現実
「僕はなんのために生きているのか?」
あるマンションの1室でそう思う僕の名は新橋智也。僕はある中学校でいじめを受けている。恐喝、暴力、暴等様々だ。クラスメイトはもちろん担任からも助けてもらえない。親に至っても「あんたが受験に失敗していなければこんなことにはならなかった。」と言ってくる始末だ。
「でもあの子がいるからなあ。もう少し生きてみるか。」
あの子とは隣のクラスの有楽ひめか。頭脳明晰、運動神経抜群なのに僕のようないじめられっ子にも優しく接してくれる。そんな彼女に僕は密かに思いを寄せていた。そんなことを考えながら今日も眠りにつく。
「あんた!さっさと起きなさい!朝ごはんできてるわよ!!」
朝から母の声がうるさい。今日も嫌な1日が始まってしまった。
「あんたが中学受験受かってたら...」
今日も母は受験の話をしている。本当は学校にすら行きたくないけど、行かなければ母に怒られるから行けないとは言えない。
僕に逃げ場はないのだ。
そんな中今日も彼女に想いを馳せながら学校に行く。彼女がいなかったらどうなってたか分からない。
「よう智也ー!」
そう話しかけてくるのは豪徳純也。いつも僕をいじめてくるやつだ。
その掛け声とともに集まってくる取り巻きたち。
「お前いつもの場所に来いよ。今日はいいもの用意してるからな。」
いいものとはなんだろう。金属バットかな?それともメリケンサック?どうせ殴られるんだから考えたって無駄だ。そう思いながら僕は校舎裏に行く。
校舎裏に行った僕が見たのは想像していたものと違っていた。
僕の前にいたのは有楽ひめかだった。
え?なんで?そう思っていたら
「智也、お前この女のこと好きなんだろ?告ってみろよ。」
純也はニヤニヤしながらそう言う。
「断ったらどうなるか分かってるだろ?」
「さっさと告ればいいだろ。」
「TikTokにあげようぜー!」
取り巻きたちもそろって言う。
僕は断れる状況ではなかった。
「ひめかさん好きです。付き合ってください。」
僕はいじめっ子に言われるがまま告白した。
「え?無理なんだけど...」
彼女にはそういわれた。それはそうだ。こんな状況で告白して付き合えるわけがない。
「てか純也こいつきもいんだけどー!」
彼女は続けてそう言った。いつもの優しかった彼女からは出ないような発言だった。
「こいつきもいから行こうぜひめか!」
純也はひめかと一緒に教室に戻っていた。
「余ったこいつどうする?」
「ぶん殴ろうぜ!」
「いいね!」
取り巻きたちが僕を殴ってくる。
純也はひめかと一緒に入れて僕は無理。純也はいじめてくる存在で僕はいじめられる存在。なんてこの世は不平等なんだろう。
気づいたら僕は気絶していた。
気づいたときには誰もいなかった。時間はどれくらいたってたか分からない。
僕は痛む身体を引きずりながらそのまま家に帰る。
「お前大変そうだな」
!?猫が話しかけてきた。猫って喋るのか?
「にゃーにゃー」
気のせいだったみたいだ。猫が話かけてくると思うくらい僕は疲れているらしい。どうでもいいけど。
家についた。幸い親はいないみたいだ。僕は部屋につくなり椅子に座った。涙も何も出なかった。僕の人生は何だったんだろうか。何も救いはないのか?そう考えてはいたがそこから先何をしていたか覚えてない。