帰還
現実に戻った僕は病室のベットにいた。
身体の痛みは少し残ってるけどある程度は回復したみたいだ。
目が覚めたときは病院の先生がおどろいて急いで親に連絡したらしい。
「あんた!1年も寝てなにしてたんだよ!あんたはただでさえ他の子より遅れてるのにさらに遅れたじゃないか!」
母の怒号が病院中に響き渡る。いい迷惑だ。
「それにあんたが寝てたせいで...」
母の声を聞いた医師たちが取り押さえてどっかいってしまった。
そうか...1年たってたのか...あの世界のことは夢ではなく現実だったのかもしれないな...
そう思う僕がいた。
家にいても地獄だから入院期間を終えたら学校に行くことにした。
1年もあってぴょん太郎たちと仲良くできた。他の人たちとも仲良くできるはずだ。そう思って教室についた。
「よう智也ー!」
そう話しかけてきたのは純也だった。またあの日と同じようにはなしかけてくる。
「やあ純也。」
その瞬間教室内に沈黙が走った。
「おい!てめえなんだその呼び方は!あの場所に連れてけ!」
純也の声に呼応するかのように取り巻きたちが僕を校舎裏に連れて行った。
「お前が入院してる間なにがあったかしらねえけど立場をわからせないとな」
僕は久しぶりに暴力というものを感じた。なぜ殴られるんだろう。あの世界ではみんなが仲良くできたのに。
「お前罰金な!」
取り巻きたちが僕の財布からお金を奪い取る。
なぜ取られるんだろう。あの世界ではみんなが平等で奪い合いなんてなかったのに。
僕は誰もいなくなった校舎裏で涙をこぼしていた。
こんなひどい世界では僕は生きていけない。あの優しくて平和な世界に戻らなきゃいけない。方法はなんとなくわかる。僕は家に帰りベランダに向かった。
また行こう。ワンダフルワールドに。