濃厚旅行 ついに東京! 編
あなた様へ。
御高覧、ありがとうございます。昨日は、エッセイを2つ書きました。もしかしたらお気づきでないといけませんので、ご報告します。昨日の分は2つ、あります。では、本編へ……♪
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東京駅! 人が多い! 怖い! トイレに行きたい! 人! 人! 人!
ここは、どこなんだ!? 脱出しないと! トイレはどこ!? うぎゃああああ!!
杖を右手に、カートは左手。ナビをしてくれるスマホを持つ手が足りない!! 人が多い!
出口がわからへん!! ここは、どこ!? トイレに行きたい!!
動揺しながら、歩きます。杖とカートで両手がふさがってスマホが見られないので、数歩進んでは立ち止まり、ポケットからスマホを取り出して確認する。するとスマホが、見るたびに違うことを言いやがる!
スマホ:あ、そっちから行くの? じゃあ、ちょっと遠回りだけど、そっちの道を表示するね!
私:いや、ちがくて! さっきの道から行きたいけど、方向を間違っただけだから! ってか方向、わかんないけど! さっきの道を、そのまま表示しておいて!
スマホ:ちなみに、こっちからも行けるよ~! デパートの中を通る道だよ♪
私:違う道とか、いらんから! 同じ道だけ、表示しといて!
スマホ:今なら、この道が最短! そんで、こっちの道は同じ時間で行ける!
私:ワケわからんくなるから、同じ道でいいから!!
見るたびに変わる表示で、パニックになる私! さすが東京! いくつでも道があるんだ! まるで迷宮!! 脱出しないと! あと、トイレ!
歩いていると、トイレを発見! でも人が多いし、今はとにかく出口まで行こう! 都会だから、トイレはたくさんあるはず!
内心はパニックですが、見た目はヨチヨチ頼りない足取りです。他の方の迷惑にならないように、壁際を進む。 カートが重たい! キンチョーと貧血で、フラフラする!!
急に目の前が開けて、出口が見えました! やった! 辿りついた! 外へ出てみると、車がたくさん見えます! タクシーに乗り込む前に、トイレに行きたい! トイレは、どこ!? ところがあーた! トイレなんてどこにもナイのですよ! 都会だからすぐ見つかると思ったら、どこにもナイ!! あるかもだけど、わからない!! 半泣きになりながら、今来た道を戻ります。さっき見たトイレに行こう(涙)。 こんなことになるなら、さっき行けば良かった! トイレは案の定、行列ができています。 この後、何度も経験して身をもって知るのですが、東京って並ばないと何もできない! トイレも、タクシーも、コンビニも、食事も、切符を買うのも、まず並ぶ! 早くしてぇ~!!
やっと順番が来て、トイレに入ります。個室で一人になって、ゼイゼイ息をする。こ、こわかった……。人の多さが、こわかった! もうずっと、ここに落ち着きたい……(涙)。このトイレで生きてゆきたい……(涙)。しかしそうも言ってらんないので、勇気を出して再び突撃です! さっき通った道を戻って、出口へ向かう!!
次の任務は「タクシーでホテルへ向かう」。本当はゆっくり歩いてホテルへ行くつもりでしたけれど、人と車の多さにビビってあきらめた。2kmほどの距離でタクシーに乗って、運転手さんから近すぎると怒られやしないだろうか? 急に怖くなったので、スマホで「タクシー 怒られない距離」を調べてみます。どうやら初乗り料金だと、怒られるらしい。2kmなら初乗り料金にはならないだろうけど、近すぎて心配……。どうしよう? そうだ! イイコト思いついた!
私はヨチヨチしながらタクシーに乗り込むと、運転手さんにお願いしました。
私:小学館の本社ビルの前を通って、山の上ホテルまでお願いします!
明日行く小学館の下見を兼ねて、ちょっとだけ遠回り! これなら近すぎると怒られることもないし、下見で心の準備ができるので、一石二鳥! 私、賢い! (← 自画自賛)
タクシーが動き出します。ビルの間を、スイスイと走ってゆく。ビルは途切れることなく、ずううっと並んでいます。都会は、すごいな! ビルばっかりや! おり? ビルが途切れた! 坂道を登ってゆくぞ! 両脇には、大きな木がたくさん! 森に入った? なんだ都会って、すぐに終わるんだ! 大したことなかった! (← 都会をナメてた)
運転手さん:山の上ホテルです。到着しました。
えええ!? 小学館の本社ビルは!? いつ通過したんですか!? なんで教えてくれなかったんですか!? 見たかったんですけど! 明日の心の準備がしたかったんですけど!! 都会の人って、教えてくれないんですか!? これが都会ですか!?
ビックリしていると、ドアの横でホテルのドアマンが頭を下げました。20代らしき男性ドアマン。スラリとした長身で、メガネが良く似合う。どう見ても、イケメン。どっから見ても、イケメン。イケメン・ドアマンは、タクシーのドアが開くと慇懃無礼な態度で「ご宿泊のお客様でいらっしゃいますか?」と、私に尋ねた。はい。そうです。都会の洗礼にビックリしている、田舎の宿泊客です……(涙)。ビルは、あきらめよう。どっちみち、明日行くし(涙)。
貧乏な私が山の上ホテルに到着して、あなたは驚いたかもしれません。山の上ホテルと言えば、都内で屈指の老舗高級ホテルです。お値段だって、高額です。貧乏な私が、なぜ山の上ホテルなのか?
私は幼い頃から本が好きで、いつも本を読んでいました。たくさん読んだ本の中に「山の上ホテル」が何度も登場しました。山の上ホテルと言えば、数多くの出版社が立ち並ぶ神保町のすぐ近くにある、山の上のホテルです。老舗高級ホテルなので都内にしては珍しく、たくさんの木々がある。ここで数多くの文豪が作品を書いたり、ホテル内のバー・ノンノンで交流を深めてきた。私にとってこのホテルは「いつか行ってみたい聖地」だったのです。そして今日、たどり着いた! しかも作家として! 夢が叶った! 神様、ありがとう!!!!! 何者でもない無名の私が作家になって、このホテルに辿り着きましたあああああ!!!!! ここまでたどり着くのに、30年以上かかりました!!! 私、よくやった! よく頑張った!!!
ここまでたどり着く苦労を書いたら、余裕で本が一冊書けます。でも省略。苦労話なんて、面白くないですもの。それにしても、嬉しい! 感無量です!!
じつはあまりに嬉しくて、ホテルに宿泊する前から浮かれていました♪ あまりに浮かれてホテルにメールで「山の上ホテルに泊まることが、長年の夢でした! 今回夢が叶って、嬉しいです!」と伝えていました(笑)。どんだけ浮かれてんねん! 意外でありがたいことに、浮かれたメールにお返事がありました。東田さん(仮名)というスタッフの方からです。「お言葉、大変うれしく思います。当日、ソウマチ様にお目にかかるのをスタッフ一同、心よりお待ち申し上げております」。浮かれた客にも、丁寧な対応。どんだけ配慮が行き届いてるんだ……。
色々と思い出し、浮かれてフワフワしながら、イケメン・ドアマンの後ろをついてゆきます。そうだ。思い出した。キンチョーして腹は減ってないが、何か食べておかないと。
私:いまホテル内で、食事のできるお店はありますか?
イケメン:只今の時間でしたら、ヒル・トップという喫茶室がございます。ただ先ほどまで数組のお客様がお待ちでしたので、もしかしたらお待ち頂くかもしれません。
私:大丈夫です♪ 今日はもう用事はないので、待つのは構いません。
イケメン:お客様のお名前を、教えてくださいますか? 喫茶室に予約をお取りしましょう。
私:名前はソウマチです。でも予約は、必要ありません! 自分で行って、並びます!
予約なんて、めっそうもない! イケメンのお手を煩わせるのも、わざわざ席を押さえてもらうのも、恐れ多いです! 私なら、いくらでも待ちますから!!
イケメン:そうでございますか。ではチェックインのために、カウンターへご案内致します。
チェックインはですね、フカフカのソファに座って行われました……。フツー、カウンターで立ったまましますよね? ちゃっちゃと書類に名前書いて、ちゃっちゃと済ませる。ところがここでは、フカフカのソファに座って、儀式が執り行われるのですよ……。ソファのフカフカにビビりながら座っていると、熱いおしぼりをお茶が運ばれてきた!! なんで!? どんなサービス!?
私の動揺をよそに、チェックインの儀式は優雅に執り行われます。これがまた、目のさめるような美人さんが相手をしてくださるのですよ! スマートな制服に身を包んだ、知的な美人さんが!!
見つめられるだけで、ドキドキします! お手を煩わせてしまって、すみません!
美人さんはにこやかに、儀式を進めます。キンチョーして記憶が飛んでいるのですけれど、コロナ対策で朝食は個別に部屋へ運ぶこと、朝食の種類は何がお好みかだけは理解できた。すべての客に、ルームサービス! どんだけ手間がかかるんだ! 朝食の種類も、すごかったです。メニューを出されたけど、種類が多すぎて理解できない! オタオタしながら、適当なのを選びます。何でもいいです! 口に入りさえすれば!
なんとか儀式を終えて、部屋へ案内されます。さっきのイケメンとは、別のドアマン。こちらの方もシュッとしていて、賢そう……。あれですか? このホテルは、容姿端麗でないと雇ってもらえませんか?
ホテル内は、歴史を感じる木のぬくもりを感じる豪華な内装です。フカフカの絨毯に、見たこともない陶器のプレートが廊下の幅木に使ってあります。ほら床と壁がくっついてるところ、壁の下の部分に、フツーは木が貼ってるでしょう? あれが陶器なんですよ! 一目で手描きとわかる陶器! どんだけ金かかってんだ!
立ち並ぶ部屋のドアも、古色蒼然とした豪華な木のドアです。昔の外国の推理小説に出てくるようなドア。あれですよ、豪華な部屋の中で人が死んでて、名探偵が斧でブチ破って中に入る豪華な厚い木製のドア(どんなドアだよ)。
イケメンの後にくっついてフカフカの絨毯をヨチヨチ歩いていると、疑問が浮かんできました。
私:こんなに豪華な場所で働いていて、キンチョーしませんか? どこを見ても芸術品みたいな建物だし、雰囲気だってフツーとぜんぜん違うし……。
イケメン:最初の3年は、緊張しました。けれども私はこのホテルに惚れ込んで、このホテルで働くのが夢でしたので。
私:なんか、わかります(だって私もこのホテルに泊まるのが、長年の夢でしたから)。
彼は大きなドアに、金色のルームキーを差し込みます。この鍵がまた、ドラマに出てくるような鍵なのですよ。古くて大きくて、立派な鍵。昔の外国の推理小説に出てきそうな……(以下略)。
広々とした洋風の部屋には、大きな2つのベッド、明るい大きな窓。優雅な化粧机とテーブルセット、それとは別に執筆机があります。さすが文豪の愛した高級ホテル。わざわざ執筆机がある……。
可愛らしい化粧机の上には、一輪の真っ赤なバラが活けてあります。もちろん生花です。どんだけ豪華なんだ……。
イケメンさんは丁寧に、お部屋の空調や明かりの設備の説明をしてくださいました。がしかし、何も理解できませんでした。彼のイケメンぶりに圧倒されて、内容が頭に入らない。彼の言っていることを理解するには、彼のイケメンぶりに慣れる必要がある。そのためには、最低2時間は彼を眺めて慣れないとムリ。会って数分で慣れるのは、ムリです。とりあえずゴリラのお面とか、被ってくれるかな? 私の動揺をよそに、彼は優雅な手つきで大きな窓を開けます。
彼:この窓を開閉するには、少々コツが必要ですので……。
たぶん外国製の窓。見たこともナイ金具が付いてる。窓一枚で、とんでもない金額だと思う。彼が開け閉めのお手本を見せてくださいますが、わからない。
私:また開ける自信がナイので、そのまま開けておいてくださいますか?
イケメン:承知致しました。窓を閉める際には、お呼びくださればすぐ閉めに参りますので。
窓一枚閉めるのに、あなたのお手を煩わせたらバチが当たります!! とんでもない!! なんとか自分で頑張りますから!!
彼:他にご用は、ありますでしょうか? 何なりとお申しつけください。
私:バー・ノンノンは、今日はお休みですよね? 開いていませんよね? すごくすごくすごく楽しみだったのですけれど、日曜日は閉まっているのですよね? (← ちょっと泣き顔)
色々な本に何度も登場する老舗バー・ノンノン。ホテルに泊まるのと同じくらい、このバーに行くのを楽しみにしていました。文豪たちがある時は執筆の疲れを癒すため、またある時は文学論を交わし、作家同士の交流を深める。私にとって、聖域のような場所です。そこで文豪たちに思いを馳せながら、物語の主人公になったつもりでお酒を飲みたかった。けれどもコロナのせいで、日曜日はクローズです。でももしかしたら、開いてるかもしれない。一縷の望みを託して、尋ねてみたけど……。
彼:申し訳ございません。本日は開いておりません。でも……。
でも、なに!? もしかして、開いてる!? 今日だけ、開いてる!?
彼:営業はしておりませんけれども、バーの店内をご案内することは可能でございます。
とんでもない!! わざわざ私のためだけにお店を開けて案内してもらうなんて、バチが当たります! めっそうもない!!
彼:せっかくですから、ご案内いたします。
私:いいです! 大丈夫です! 次は開店してる時に、伺いますから!!
わざわざ開けてもらうくらいなら、もう一冊本を書きます! 本を書いて打ち合わせに呼んでもらって、また東京に来ますから!!
彼:そうでございますか? それでは次の機会を、心よりお待ちしております。他にご用は、ありますでしょうか?
そう言われて、大事なことを思い出した。親切なメールをくださったスタッフの東田さんに、お礼を伝えてほしい。
私:ホテルスタッフの東田(仮名)さんに、よろしくお伝えください。頂いたご親切なメールがとても嬉しかったと伝えてくだされば、おわかりくださると思います。でも、ついでの時で大丈夫です。たまたますれ違った時にでも、お伝えください!
彼:承知致しました。どうぞごゆっくり、御滞在くださいませ。
彼が部屋から出ていって、ほっと一息です。私はお部屋に、頭を下げます。一晩だけですが、お世話になります。どうぞ、よろしくお願いします。
明日の10時に小学館へ行くまで、予定はありません。これから、どうしよう? そうだ。何か食べないと。ちょうどおやつの時間です。朝ごはんの後は何も食べてないので、たぶんお腹が減っているはず。キンチョーしてるから、お腹減ってるのかわかんないけど。
ヨチヨチ歩いてエレベーターに乗り、喫茶室を目指します。明るい日差しが差し込む、落ち着いた雰囲気のお店です。そしてここも、豪華(笑)。華奢なクリスタルのシャンデリアが、いくつも下がっている。その下で可愛らしいメイド服を着たお嬢さんたちが、慣れた様子で働いています。そして豪華な服を着たお客様がたくさん! おハイソな空気! なんか豪華! 目がチカチカする☆
ビビりながら入口へ近づくと、バシっとスーツを着てインカムを付けた女性が、にこやかに出迎えてくれました。彼女もまた、容姿端麗。このホテルは、スタッフ全員容姿端麗……。ビビる……。
私:一人です……。お代金は部屋付けでお願いしたいのですが、できますか??
彼女:承知致しました。恐れ入りますが、お名前を頂戴できますでしょうか?
私:ソウマチです……。
彼女:ソウマチ様ですね。先ほどフロントから、予約を頂戴しております。お待ちしておりました。
!!! すでに席が予約されていました!! 自分で行くって言ったのに、押さえてくださってたんだ!! どんだけ親切!? どんだけ気が利くの!?
繊細なレースのあしらわれた真っ白なランチョンマットと、華奢で豪華な椅子、重厚かつ可愛らしい木製のテーブルへ誘われます。私ごときが、座らせて頂いてもよろしいお席でしょうか?? ドキドキしながら座って、メニューを開きます。こんな豪華な場所ですから、これを読んでいるあなたは私がメニューを開いて値段の高さにビックリしたとお考えになるかもしれません。でも、大丈夫です! すでにホームページで、お値段は把握しています! 事前に予習しましたから! 心の準備をしないと、入る勇気がありませんから!
下世話な話になりますが、グラスワインは1杯1,700円です! サンドウィッチは、2,200円!! 貧乏な私からしたら、とんでもない金額です!! 100円のパンでさえ贅沢だと買わない私が、2,200円のサンドウィッチ!! でも食べる! だってやっと夢が叶って、やっとたどり着いた場所だから! ここでサンドウィッチを食べた想い出は、一生の想い出になるから!!
きめ細やかなパンで挟まれた瑞々しいレタス、分厚くてしっとりしたロースハム、果物のように甘くて赤いトマト(トマトは実際、果物です)、生クリームのようにすべらかなチーズ、今まで食べたサンドウィッチの中でも、ダントツの味……だったと……思います……。キンチョーして、味がわからんかったさ……。 白ワインも、美味しかった……と思います。たぶん……。
大きな窓から見える甲賀坂(←事前に調べ済み)には、金色の管楽器や大きな弦楽器のケースを抱えた白いブラウスと黒いロングスカートの優雅な女性たちが、笑いながら歩いています。演奏会の帰りらしい。フツーに歩いている人たちでさえ、豪華だよ……。店内では日曜日なのにスーツやワンピースを着たセレヴなお客様たちが、笑いさざめいています。たぶん結婚前の顔合わせとか、大事なお客様をおもてなししている感じ。なんかもうおハイソすぎて、身の置き場がありません。わたし滋賀で、ごめん!!
一人だけ、異質なお客様がいました。私と同じくらい(50代)の女性。絹でできた上質なお洋服(でも普段着)、髪の毛はツヤツヤ(でも普段な感じ)、靴やバッグも一流品(でもカジュアル)。手入れの行き届いた美しい肌(普段からエステに行ってる)に、美しいお化粧(高級化粧品)、指輪やネックレスもさりげないデザインだけどどう見ても本物(カジュアルだけど高価)、何が言いたいかって言うと、ものすごく金かかってんのに、それを全然自慢してない当たり前な感じ。生まれた瞬間からお金持ちで、自分が豪華ってことに気づいてナイ女性。その方が一人で、プリンアラモードをつまんなさそうに食べていました。私は知っている! そのプリンアラモード、1,800円もするんだから! 食べたかったけど、さすがに贅沢すぎるとあきらめたプリンアラモードですから!! その豪華なプリンアラモードを、ものすごくつまんなさそうに食べてる!! 食べ慣れてるんでしょう!? 1,800円くらいじゃ、お財布は痛まないセレヴなのでしょう!! うらやましい!! はっきり言って、ものすごくうらやましい!!
でも……。つまんなさそう……。私ならそのプリンアラモードを食べたら、喜びで踊ると思いますよ? 写真も撮ってツイッターに公開して、後々まで「あのプリンアラモードは美味しかった……!」って何度も反芻すると思う。このエッセイにだって、絶対に書く。その場その時だけでなく、ずうっと何年も後まで、そのプリンアラモードを楽しむと思う。
……どっちが幸せなんでしょう? 貧乏でいちいちビビったり喜んだりする私と、生活すべてが豪華でご自身の幸せに気づかないあの女性……。もしかしたら、私のほうが幸せなんじゃないだろうか? 同じ時間に同じ場所にいるのに、彼女はとてもつまらなさそう。反して私は、幸せの絶頂です。私のほうが貧乏だけど、私のほうが幸せな気がする……。
思わぬところで感慨にふけりながら、ワインを飲み終えました。今はキンチョーしてサンドウィッチもワインも味がわかんないけれど、後で思い出して楽しもう。後でエッセイに書いて、読者様に喜んでもらおう。そして死ぬまで、今日の想い出を大事にしよう。
可愛いメイド服を着たお嬢さんに、精算をお願いします。伝票にサインをしながら、お礼を伝えました。
私:フロントの方が席を押さえてくださっていて、助かりました♪ ありがとうございます♪
彼女:それは良かったです♪ 今日はずっとお客様がたくさんいらしてくださって、夕方も予約で埋まりそうです。
私:え? (東京で出歩くのは怖いから)また夕方も、このお店に来るつもりですが?
彼女:まあ! それでしたら、ご予約を取っておきますね♪
私:ぜひ、お願いします!
危なかった……! 近くはオフィス街で日曜日にお店は開いてないし、クタクタで遠くへ行く元気はない。かといってホテル内の他のお店に行く勇気も金もない! ホテル内の他のお店の晩御飯は、最低でも2万円スタートです! 最低でも2万円! 上は天井知らず! この喫茶室でないとご飯が食べられないから、教えてもらって良かった!
(続く)
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ソウマチのツイッターをご覧の方は、ジリジリしているかもしれません。
「プロポーズされた話は、いつ出てくるんだ!? あの話は、ウソだったのか!?」
ウソじゃないです。本当にプロポーズされました。でも今回の旅行、内容が濃密すぎて書くことがたくさんありすぎて……。だいぶ省略しているのですよ! これでも! もうちょっとお待ちください! できるだけ、急ぎますので!!
ではでは、またお会いしましょう♪