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夕陽

作者: 桐島 瑛里

夕日がとける 緑の風が流れる森の中 


僕は思った 


君の横顔も春風になびく髪も  細く弱々しい指にさえも 

僕が触れることは許されない 

きっと そう、きっと 

笑顔が溢れるほど 

瞳に落ち着きの色が宿るほど 

僕は力が抜けていき 不安になる


この一瞬は永遠なのですか?


誰でもいい 何でもいい 壊してください 


君はずっと 向こうを見てばかりいる 

それが何処なのか何が見えるのか 

知る術を 持ち合わせていない 持ってはいけないんだ 

近づきたくても 駄目なんだ 

遠くに行きたくても 駄目なんだ 

この距離は慣れたもの  変化は僕の手にあまるもの


並んで歩くとき 昼寝をするとき 


変わってしまった先に僕らは何かを見つけられるのだろうか 


夕日が君を鮮やかに彩る頃 君の温もりを感じた 

指先が頬に 手のひらが唇に 

僕はただ祈った 変わらないように 

君は馬のような瞳で僕を見つめた

呆れられているのか 君にとって僕は慣れたもの


夕日がとける 灰色の風がながれるビルの谷で 


僕は思う 


変わるすべさえ失った 僕が望んだとおり 

黄金色に輝く指輪を硬く握り締める 

笑ったときの笑窪 絵を描く横顔 


君の 君の 


夕日に泣きすがっても 戻してはくれないから 失わないように

握り締めて 静かに 閉じ込めた 僕の中の君を 

言えなかった 遅すぎた 言葉は向かい風に乗せて


誰でもいい 何でもいい 僕を直してください


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