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原因判明!まさかの事態!?

 私の名前は中村ぼたん、小学6年生。恋に恋するお年頃な女の子。

 でも今ちょっと困ってることがあって、ていうか訳わかんない状態なんです。

 あのー、何言ってるかわかんないと思うんですけど、えっと、学校が終わらないんです。うーん笑。

 一時間目から始まって、昼休憩に入ったところで毎回一時間目に戻っちゃうんです。うーん、いったん待って、なにこれ。

 今が四時間目の終わりくらい、社会科の授業。もう3回目になるよ。

 はいはい710年平城京ね。で794年平安京でしょ。もういいよ。ただでさえつまらないのに今日四回目だからね。

 タイムループするのは昼休憩に入ってから、大体5分後。原因を突き止めないと一生このままだ。

 もうすでに頭がおかしくなりそうなんですけど。タイムループものの創作っていっぱいあって、どれも面白いよね。でもまさか自分にもそんな日が来るとは……。

 とりあえず授業中は特に行動を起こすことはできないから、周りの観察と昼休憩に何をするか決めとこう。

 えっと、クラスのみんなにおかしなところはっと、うーんなさそうかな。

 じゃあ、外の様子はっと、あーこれもとくにないかなあ。ていうかここ3階だから建物と空くらいしか見えないし。

 周りの様子は特におかしなところはないっと。そうなると昼休みだよなー。昼休みの間にタイムループする何かしらのきっかけが起きてるんだろうけど。

 何が原因でタイムループしてるんだろう、分かんないから困ってるんだよね。トリガーというトリガーがない。

 べたなパターンで言ったら主人公やヒロインが死ぬとかがあるけど、いたって平凡な日常だしなあ。いっそのこと夢落ちにでもしてくれって感じ。

 きーんこーんかーんこーん。

 そんなこんなで授業が終わる。

 やっば何にも思いつかなかった。とりあえず超集中して、周りを観察する。

「ぼたーん、お昼一緒に食べない?」

 周囲に目を凝らしている私の前に、一人の女の子がお弁当を抱えて立っていた。

 ん?あ、そうだった。

 そういえばお昼はいっつも葵と食べてるんだった。でも今日は一緒に食べる前に時間が戻ってるんだ。

「あー、うーん、どうしよー」

 私は目を少し泳がせながら曖昧な返事をした。

 葵は私の幼馴染で親友。幼稚園の時からずっと一緒にいる。ちなみに私の初恋。そしてその気持ちは今も変わってない。

「あれ、ぼたんどうかした?食べないの」

 葵は不思議そうにこっちを見つめてくる。覗き込むようにしてみてきたので、まっすぐ綺麗なセミロングの髪が少し垂れる。

 はうう、やば。

「いやそういうわけじゃないんだけど、ちょっとね」

 実はタイムループとは関係ないんだけど、最近女の子同士が恋愛する本読んじゃって、そっから葵と話すのなんか恥ずいんだよね。

 目を見てうまく話せないというか、意識しないようにしてたものを急に意識しちゃうようになっちゃったみたいな感じ。

「あ、もしかしてダイエット中? ぼたんはそんなことしなくてもかわいいのに」

 葵は一つ前の席に座り、机の上で組んだ腕に、顔をのせ屈託のない笑みを浮かべた。かわいいという一言と、上目遣いでのぞく視線が、私の体を熱くさせる。

「……うう。そ、そう、ダイエット中。ダイエット中なんだ、私。えへへ。あー、えっと、ちょっとトイレっ」

 私は逃げるようにその場から離れた。

 葵といると緊張しちゃって、タイムループのことについて考えられなくなってしまう。

 とりあえず今は原因解明が先決。葵には、ほんっとに申し訳ないけど。

 とは言ったものの、結局、トイレに逃げ込んでしまった。まじか、トイレでなにが分かるというんだ。もうすぐタイムループの時間だというのに。

 いやだってさ、弁解させてほしい。葵にトイレ行くって言っちゃたんだもん。葵にウソなんてつけるわけないじゃんか。

 はあ、とりあえず今の状況をまとめとこう。昼休憩までに教室や学校内で、おかしなことは特に起こっていない。学校周辺も見える範囲では何もないかな。

 こんなところか。たいした情報量じゃないな。

 なんなんだこれ、呪いか。いや、呪いだよこれ。ありえないでしょ。いったい私が何したっていうのさ。

 もしかして葵に好きって告白したら……、いやいや、ありえないありえない。そんなわけない。

 てかもしそうだったとしても、引かれたり嫌われたら……、死ぬしか選択肢がなくなるから、絶対できない。

 気持ちを伝えるくらいなら、一生タイムループしてたほうがまし。

 え、まって。一生タイムループするってことは、一生葵と会えるってことじゃん。最高か。

「とか言ってる場合じゃないよなー」

 ループ3回目、私まだまだ余裕ありそうです。

 学校で何もないんなら、外でとんでもない事件事故が起こってるのかなあ。トイレだから携帯いじってもばれないし、調べてみるか。

「何も起こってないな」

 とある俳優の不倫の記事は速報であったけど、さすがにこれでタイムループするわけないよなあ。

 どうしよう、何も分かんなかった。まあ、まだ余裕だし、次に託すか。

 てか、もうタイムループするかもわかんないし。

 最後に葵の顔でも拝んどくか……。ってまった。

「ぼたん、どうしちゃったんだろ。なんか様子おかしかったよね」

 ……。まじか。この声は葵だ。なんか気まずくてトイレから出るのためらっちゃたー。

 しかもよりにもよって葵は隣に入った。

 なんか葵が隣でトイレしてると思うと緊張す……、って私のおバカ!

 自分で自分の頭をこつんと叩く。

「ダイエットじゃなかったのかな。もしかして恋の悩みとかかな、なんか顔赤かったし」

 うぐう、まさかの図星。危うく声出そうになっちゃったよ。てか、私顔赤かったんだ、うそでしょはっず。それは死ぬって。いや死にたい。

 多分葵に赤くなってたとはばれてないよね、この感じだと。

 でも恥ずい、まじで恥ずい。

 声が出そうになるのを何とか抑えながら、悶絶していた。壁も音が出ないようにあたる直前で止めて叩いていた。

 すると、ちょろちょろtyrtyr……。

 ………………あ。

 すべての行動を止め耳を澄ます。ごくりと唾をのむ音が小さくなる。

 

 その瞬間だった。

 私は教室で自分の席に座っていたのだった……。

 時刻は一時間目。聞き覚えのある内容。

 あ、私分かったかもしれない。

 

 葵が放尿するとタイムループするんだ……!

 えぇ……。


 

 


 

 



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