悪友
ある日の休日、俺は芽衣と名乗る男、璃羽と町を歩いていた。
ま、男同士で歩いてても、何の違和感も無いしな。
「漣様、お久しぶりです。」
と、声を掛けてきたのは、播機潤だった。
「播機、久しぶりだな。」
俺は昔から、こいつが大嫌いだ‥。
すると璃羽が小声で話た掛けて来た。
「播機って‥あれか?遠藤美空の秘書とか云う‥‥」
「‥ああ」
遠藤美空とは、有名な会社の社長で、俺とは昔から変な関係、それもかなり性格が悪い奴だ‥。
「なんでそんな奴と、絡んでるんだ‥お前は‥。」
呆れられた。ま、そりゃそうか‥。
でも本当だ。何で俺はこんな面倒な奴と絡んでるんだよ。
「美空様がお呼びです。さあ」
「やめろ、俺は行かねぇ」
金関係で俺を使われるのは、もう御免だからな。
抵抗する俺を強引に車の中へ引きずりこもうとした時、璃羽は冷静な声で云った。
「漣が止めろと云ってだろ?」
璃羽・・・。
「‥すみません」
「‥‥。」
それ以上、璃羽は何も言わなかった。
播機が、あまりに哀しそうな顔をしてたから――。
璃羽と別れた後、俺は播機の車で遠藤美空のいるビルへとやって来た。
「漣様、くれぐれも気をつけて下さいね。」
「ああ・・」
ビルに入りエレベーターに乗る。
播機あいつ・・・何で俺に気をつけろなんて云ったんだ?
ま、いつでも遠藤美空には気をつけてるから平気か。
「漣ッ・・・!」
扉が開くと同時に、俺に抱きついてきた。
ああ・・・やっぱ嫌いだ。
「離せ。用件は何だ?」
「良いじゃない。少しくらい。」
美空は、むすっとした顔をしながら、俺から離れた。
「用件?無いわ、そんな物。大事な妹と会うのに理由が必要?」
「ああ、そうだな。でもな、俺は実の兄じゃない。お前は連れ子だ。前にも云っただろ。」
こいつとは、昔から仲が良かった。でも実の兄じゃない事くらい分かっているだろ。
それに、昔俺に何したか分かってるよな・・ッ。
「帰るからな」
そう云って歩き出した。
「待って・・・」
後ろから美空が呟いた。
そして俺が振り返ると、不意に唇を塞がれたのだ。
更新遅れました。すみません。
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