ママとPTA
放課後。そらの中学校でPTA総会がある日、ママはお気に入りのワンピースを着て張り切って校門に向かった。
だが、門の前で立ち止められた。
「はいはい、児童の入場はここまでですよ〜。保護者の方呼んできてね」
ママは微笑んだ。
「呼びましたよ。わたしです」
教師が絶句した。
「えっ……えっ? いやでも、その……」
「わたし、そらの母です。日向ママです」
と、胸を張るママ。
「……えーと、確認ですが……本っ当に、お母さま?」
「本当ですよ。住民票見ます?」
教師はしばし黙り込み、やがて遠くを見るような目になった。
(こんなに可愛い小学生みたいな人が、母親……?)
そこへそらが横から現れ、淡々と言った。
「僕の母です。外見に騙されないでください。年齢は三十超えてます」
「なんで余計な情報を足すのよ!」
ママはショックを受けたようにほっぺを膨らませる。
「事実じゃん」
「そうだけど言い方ってものがあるでしょ!」
教師は慌てふためきながら腕章を外した。
「と、とにかく……! PTA総会にはぜひ! 本当にすみませんでした!」
無事入場した……と思いきや。
会場に入った瞬間、ざわっ。
「かわいい……」
「どこのクラスの子? 迷子?」
「誰か保護者呼んできてあげて!」
ママは涙目になりながら椅子に座った。
息子そらが隣で小声で言う。
「……だから言ったじゃん。母さんが来るとPTAの平均年齢、下がるって」
「そういう問題じゃないのよ!」
総会後、担任が深く頭を下げてきた。
「本日は大変失礼しました。あなたのような若い保護者さんは珍しいので……」
「若いというか、幼いって言いたいんでしょ!?!?」
まさかPTA初日にこんなにも疲れるとは。
だが、日向ママの受難はこれからが本番であった。




