濃厚旅行 山梨~静岡~東京の、山梨編 2
どこまでお話しましたっけ? そうだ! 駐車場で車にはねられかけた話ですね。
旅行中に、やたらと足やお腹がかゆい話は、しましたっけ? ホテルの部屋が乾燥しているせいか、かゆいのなんのって! かゆみ止めクリームを塗っても、かゆい!
そうそう私、旅行中は杖をついて歩いていました。ずっと前にメンタルをやられて、歩けなくなった時期がありまして。今は歩けるのですけれど、キンチョーしたり長時間歩くと、足が痛くなります。ゆえに旅行中はずっと、杖をついて歩いていました。
杖といえば、このお話もせねばならないでしょう。最初このお話は書かないはずだったのですけれど、あなたのお役に立ちたいので、あえて書きます。さらに実際の地名も書きます。「ウチの評判に傷が!」という方がいらしたら、私を名誉棄損で訴えてください。真正面から、受けて立つ!! 売られたケンカは、買います!
山梨県の昇仙渓という観光地へ行きました。変わった形の岩があって、紅葉が美しいところでした。お土産屋さんの集まる地域に入り、無料駐車場に車を停めて歩いていると、おじさんが近づいてきた。
おじさんA:この辺からは、何にも見えないよ。山の上に行かなきゃダメ。でも登りの山道はキツイから、あそこからバスに乗りなさい。帰りは楽だから、ゆっくり歩いて降りてくればいい。
私はおじさんが親切に教えてくれたのだと思って、お礼を言いました。一緒にいた彼は私に「ちょっとその辺を見てきますね。歩くのは大変だから、ここで待っててください」と言って、公営バスのベンチを指差しました。彼はとっても穏やかで、優しい方です。まるで仏様のよう。そして少し先にあるバスの時刻表を見に行きました。私は彼の優しさに感謝しつつ、杖をついてヨチヨチ歩いてベンチに座ろうとすると、別のおじさんが近づいて来ました。
おじB:観光で来たの?
私:そうです。
おじB:じゃあ、そのバスじゃないよ! そのバスは、駅に行くよ!
私:おお! 山の上には、行かないですか! 教えてくださって、ありがとうございます!
おじB:山の上に行くバスはね、こっち!
おじさんは、道路を指差します。でもバス停がある感じじゃない。何もナイ道路です。私はヨチヨチと、おじさんの後をついてゆきます。
おじB:ここで待ってて! バスのチケットはね、大人ひとり300円。
私:じゃあ、2人分お願いします。はい、600円。
待っていると、銀色のワンボックスカーが走ってきました。
おじB:このバスだよ!これに乗ったら、山の上に行けるから! 早く乗りなさい!
私:でも彼がまだ……。
そう言っていると、彼がこちらへ走ってきました。私はドヤ顔で「こっち! 早く! バスのチケットは買ったから~!」と言って、彼にチケットを振り回しました。すると優しい彼が、鬼みたいな顔になりました!
私:っっっ!?
彼:ちがう! ちがう!
私はいったい何をやらかして、彼を怒らせてしまったのでしょう!? いつもは仏様みたいな彼の眼は、怒りで吊り上がっています! なんか知らんけど、怒られる!
私:ご、ごめんなさ……。
彼:いったいどういうことやっっっ!? 何してんのやっっっ!?
彼は私を素通りして、おじBに怒鳴ります! なにっっっ!? どゆことっっっ!?
おじB:山の上まで歩くのは厳しいから、登りはバスで……。
彼:登りが厳しいなら、帰りもキツイんちゃうか!? 下りの道は、どうなんや!?
おじB:下りはゆっくり歩けば……。
彼:ゆっくり歩けば、どうなんや!?
私:お、落ち着いて。私なら、大丈夫! おじさんの言う通り、ゆっくり歩くし! 登りはバスだから、楽だし。ね、怒らないで。
彼:ゆっくりて、どんくらい歩くんや? 何分かかるんや!?
おじB:普通に歩けば、40分くらい……。
彼:彼女が杖ついてるの、見たらわかるやろ!? 普通に歩ける思うか!? 彼女がケガしたら、どう責任取るんや!? だいたいアンタら、観光協会とか公の人か!? 許可を得て営業してんのか!?
おじB:…………。
え? ちゃんとした人じゃないの? おじさん、なんで黙るの!? 言い返すなら、今だよ!
黙り込むおじさんを見て、鈍い私もさすがに察しました。おじさん、まともじゃないコトしてる。
私:えっと、ごめんなさい。私、40分も歩けない足なのです。非常に申し訳ないのですが、お山に登るのはやめておきます。払い戻しは、お願いできますか?
おじさん、すごい速さで600円返してくれました。
私は「????」で頭が一杯のまま、その場を離れました。後で彼が言うところによると……。
・観光地であちらから声を掛けてくるのは、たいてい客引き。要注意。
・一人目のおじさんが「この辺からは、何にも見えない」とディスった時に、怪しいと思った。何も見えない場所に、こんなにたくさん土産店があるはずない。
・本当にバスでないと山の上まで行けないのか、情報収集に行った。そしたら君(私のこと)が、声を掛けられて移動するのが見えたので、あわてて戻ってきた。
・バスストップもない場所で、車体に何も書いてないワンボックスカーを見て、無許可の営業だと確信した。
・何より君が杖をついているのに、無事に下山できるか配慮してないのが気に入らない! チケットさえ売れば、後は知らんという態度に腹が立った!
でも彼は優しい方なので、ちゃんとフォローもしてくれました。
彼:無許可でも300円なら便利に使う人もいるだろうし、役に立ってるんじゃないかな。君が歩けないからボクは心配しただけで、他の人が便利なら別にイイと思うよ。
彼の優しさに感動したのですが、その優しい彼を裏切る行為もあるようで……。
登りのバス代が、300円。安いと思います。良心的だと思います。別に乗っても、構わないと思います。事故やケガの保険は入ってないでしょうから、何かあった時に無責任に放り出されるリスクさえ承知すれば、安いと思います。
ところが下りは、3,000円するらしいです! 行きの10倍! 同じ距離なのに!! たぶん下りは、シャレにならない道なのでしょう。登りの300円は、帰りの3,000円を稼ぐための呼び水。 悪どい! どうりで往復のチケットを売らないワケだ!! 先に下りの値段を知ったら、登るのやめますもの!!
結局私と彼はロープウェイの乗り場に移動して、ロープウェイで昇仙渓を満喫しました。景色もキレイで楽しかったのですが、景色より何より、優しい彼の知らない一面にビビりまくった一件でした。旅行って、コワイですね。知ってる人の知らない一面まで、見てしまう……。私のために怒ってくれたのですから嬉しい反面、彼だけは怒らせないようにしようと、堅く決心しました!!
余談ですが私は実際に経験していないので未確認ですが、おうちに帰ってネットで調べたところ、駐車場やお土産屋さんでも、トラブルがあるらしいです。「この先に駐車場はない」と言われたり(本当は無料駐車場があるらしい)、「うちは無料駐車場だから!」と言って駐車させてお土産を買わないと強い口調で文句を言われたり(することが、たまにあるらしい)、なんか色々とあるらしいです。あなたがお出かけの際は、何事もなく楽しい一日になりますように。
ここまで書いて、急に思い出しました。足とお腹のかゆみの原因です。ずっとご馳走をたらふく食べていたせいでした。モリモリ食べたからブクブク太って、体重が自己ベスト(ベストか?)を更新しまして、身体の皮が突っ張って、かゆくなっていました。乾燥のせいではなくて、自分の管理不足のせいでした! 今、人生で一番太っています! いいの! 食べたい物を好きなだけ食べた結果だから! ぜんぶ美味しかったから!!
このお話、まだ静岡県にさえ到達していませんね……。気長にお付き合いくださいませ♪