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愛する本、愛される本

 だあああああ!!!!! おかげさまで「姫さまですよねっ!?」2巻の校正中です!!

あんなに! 見直したのに! 推敲しまくったのに! 指摘が入る!!!


私は一人善がりな傾向が強いので、担当さまから「誰が言ってるか、わからない」などの、的確なご指摘があります。言われているのは、ど正論なのですが、なんせ私の心がせまくて「どうしてわかってくれないの!?」と、乙女のワタシが凹みまくり、「それはのぅ~、説明にキャラの名前を書いてないから、伝わってないんじゃよ」と、ジジィのワタシが説得にあたり、「そんなら、キャラの名前書けばいいじゃん!」と、少年のワタシが代替案を出すという、忙しいことになっています。

それを何度も繰り返すので、ヘトヘト……。


 気分転換には、読書が一番です。

今読んでいるのは、かなり昔のアメリカの推理小説。愉快な本で、何度も図書館で借りていました。あまりに何度も読むので手元に置きたいと思って、誕生日プレゼントで彼にリクエストして、全巻揃えました。

すでに廃版になっているので、中古の本です。でも大事にされていたようで、すごくキレイ。単行本で13冊あります。数年前に通しで読んで、今は2巡目。読んでいると、ブックカバーが破れてくる!


「なんで破れる!?」と思ってよく見ると、前の所有者が、何度も読んだのでしょう。カバーの折り目が擦れて、紙が薄くなっているのです。そういえば小口(本を読んでいる時に、親指が当たる断面)も、うっすらと手垢がついています。数回読んだくらいでは、ここまでならない。何度も何度も、読んだのでしょう。


私は愉快な推理小説を読みながら、この本の元所有者のことを考えていました。

手擦れがするまで読んだ本を、どうして手放したのだろう? 何度も読んでいたのは一目瞭然ですから、これから先も何度も読むはず。廃版になっているから、また読みたいと思っても、新しい本は手に入りません。私なら、絶対に手放さないのに……。


本の内容でハラハラ、ドキドキ、泣いたり笑ったりしながら、ページをめくってゆきます。1巻で主人公はトラブルに巻き込まれ、素敵な刑事さんと出会う。2巻で二人は少しずつ仲良くなって、一緒に事件を解決する。そして3巻で、結婚式! おめでとう! それなのに、刑事さんは誘拐されてしまいます! どうする!? どうなる!? 登場人物と一緒に、私も事件を追いかけます。ページをめくる手に、力が入る。

読みながら、考えます。どうしてこんなに面白い本を、前の人は手放しちゃったんだろう??

そして昨日、夜中に本を読んでいる時、急にわかりました。前の人が、本を手放した理由。
















前の所有者はきっと、ずっと本を持っていた。大事に持っていて、何度も読んでいた。

そしてこれからも、何度も読むはずだった。

















所有者、死んだな………。















本を大事にしていた所有者は、死んだ。遺された本の処分に困った遺族が、本を手放した。

おそらく間違いないと思います。こんなにキレイで、こんなに手擦れしている本を、所有者が手放すとは考えにくい。そして私も、ずっとこの本を持ち続けると思います。私が死ぬまで、何度も読み返して、何度も泣いたり笑ったりする。私が死んだ後は?? 誰かが、どうにかするでしょう。


私の本も、この本と同じくらい、愛してほしいものです。何度も読まれて、死ぬまで手元に置いてもらえる本。そういう本を目指して、私も頑張ります!!



あなたにも、愛する本が見つかりますように!!

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