幕間2
幕間 ――マーテリシア
ああ……なんて、愛らしいのかしら。
瓦礫の中で剣を握り、孤独に耐えながらも歩みを止めないその姿。
世界を失ってなお、復讐という名の炎を胸に灯し続ける少女。
アリア。
ひとりで在り続けるには、あまりにも誠実で、あまりにも不器用。
だから――
ほんの、出来心よ。
寂しさが、彼女の輪郭を少しずつ削っていくのが見えて。
その横顔が、ほんの少しだけ、つまらなくなりそうだったから。
今しがた、ひとつ命を編んだ。
恐怖に怯え、希望に縋り、それでも誰かに寄り添おうとする、か弱い人の子。
名は――リーネ。
意味なんてないわ。
彼女がどんな存在になるかも、今はどうでもいい。
大切なのは、アリアが彼女に何を抱くか。
守ろうとするのか。
拒むのか。
あるいは――もう二度と失わぬと、強く縋りつくのか。
ふふ。
もし、変わったなら。
その変化は、どれほど彼女を美しくするのかしら。
もし、変わらなかったなら。
それはそれで、実に尊い。
そして――
もし、奪ったなら?
リーネを、この世界から消し去ったなら。
彼女は、どんな声で泣き、どんな顔で私を憎むのかしら。
……想像するだけで、胸が熱くなる。
希望も。
絶望も。
出会いも、喪失も。
すべては、わたしの掌の上。
それでもなお歩き続けるなら――
ええ、そのときは、もっと深く、もっと優しく、抱きしめてあげる。
さあ、行きなさい。アリア。
あなたの物語は、まだ始まったばかりなのだから。
読んでくださってありがとうございます。




