明日香の手伝いを始めて一ヶ月以上がたった。その間に大学も夏休みに突入し本格的に撮影が進められていた。皆が撮影に出ている間、明日香と三千代は部室で当日に配るパンフレットの原稿を作成していた。


 「…………暑い。何でこっちはこうも暑いのよ」


 三千代は、ここ数日とみに増した暑さに干上がる寸前だった。


 「別にめずらしくないでしょ?世の中は温暖化が進んでるのよ」


 「あたしは、そんなもん知らんわ」


 「仕方ないな……。休憩しよ。購買で冷たいもの買ってあげるから」


 「やったあ、じゃあアイスね、アイス」


 「また? いいかげんお腹壊すわよ?」


 「だって、あたしが生きてた頃なんてそんな高価なものあんまり食べられなかったんだもん」


 「…………何時の話よ」


 そんな会話を交わしながら二人は学食の近くの購買へと向かった。明日香は、自分の分のお茶を買うと三千代がアイスを選ぶのを待つことにした。それだけアイスを選ぶ三千代は嬉しそうだったのだ。


 (子供みたい。…………でも、こんなに手伝ってもらってるんだもん、ご褒美よ)


 「明日香、明日香。これがいい、チョコ味」


 後ろから聞こえた三千代の言葉に思わず明日香はふき出した。そしてそのアイスを買うと二人で外のテラスで休憩をすることにした。


 二人で映画についてとりとめない話をしているとそこに一人の男性が近づいて来た。背が高く細めでひょろっとした印象を与える男でジーンズにぴっちりとした感じのティーシャツに薄いシャツを羽織っている。


 「久しぶり、明日香ちゃん」


 明日香の知り合いだろうか、一瞬驚きながらも明日香はにこやかに挨拶を返していた。


 「お久しぶりです、先輩」


 「元気そうだね、悟達から大学で作業してるって聞いたから。えっと、彼女は?」


 「ああ、友人の三千代です。今回手伝いをお願いしてるんです。三千代、こちらは映研の会長で高杉先輩」


 「はじめまして、三千代です」


 「こちらこそ、はじめまして。三千代ちゃんが側にいるなら平気だね。もし、一人だったらってちょっと心配してたんだ」


 「心配無用です、先輩。あれ以来、ちゃんと健康管理してますから元気ですよ。それより、先輩達も撮影じゃなかったんですか?」


 「ああ、後は合宿先で撮る分でラスト。よかったら、学祭の上映皆でおいで……。サプライズがあるから」


 「サプライズ? 何ですか?」


 「言ったら、サプライズじゃなくなるだろ? じゃあ」


 高杉先輩は、それだけ言うと去っていった。


 「何だろうね? 明日香…………」


 三千代の言葉を明日香は聞いておらず、ただ高杉が去っていった後をじっと見つめていた。その表情は、まぶしいものを見る目でもあり恋い慕うものを見つめる目にも見えた。


 「明日香、あんた…………」


 「えっ? 何?」


 「ううん、何でも無い」


 三千代が黙りこむのを不思議そうに首を傾げる明日香だった。


 「じゃあ、戻ろうか……」


 明日香と三千代は二人連れ立ち仕事に戻った。明日香と三千代が部屋に戻るとそこには悟と有希子がいた。


 「よ! 二人とも夏ばてしてねえか?」


 「してないわよ。ね? 三千代?」


 「うん。それより二人とも撮影は?」


 「ああ、明日香から来て欲しいって連絡があったのよ。で、明日香どうしたの?」


 「うん、二人に言っておくことがあって。原稿は後、悟が書く分だけだから。ひとまずあたし達は撮影終了まで休むから。そんでもって、あたしは明日から検査入院でしばらく病院」


 「検査!? 明日香、体調が悪いなら言ってよ」


 「有希子、落ち着けって。検査っていつものだろ?」


 「そうよ、有希子。いつもの定期検診です。三千代も明日から実家に帰省するって話だったでしょ?」


 「いつものならいいのよ」


 有希子は、明日香の言葉にホッと胸をなでおろした。


 「じゃあ、盆明けか、二人が復帰すんのは」


 「そういうこと。だから撮影の追い込み頑張ってね?」


 「ああ、まかせとけ。じゃあ、俺ら撮影戻るから」


 「うん。じゃあね。二人とも」


 急いでいるらしく二人は慌しく出ていった。


 「あっ、有希子に聞くことあったんだ、ちょっと行って来る」


 三千代は、そう言うと二人の後を追った。


 「有希子!! 話があるんだけど……」


 「何? 三千代」


 「ちょっと、こっち来て」


 有希子を手招きし、悟が聞こえない柱の影に隠れると三千代は思い切って尋ねた。


 「さっき、高杉先輩っていう人に会ったんだけど。もしかしてあの人って……」


 「ああ、明日香の倒れた原因作った人。来てたんだ」


 有希子は高杉の名前を聞くと今まで浮かべていた笑みを消し、冷たい表情を浮かべる。


 「で? 何だって? あの人」


 「挨拶して体のこと気遣ってた。でね……思ったんだけど、明日香って彼のこと……」


 「好きだったのよ」


 「だった? 過去形?」


 「だってあの人、明日香が倒れた後、すぐに他の先輩と付き合ったし」


 「失恋ってこと?」


 「さぁ? どうだか? あたし達が辞めた理由にはそれもあるの。明日香のこと好きなのばればれなのに他の女と付き合うってどうよ?」


 「最悪かも…………」


 「悪いけど、もしまた来たら二人きりにさせないでくれる?」


 「うん、分った。変な話してごめん」


 「ううん、話してくれて助かった」


 有希子は、そう言うと悟の元へ向かって行った。


 (もしかして、あの子の願いって。まさか、ねぇ…………)

ここからは、以前書いた脚本もどきには無かった展開。

ちょっと書き足してみました。

一番最初の脚本の原型では彼との恋話がメインだったんですけど、だいぶ変わりました。

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