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ドキドキ台湾☆ 5 警備員のお仕事!

【お詫び】

ごめんなさい! 前回の題名を「警備員のお仕事!」にしていたのに、警備員さんが1ミリも出なくて、すみませんでした! 警備員さんを出すはずがたどり着かず、題名を変えないといけないのに気付かないままでした! 後で副題を「広い公園にて」に修正しました。気づくのが遅くなって、すみません! 今日は、ちゃんと警備員さんが出ます!


ではでは「警備員のお仕事!」、はじまり、はじまり~♪


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 台湾で地元の方がたのご親切で、無事に再会できた姑と私は、銀行を目指すことにしました。

日本円を、台湾ドルに両替するためです。けれど朝の通勤ラッシュに巻き込まれて、歩くのもままならない。速足で歩くスピードに乗り遅れると、かかとを踏まれてしまいます。前から突進してくる人にも注意です。上手によけないと、ドシンとぶつかってしまう。そして自転車が、すごい勢いで人の間を走り抜けてゆく! 怖い! 怖いです!


「お、お義母さん、手を! 手をつなぎましょう!」

「そ、そうね!」


はぐれないように、手をつなぐ二人。姑と手をつないだのは、この時が最初で最後です。日本ならテレくさくてできませんが、今は必死です。はぐれないために、手をつなごう!


「人も多いですけど、クルマも多いですね!」

「原付バイクも、すごい数ね!」


車道には車がみっちり詰まっていて、その間を原付バイクがすり抜けていきます。あちこちでクラクションが鳴っている。こういうの、何て言うんだっけ? カオス? 混沌?? 怖いです!


銀行が見えてきました! なんとか無事です! 良かった!

時間は8時55分。あと5分で銀行は開きます。銀行の前に行こうとすると、一人の警備員さんに行く手を阻まれました。なに? なにかありましたか?

 警備員さんが、歩道の人たちを両手で押しとどめます。ほんの少し開いた隙間を狙って、車道から銀行の駐車場へ、続々と黒塗りのハイヤーが入ってゆく。どうやら銀行の偉いさんたちが、ご出勤のようです。台湾の偉いさんたちって、遅刻スレスレで御出勤なんだ。ww


 立ち止まってご出勤を眺めていると、ふと疑問が湧きました。姑に、質問します。


「お義母さん。お義母さんも日本では、黒塗りのハイヤーでご出勤なさっていたのですか?」

「まさか! 自分で車を運転していたわよ! 会議や講演会の講師をする時は、迎えのハイヤーが来ていたけど、普段は自分で運転してたわ」

「へぇ~! それでもたまには、ハイヤーがお迎えに来てたんですか!? すごいですね!」

「すごくないわよ!」


 そのうちに、ハイヤーの行列が途絶えました。歩道の皆さんは先を争って、歩き始めます。私たちも押されるように、歩き出しました。前に大きな身体の男性がいたので、彼に隠れるようにしてついてゆきます。これなら前方からの攻撃は、防いでもらえる♪ ラッキー♪

歩きながら、私はしつこく言います。


「お義母さん、すごいじゃないですか! わたし、ハイヤーのお迎えなんて、一度も経験ありませんよ! お義母さん、偉いさんじゃないですか!ww」


グイっ! 姑から後ろへ強く引っ張られて、ひっくり返りそうになりました! えっ!? お義母さん、怒ってる? 私が偉いさんなんて冷やかしたから、怒ってる!? 振り向くと、姑が怖い顔をしています! やっぱり怒ってる!


「ご、ごめんなさ…………」


キイイイイっっっ!! ドンっっっ!! 


すごい音がしました。振り返って見ると、ハイヤーと歩行者がぶつかってる!! 大きな身体の男性が、歩道にうずくまっています! 人身事故っっっ! もし姑が手を引っ張ってくれなかったら、私もハイヤーにぶつかってた! お義母さん、私を助けてくれたんだ!


「マチさん、大丈夫!?」 姑が、私を心配してくれます。

「だだだ、だいじょうぶです! ありがとうございます!」


警備員さんが、動かない男性に駆け寄ります。ぶつかったハイヤーは、歩道の上で立ち往生している。幸い血は出ていないようですが、大変な事態です! 警備員さん、彼を助けて!!

警備員さんは彼に近づくと、両手を振り回しながら彼に向って怒鳴り始めました! どういうこと!? なにしてんの!? 早く救急車を呼んであげて!!

ボーゼンと見ていると、うずくまっていた彼が立ち上がりました。そして両手でズボンのホコリを払うと、何事もなかったかのように、スタスタと歩き出した! その後ろから警備員さんが、大声で怒鳴ります。そうしている間に彼とぶつかったハイヤーは、ゆっくりと駐車場へ消えてゆきます。彼はあっという間に、人の中へ消えてゆきました。

姑と私は、ビックリです!


「お義母さん! 今の人身事故でしたよね!?」

「ハイヤーがぶつかったわよ! マチさんも、ぶつかりそうだったもの!」

「でも警察も救急車も、呼ばない!?」

「呼んでないみたいね!」

「警備員さんが、事故を見てましたよね!?」

「でもあの警備員、運転手じゃなくて歩いてた男性に怒鳴ってたわよ!」

「どういうことですか!?」

「どうなってるの!?」


驚いて立ち止まっているのは私たち二人だけで、一緒に事故を見ていた人たちは、とっくにいなくなっています。これ、台湾では日常茶飯事ですか!?

当事者もいないし、私たちにはどうしようもないので、気を取り直して銀行へ行くことにしました。ちょうど銀行が開いたようで、続々と人が中へ入ってゆきます。

ショックで放心状態の私が歩き出すと、何かがふくらはぎをかすった!


「なにっっっ!?」


車でした(涙)。さっきと別のハイヤーが、私のふくらはぎをかすっていった!! 一歩間違えたら、車にハネられてた!! 警備員はさっきから、何をしてんだ!! ちゃんと仕事しろよ!

キッと警備員をにらんでも、彼は知らん顔です。私に謝るでもなくハイヤーが通るたびに、ぐいぐいと人を押し戻している。その光景を見てやっと、彼の仕事内容がわかりました。

彼は、歩行者の安全を守っているのではない。偉いさんのハイヤーに、傷が付かないように人を遠ざけているのです。だからハイヤーの運転手でなく、ぶつかった男性に怒っていた。車が傷つくと、叱られるから!!


日本の警備員さんと、仕事がちがう!!!!!!

ってか人の安全より、車が大事かっっっ!?

初めて知る価値観に、恐怖で震えた一日でした!!


このお話はずっと以前の話なので、今は台湾も安全な国だと思います。でももしかしたら、今も危ない……かも、しれません。だからあなたが台湾へお出かけの際は、警備員さんに期待せずにご自身で安全を確保してください。


こんな危険な目に遭いましたが、私は今でも台湾が大好きです♡ (穏やかな男性よりも、危険な香りがする男性に惹かれるのと同じ心理でしょうか??)

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