警察署って、借りられる(豆知識)。
先に、言います。今日の話、面白いコトは一つもありません。でもすごく大事なコトを書いてあるので、できればご一読ください。そして、心のすみっこに置いておいてください。
警察署って、借りられるらしいです。
実際に借りたことはありませんが、複数人の警察官から聞いているので、おそらく本当。
警察署には、いくつか小部屋があるそうです。取り調べ室かなぁ?と、勝手に想像しています。
この小部屋、空いている時は一般人が借りられるそうです。
事前に予約ができるか定かではありませんが、空いていたら使えるらしい。
たとえば警察に被害届を出すほどではナイけれど、安全に話し合いをしたい場合。
怒らせると怖いかもしれない恋人と、安全に別れ話がしたい、たぶん大丈夫だと思うけど、何かされたら怖いので、安全な場所で話し合いをしたい。
注意していただきたいのは、部屋が借りられるだけで、警察官が同席することはナイです。また会話を警察が記録してくれることも、ありません。あくまでも「部屋が空いてるから、貸す」だけ。
少しでも危険を感じる時は、必ず事前に警察へ相談してくださいね。
問い・どうして私が、このことを知っているのか?
答え・私が、探したから。
問い・なぜ探したのか?
答え・そういう仕事を、していたから。
問い・そういう仕事って、なんやねん???
私、作家としては駆け出しです。お尻に卵のカラがくっついてるくらい、生まれたての作家。
でも前職は、それなりの実績がありました。DVの相談員です。そう。「ドメスティック・バイオレンス」の相談員……。
「なんだ? それ?」と思ったあなたは、幸運な方です。できればこのまま、DVと関わらずにお過ごしいただきたい! あなたに、幸あれ!!
残念ながらDVは、珍しいことではありません。日常茶飯事に繰り広げられている、親密な関係間の暴力です。現在進行形だけでなく、親密な関係に「あった」過去形の二人にも適用されます。ざっくり言うと、二人に一人が被害に遭っている感じ。老若男女問わず。異性間、同性間、問わず。
内閣府の発表は、女性が三人に一人、男性は五人に一人となっていますが、現場の体感からすると、言わない方が多いだけで、実数はもっと多い感じです。
仕事を辞めた今も守秘義務は厳としてあるので、個人を特定する情報は明かしません。何より私に相談してくださった方々の信頼は、一生をかけて守り抜く所存ですので、お話の細かい所は変えてあります。ので、一般的なお話を……。
一般的なDV……(ため息)。
ちょっとグチってイイですか?
私はDVの相談員になりたくて、なったワケではありません。
色々な相談を受けるうちに「ソウマチはDVの相談対応ができるから、ソウマチに対応してもらおう!!」という流れになっただけです。DV対応ができない相談員は、けっこう多い。
これからDV被害に遭って、DV相談をするかもしれない方もいると思うので、その時の注意点を。
相談を受けるほうも、人間です。弱い人間もいれば、強い人間もいる。
私は弱い人間ですが「相談を受けるからには、真正面から受け止めよう!」と、その一点だけは心に決めていました。その方が辛いのなら、辛い気持ちはきちんと受け止める。
正直、DV被害のお話を聴くのは辛いです。聴くだけでトラウマになるお話が、たくさんあります。
聴いていると、身体が引いてしまう。文字通り、身体が後ろに引いてしまうのです。でもそれでは、相談になりません。本能的に引く身体を無理やり前に押し出して、一生懸命に聴く。すると、腹筋が六つに割れてくるのですよ……。ものすごく力が入っているのでしょう。何も運動していないのに、腹筋が割れます。今はプヨプヨお腹の私ですが、相談員をしていた頃は、すごい腹筋でした。
でも、やっぱり人間は弱いです。私は意識して強いフリをしていましたが、フリさえできない人もいます。そういう人に相談すると、「あなたのガマンが足りないのでは?」 「あなたにも、悪いところがあるのでは?」など、クソみたいなことを言われます。これは本当にクソなので、傷つかないように聞き流してください。そのクソみたいな相談員の代わりに言い訳すると、「合理化」とか「矮小化」とかいう心理学的な心の動きがあるのです。
しんどい話を聴くと、辛い。だから「コレは、大したコトのない問題だ」と思いたい。だから「あなたがガマンしたら?」などという、クソ発言になる。気持ちはわからんでもナイですが、クソです。あなたが辛いなら、それが真実です。クソの言うことなんて、聞き流してください。そして速やかに、他の人に相談してください。あちこちに相談していれば、色々な人が少しずつ助けてくれます。みんなで重たい荷物を持てば、一人あたりの負担は軽くなる。それは、おぼえておいてください。
「クソのクソ発言は、無視してください」ということはお伝えできたので、次に進みます。
「一般的なDV」に話を戻します。「一般的って、どんなDVやねん?」と思われるでしょう。DVには、色々な種類がありますから。
私がDV相談を受けていたときに、一番気にしていたのは「相談者の方は、生きているか?」です。生きていたら、9割はOK!! 生きていてくれて、ありがとう!の世界。それほど、シャレにならない世界でした。これは、私に限った話ではありません。仲間の相談員も、日々そういう世界で働いています。これが、一般的なDVです。ほんと、シャレにならん。
そういう状況の中で、最優先事項は「安全確保」です。殺されないよう、安全を確保する。DV加害者から逃げるのにお金がナイとか、住む場所がナイという問題は、もっとずっと後の話。まずは「殺されない」環境を確保する。
DVには、DV防止法とかストーカー規制法とか、他の刑事とか民事とかの法律が適用されます。……法律すっとばして、やらかしてくれる加害者もたくさんいるのですが、一応、法の遵守を基本に話を進めます。なお、そういう違法行為をものともしない加害者からは、物理的に逃げるのが一番です。なんで被害者が逃げないといけないのか?という切ない話は、横に置いといてください。被害者は1ミリも悪くないですが、悪くなくても逃げたほうが良い場合もあるのです。
すみません。また話を元に戻します。法の遵守のもとに、DV被害から逃れる、です。
DVとストーカーは、重複する部分もあります。被害も、法律も。どちらも「加害を辞めてください!」という意思表示が大切です。「やめて!」と加害者に明確に伝えてから、法律によるカウントダウンが開始します。つまり「やめて!」と明確に伝えないと、法が適用されない可能性がある。
ところが「やめて!」と伝えるのには、物凄く危険が伴います。「やめて!」と言ったばっかりに、殺される場合もある。言わないと止まらないが、言うと危ない。
まさに「どないせえっっちゅうねん!?」の世界です。ほんとにDVは、やっかいです。
ゆえに「安全を確保した上で『やめて』と伝える」ための場所が必要になる。私見ですがメールのほうが、私はイイと考えます。物理的に離れているので安心だし、メールは残るので後で証拠になります。でも、そうもいかない場合もあるので「安全な場所」が必要なのです。
だから私は、探しました。「安全に話し合いのできる場所って、どこだ?」。
それが警察署だったのです。警察署だから必ず安全とは限りませんが、二人きりで密室で話をするより、よほど安全です。
今思えば、私が仕事でトラブって監禁されそうになった時も、相手のお店にノコノコ行かず、警察署で話し合いをすれば良かった。そしたら警察に来てもらうこともなかったのに……。まあ、今生きてるからイイですけど、あれは大失敗でした。
というワケで「ヤバイかもしれない。でも会わないといけない」という事態になった時は「警察署で話し合いをしたほうが、イイんじゃないか?」という選択肢を思い出してください。DVに限らず、安全確保は大事です。恥ずかしいとかいうのは置いといて、ご自身の安全を最優先してください。
安全を確保した後に「それで、どうする?」です。まずは、安全確保!!!!!
あなたにイイコトありますように!




