表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トネットの魔術百科 初稿  作者: モードレッド・トネット
2/2

No.2


 前回の記事を書いてからしばらく時間が経った。書架に置いておいた記事においては数名の生徒達が読んでくれたようで嬉しく思う。


 記事を読んだ同僚のアルソ君から「そもそも魔力は何を成し得るのかについてはどうだろうか。」との声を頂いたので今回はそれについて語っておこうと思う。


 ✴ ✴ ✴


 【魔力は何を成し得るのか】


 魔力は何を成し得るのか。我々の肉体やそこらの動植物等、目を凝らせば当たり前のように存在する魔力であるが、結局それを用いて何を出来るのかという事を今回は語っていく。


 結論を先にお伝えすると、大体何でも出来る。


 少々不親切な回答であるが、最も端的かつ揚げ足を取られにくい返答を挙げたつもりである。


 というのも魔力はあらゆる性質へと変化が可能という前提条件が存在する為、理論上出来ない事は存在しない。(あらゆる性質へと変化可能という前提条件が今後の研究で覆る可能性はあり得る。)


 魔力は適切な手順を踏みさえすれば物理法則をも覆しながら鋼鉄や液体に土くれ等の物質、果ては生物等にまで変化する。


 魔力とはそのような超常的存在である為、出来ない事を明確にこれと挙げるのは困難な訳である。


 現在に至るまで生成に成功していない物質等もあるが、本当に出来ないのか、単に技量が足りないだけなのかの判別をする事も困難を極めている。


 この意味不明な挙動に我々学者は日々頭を抱えているし、今後読者諸君らも悩まされる事になるであろう。


 話は少し逸れるが戦後1951年の講和条約締結以降約70年以上に渡って物理学と魔術学共に精通した傑物達が国際的協力のもと魔術の物理学的解釈を試みているが、現在もまだ尚魔力の特性の究明には至っていない。


 読者諸君には大変申し訳無いが、魔力とはそういうものである、と強引に理解してもらうしか無いのが現状である。



 それでは身近な話へ移そう。


 魔力は電力への変化や戦闘、魔導具の運用等を主な用途として扱われる事が多い。

 

 我々が魔力を運用する場合に最も多いのは電力への転用である。読者諸君にとっても最も心当りが多いのはこれであろう。


 最近等で言えばスマホやパソコンの充電を行ったり、電化製品を稼働させたり……等。大規模に運用する事はまず無いが、代わりに使用頻度が最も多い用途は魔力の電力化だろう。


 一般の電化製品に適した電力を流せるようになるまで、ある程度の練習は必要ではあるが一度出来るようになってしまえば意外と簡単である。ある日以降急に自転車に乗れるようになる感覚というのが近いだろう。


 ちなみに1900年代初頭の各国、主にドイツにおいては電力と共に新たなエネルギー源として魔力の運用が議論され様々な実験が行われたものの、結局個人差、運用できるようになるまでの難易度等々様々な障壁によって頓挫している。


 電力の変換においては一度慣れてしまえば家庭用サイズの大概の電化製品は全て魔力で補う事が可能となる。(世帯内での電力消費量が極端に少ない場合、奇跡狩りの対象となる可能性があるので要注意)


 ※奇跡狩りについては今後記載予定


 

 次に解説するのは戦闘である。


 法治国家として秩序が維持されている現代社会においては中々争いに巻き込まれる機会は無いであろう……と思われるかもしれないが、実は我々魔術師の敵は意外と多い。


 ざっと挙げてみると怪異の類、同業魔術師、奇跡狩りなどなど。


 一つずつ解説していこう。


 まずは怪異の類。


 これは怪異と大雑把に表記してしまったが主に幽霊、妖怪、残留思念、土地神、生霊等である。


 一般人と異なり我々魔術師は彼等を認識できてしまうのでいざこざに繋がりやすい。出来るだけ刺激してしまわないよう注意したい。


 ここらの怪異の類の解説や分類はまた後日、詳細な一つの回として表記していきたいと思う。私自身この辺りは特に好きなので筆が乗る筈である。

 

 

 同業魔術師。


 魔術を覚えた所で倫理観が備わるわけでは無いので当然世の中には極悪非道な魔術師も存在する。彼らに関してはなまじ一般人よりも力を持っているので厄介である。もしも遭遇してしまった場合は出来るだけ逃げ、通報するのが吉である。

 

 何かで目立ちでもしない限り魔術師自身が執拗に狙われる事は少ないだろうが、通り魔のように命を狙われたりする事は稀にある。


 これらの者達には警察組織に所属する魔術師が相対する機会が多いであろうと思う。 



 次は奇跡狩りについて。


 時代は大きく遡り西暦80年頃を起源とする魔術師狩りの集団である。


 発祥時のそれにならい教団と呼称する事も考えたが、長い年月のさなか様々な形態やポリシーを持つ組織へと変貌を遂げた為ここでは集団と表現する。


 彼らの大まかなポリシーとしては「あらゆる形での魔術、魔導具等神秘的存在の否定」がある。


 大まかに語れば魔術師等神秘的存在の根絶を願う集団である。


 神秘的存在に関連する事項で目立ってしまった者達は彼等の追跡を受ける事となる。


 あまり知られていないが中世の魔女狩り、怪僧ラスプーチンの暗殺等有名な事件の節々には彼等が関わっている事も多い。


 奇跡狩り達についても後日何処かで詳細な解説を行うつもりである。


 余談であるが、創作物の世界で扱われる事が多い中世の魔術師のような炎や氷、爆発を呼び出すといった典型的なイメージの魔法は現代ではあまり用いられていない。


 というのも単純に効率や火力が低い為に改良が重ねられ、進化したからである。


 現代の戦闘では重火器の再現のような近代兵器から着想を得た魔法が扱われる事が多い。


 2つの大戦以前に少数運用される事があった魔術師の部隊においても現代では一定以上の技量の者を除いて近代兵器の火力に遅れを取る為、攻撃部隊として運用される事は全くと言って良い程無い。



 魔導具について語ろう。


 魔導具とはどのようなものか。


 大雑把に仕組みを解説するならば、魔法をプログラムしてある機械である。魔導具には魔法が既にプログラムされている為、魔力を流すだけで特定の機能を使用する事が出来るわけである。


 仕組みだけで言えば家電の類がかなり近いだろう。


 例えば冷蔵庫。


 冷蔵庫それ自体に既に内部を冷やすための構造が用意されている為、後は電力を流すだけで〝内部を冷やす〟という機能を用いる事が出来るのだ。


 この場合


 内部を冷やすという機能→魔法のプログラム


 電力→魔力


 と置き換えて考える事が出来る。


 同じように掃除機であれば電力(魔力)を流す事で〝者を吸い込む〟(魔法)と言う機能を用いる事が出来る魔導具であると言う事が出来る。


 実際には冷蔵庫も掃除機も別に魔導具では無いのだが。


 家電や電子機器の類と魔導具は何が違うのかと言えば答えはシンプルであり、動力に魔力が用いられているか否かが条件である。


 外見や機能が完全に冷蔵庫のそれであっても動力源が魔力であればそれは魔導具として見なされる。


 時々一般の家電に魔力から変換した電力を流して用いた場合魔導具にあたるのか?という質問が時々あるが、これは否である。


 あくまで動力が魔力である物のみが魔導具である。コンセントにさして動く物は魔導具ではない。



 現在存在する魔導具の例で有名所を挙げるならば魔力を流すと水が湧き出る蛇口、であったり魔力を流すと空を飛ぶ絨毯等がある。


 詳細な魔導具の解説や製作方法についてもこれ一項目でかなりの分量となる事が予想されるのでそのうちこれ単品の回として記事を書こうと思う。


 ✴ ✴ ✴


 ほどほどの分量を書いたつもりであるが、意外と量が無い事に驚いた。完成には程遠いらしい。


 今回は後の詳細な解説への丸投げと言った形式で随分上辺だけの浅い文章を書いてしまったと思う。


 初学者へ向けた入門の開始数ページとして扱うには良いかもしれないが、ある程度知識のある者にとっては少々物足りない内容であったと思う。


 次は少し濃い内容の項目を用意できればと思う。


 この記事は前回に引き続き誰でも閲覧が可能な書架に置いておくので自由に読んでいってもらって構わない。


 理解に苦しんだ点や質問等があれば気軽に端へ記載してくれればと思う。より良い書物の作成に協力してくれると幸いだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ