講演会の原稿(全文掲載。めっちゃ長いです!)
今日は講演会の原稿を、まるっと掲載します。まんま、そのまんま、下記の通りに読みました。だって原稿を見ずにお話なんて難しいこと、できなかったのですもの! めっちゃ長いので、ボチボチお読みください。文末に書いてある数字は、読み上げにかかる時間です。
※ これを読んでくださる「あなた」にも、私の想いが届きますように♪ ※
2022年10月30日(日) 滋賀県甲賀市甲賀町 甲賀図書情報館にて
〇ご挨拶
おはようございます。ソウマチです。今日は来てくださって、本当にありがとうございます。皆さんにお会いできて、光栄です!
この中で、私が書いた本の「姫さまですよねっ!?」を読んだよ~という方は、いらっしゃいますか?
この中で、ソウマチに会ったことあるよ~!とか、ソウマチと知り合いだよ~!という方はいらっしゃいますか?
〇私は本を書く人なので、お話を書くのは得意ですが、こうやっておしゃべりをするのは慣れていないので、上手にお話をする自信がありません。だから今日は、お話を読むことにします。
〇今日、私が皆さんに一番お伝えしたいのは、「生まれてきてくださって、ありがとうございます」ということです。そして今日、皆さんがここに来てくださって、ありがとうございます。皆さんが生まれて、成長して、ここまで来てくださったので、お会いすることができました。すごく嬉しいです。とても感謝しています。ありがとうございます! 1.17
今日は、私が作家になったお話や、大好きな本や図書館についてお話ししたいと思います。
後で、質問タイムがあります。皆さんにたくさん質問してもらえると嬉しいので、お話を聞きながら何を質問するか、考えてください。質問は、何でもイイです。私が好きな食べ物でも、一番好きな動物でも、作家になってからのことでも、なんでもイイです。小中学生の皆さんだけでなく、大人の方からの大人な質問も受け付けますので、みなさん、ぜひ質問してください!
〇私が小さかった頃のお話
私は、九州の福岡県というところで生まれました。まだ字が読めなかった小さな頃は、することがなくて、ヒマでヒマでしょうがなかったです。ヒマすぎてアイスクリームでベトベトになった手でコンセントを触って電気でビリっとなったり、本物の薬でお医者さんごっこをしたりして、怒られていました。保育園では暴れん坊で、男の子たちを泣かせては、先生から怒られていました。小学校に入ってからも暴れん坊で、入学式の日から男の子を泣かして、こっぴどく叱られました。小学生の頃の私はお勉強が、さっぱりできませんでした。字があまり読めないので、国語だけでなく算数も理科も、さっぱりできませんでした。でも小学校の図書室で絵本を読んだり、家でマンガを読んでいるうちに、字が読めるようになり、少しずつお勉強が、できるようになりました。そのうちに自分が知っている知識が増えるのが楽しくなって、本やお勉強が好きになりました。小学校に入った頃は、ぜんぜんお勉強ができませんでしたけれど、本が好きになったおかげでお勉強も好きになって、中学、高校、大学は、良い成績でした。 2.22
〇動物の話
・私は子どもの頃から動物が好きで、家で文鳥やカメを飼っていました。小学校で飼育委員をしていて、ニワトリ、うさぎ、カモ、金鶏、インコ、カメの世話をしました。動物が好きなので、動物の絵本を読むのが、大好きでした。それから動物の育て方の本や、動物が出てくる写真集やお話も、楽しく読みました。図書室や図書館には動物の絵本も育て方の本も、写真集も、お話もたくさんあるので、ぜひ探してみてください。
私が一番好きな本は、イギリスのジェームズ ヘリオットという動物のお医者さんが書いた、ヘリオット先生のシリーズです。ジェームズ・ヘリオット先生は、イヌやネコのお医者さんになりたいと思って動物のお医者さんになったのに、馬や牛や羊の先生になってしまいます。でも馬や牛や羊も、イヌやネコと同じくらい好きになって、たくさん面白い話を書いています。私はこのシリーズを何回も図書館で借りて、何回も読みました。 1.19
・小学校の飼育委員の話です。大きなニワトリに噛まれてもそんなに痛くないけど、インコは身体が小さいクセにイタイです。インコは、くちばしがするどくて、曲がっているから、指に刺さるのでイタイです。みなさんは、カメに噛まれたことは、ありますか?私は、このくらいのカメに噛まれたことがあります。カメの口は、鳥のクチバシみたいに固いです。そして噛む力がすごく強いので、噛まれると、すごくイタイです。
・小さい頃に動物園に連れて行ってもらったら、ロバがいました。私はなぜか、急にロバの目の前に手を出したんです。そしたらビックリしたロバがカプっと手を噛んで、そのまま動かなくなりました。ロバが本気を出したら、子どもの手くらい、噛み切れると思います。だからロバはその時、ちゃんと力加減をして、噛んだと思います。それでも痛かったですし、周りの大人たちは大騒ぎでロバの口を開けようとしたので、大変なさわぎになりました。ロバは人間の大人たちが口をこじ開けようとしても知らん顔でしたが、私が「ビックリさせて、ごめんなさい」と謝ったら、自分で口を開けてくれたので、手は大丈夫でした。だけど、動物の目の前に急に手を出したら、動物はビックリしてしまって噛むので、急に手を出してはいけないと思います。
・私は大きくなって、高校生になりました。本をたくさん読んだおかげで、成績は優秀でした。高校生になってからも動物が大好きだったので、動物の本をたくさん読んだり、何度も動物園に行きました。さすがに噛まれたインコやカメやロバには手を出さなかったのですけど、ある日、オランウータンに手を出してしまいました。私は、オランウータンと握手がしてみたかったのです。オランウータンは、あったかい手でちゃんと握手してくれたので、すごく嬉しかったです。しばらくすると、お友達に呼ばれたので行こうとしたら、オランウータンが手を放してくれなくなりました。私はちょっと困って「お友達に呼ばれてるから、手を放してね」と頼んだら、オランウータンは手を放してくれました。後でオランウータンの本を調べてみたら、オランウータンの握力って、最大600㎏あるそうです。人間の握力は、最大でも50kgぐらいです。だから人間の12倍です。握力が600kgというのは、手に600㎏の重りを乗せるのと同じくらいの力です。軽自動車がだいたい650㎏くらいなので、軽自動車の重さが、手に乗るのと同じくらいです。もしオランウータンが力いっぱい握ったら、手の骨が砕ける力です。だからオランウータンは、ちゃんと力の加減をしてくれていました。でもやっぱり手は、出しちゃいけません。私が考えなしに手を出したのにケガをしたら、オランウータンが悪いことになってしまいます。そうなるとオランウータンに、すごく迷惑をかけます。動物に迷惑をかけないためにも、人が動物をさわるときは、触ってもいい動物なのかを、ちゃんと考えてから手を出したほうがイイと思いました。 3.46
私はその後も、ふつうに歩いているのに、散歩中の犬に嚙まれたり、エサをあげようとした白鳥に噛まれたりしながら、大きくなりました。高校を卒業して福岡県で事務員のお仕事について、結婚して滋賀県に来て、甲賀市の市役所で働いたり、社会人になってから大学生になったりしながら、後に本を書いて作家になりました。
〇図書館のお話
・私は子どもの頃から、図書館が大好きです! 小学校の頃からずっと、図書室や図書館に通っています。図書室や図書館のいいところは、好きな本を、好きなだけ借りられるところです。あなたも図書館で、何度も繰り返して読む本が見つかったら、大事なお小遣いを遣って本屋さんで買ったり、お誕生日やクリスマスのプレゼントでお願いするとイイと思います。私はさっきお話したジェームズ・ヘリオットの本を、子どもの頃から何回も図書館で借りて、少しずつお小遣いで買っていました。そして去年、お誕生日プレゼントで欲しいとお願いして、やっと全巻揃えました!
・図書館のスゴイところは、好きな本を好きなだけ借りられるだけでは、ありません。あなたが読みたい本の相談ができるところも、スゴイです。たとえば「動物のことが書かれた、楽しい本を読みたいので、探しています」と相談すれば、図書館の司書さんが相談にのってくれます。司書さんというのは、本について色々なお勉強をして、たくさんの知識を持った方です。司書さんは、他にも色々な楽しい本を、教えてくれると思います。また「夏休みの自由研究のための、本を探しています」とかでもOKです。今年の夏休みはもう終わりましたけれど、来年は、図書館に相談してみてはいかがでしょうか? 図書館に探している本がナイときは、他の図書館から取り寄せてくれます。こういった図書館の活動を「レファレンス」と呼びます。皆さんもぜひ、レファレンスをご利用してみてください。 2.36
・私が住んでいるのは、滋賀県甲賀市です。甲賀市に住んでいるので、甲賀市内の図書館で本を読んだり、本を借りて帰って、おうちで読んだりすることができます。
ちょっと想像してみてください。あなたは沖縄県へ、旅行に行きました。沖縄に行ってみると、シーサーがたくさん飾られた、大きな建物があります。シーサーはライオンみたいな見た目をしていて、沖縄に行くと、あちこちにあります。そのシーサーがたくさん飾られているのは、どうやら沖縄の図書館みたいです。
あなたはシーサーのたくさん飾られた図書館に、入ってみたい! と思いました。でもあなたは、沖縄に住んでない人です。
♪ ここで、クイズです! あなたが沖縄県へ旅行に行った場合、沖縄の図書館に入っていいでしょうか? それとも入ってはダメでしょうか?
答えは、入ってもいいですし、大歓迎! だそうです。
私は「自分が住んでいないところの図書館に入ったら、怒られる」と思っていました。私は沖縄へ行ったときに、シーサーの図書館を見て、すごく入りたかったのですが、怒られると怖いので、入りませんでした。ところが後で司書さんに聞いてみると「住んでいないところの図書館で本を借りることはできないが、図書館に入るのは自由! 大歓迎です! ぜひ入ってみてください!」と言われました。知っていたら喜んで入ったのに、知らなかったせいで入らなかったので、すごく悔しいです! だから皆さんは図書館があったら、ぜひ入ってみてください。ちなみに全国の図書館には、その図書館がある土地の郷土資料の特別な本が、たくさんあるそうです。たとえば甲賀市にはシーサーの本は少ししかありませんけれど、忍者の本はたくさんあります。逆に沖縄の図書館は、甲賀より忍者の本は少ないですが、シーサーの本はたくさんあります。図書館にある本は、場所によって全然ちがうので、そのへんも比べてみると面白いと思います。 2.47 2.12
〇本を読む人から、本を書く人になった話。
・私は小学校の卒業文集に「作家になりたい」と書きました。本が好きだから、本を書く人になってみたかったのです。でもどうしたら作家になれるのか、さっぱりわかりませんでした。何度かお話を書いてみたのですが、ぜんぜん書けませんでした。私が本を書くようになったのは、今から3年くらい前、小学校を卒業してから35年も後です。その間ずっと、作家になりたいという夢は、キレイに忘れていました。
・小学生で作家になりたいと思った私が、35年も後になって本を書くまでの話をします。
・私は福岡県で生まれて、小中高を卒業して、就職して、結婚して、その後に滋賀県に来ました。その間、あちこちの図書館に行きました。
滋賀に来て、甲賀市の市役所でお仕事をすることになりましたから、甲賀市に引っ越しました。市役所では、困っている方の相談にのる、相談員というお仕事をしていました。
・相談員というと、何でも解決できそうな感じがしますが、人様のことならよくわかるのですが、自分のこととなると、サッパリわかりません。だから私は自分が困ったら、図書館で問題を解決する本を探します。
・困っている方の相談にのったら「今日は、こういう相談にのりました」と、報告書を書きます。これは公文書という、まじめな書類です。どれくらい真面目かというと、裁判で資料に使うくらいまじめな書類です。私が今している作家というのは、自分が考えた空想のお話を書くのが仕事です。でも役所の書類に、空想を書いてはいけません。どちらも大事なお仕事ですが、することは全然ちがいます。
・市役所のお仕事の契約が終わって、お仕事に行かなくても良くなりました。それからは、大好きな本やマンガを読んで、ゲームをして、ユーチューブを見て、という楽しい生活をずっとしていましたが、楽しいコトでもずっとしていると飽きてきます。なにかすることナイかな~と考えた時に、「そういえば小学生の卒業文集に作家になりたいって書いたな」と、思い出しました。じつに35年間、その夢をまるっと忘れていたのです!
・作家になるには、賞をもらえばいいのかな?と考えました。本屋さんで「公募ガイド」という賞の募集がたくさん書いてある本を買ってきて、インターネットでも賞を探して、応募することにしました。
・小学生の頃はお話を書こうとしても書けなかったのに、たくさん本を読んだり、市役所で真面目な書類を書いていたおかげで、何となく文章の書き方がわかるようになっていました。自分が好きなキャラクターを考えて、そのキャラクターが色々な冒険をすると、楽しいお話になるということも、わかってきました。
・そうは言っても一度もお話を書いたことがないので、自分の実力がどれくらいあるか、わかりません。「まずは10作品、応募してみよう」と、目標を決めました。
・急に長いお話は描けませんから、短いのからスタートしました。一番短いのは、川柳です。川柳は、たったの17文字です。たとえば「ユーチューブ 何時間も見て 叱られる」とか、 「はいはいはい! わからないのに、手を上げる」 とかです。 あとは400字詰め原稿用紙で2~3枚とか、みなさんが学校で書いたりした、作文と同じくらいの長さです。そういう短いのから初めて、だんだん長いお話を書くのに挑戦しました。
・お話は、童話とかエッセイとか、いろいろ書いて、すぐに10作品できました。書くのがすごく楽しかったので、もう10作品、合わせて20作品応募することにしました。10作品書いたらだいぶ慣れてきて、原稿用紙20枚とかも書けるようになっていました。好きで楽しくて書いていたのが、良い練習になっていたようです。
・20作品のうち19作品は、短いものばかりだったのですが、1つだけ、長いお話を書きました。原稿用紙200枚です。他のは多くても20枚くらいなので、200枚というのは、ものすごく長かったです。自分でも最後まで書けるのか、わからなかったお話ですが、なんとか書き終わって、応募しました。
・20作品送ったら、後は結果です。わりとすぐ佳作をいただきましたました。でも後の18作品は、ぜんぜんダメでした。最後に残ったのは、200枚のお話です。でも、初めて書いたお話なので、ぜんぜん自信はありませんでした。
・ある日、私のスマホが鳴りました。後で、折り返しの電話をしてみました。
・私は何の用事か知りませんし、電話に出てくれた方も、何の用事かわかりません。私は「電話を頂いたので、折り返しの電話をしました。何の御用でしょうか?」と尋ねました。電話の向こうの方も、困っています。「なんでしょうねぇ?」 と言われたので「私、滋賀県から電話してます」と言ってみました。 「滋賀県ですか?」 「そうです」。 そこで、あちらは、何の用事かわかったみたいです。いきなり「姫さまですよね!?」って訊かれました。
●ここで、質問です。
もしあなたが急に、「姫さまですよねっ!?」って聞かれたら、なんと答えますか?
ちょっと考えてみてください。
・私は、「そうです!私は、お姫さまです!」って答えたんです。今から思うと、恥ずかしいのですけど、これは、子どもの頃からの空想が関係していまして。「私はじつは、どこかの国のお姫さまかもしれない」というふうに、大人になってからもずっと空想していたのです。電話で知らない人から「姫さまですよね?」と訊かれたので、「ああ、私はやっぱりお姫さまだったんだ!」と思って、大喜びで「そうです!」とお答えしたわけです。そしたら「ソウマチさんの書いた『姫さまですよねっ!?』が、ジュニア小説賞の最終選考に残っています!」って言われて、恥ずかしいカン違いをしてたと初めて気づきました。私がお姫さまかどうかじゃなくて「姫さまですよねっ!?」というお話を書いたかどうか、訊かれていたワケです。それなのに「私はお姫さまです!」と答えてしまって、めっちゃ恥ずかしかったです。 9.53 7.16
・それから2か月後くらいに、また電話が鳴りました。そして「おめでとうございます! 小学館のジュニア小説賞の大賞です! 一等賞です!」と言われました。最初はイタズラだと思ったのですけど、どうも本当みたいです。私が一等賞をもらうとは思ってなかったので、「すみませんけど、これは、夢ですか」って、小学館の方に聞きました。そしたら「ほっぺをつねってみてください、イタいでしょう? 本当ですよ!」って言われました。だから自分でほっぺをつねってみたんですけど、ぜんぜん痛くないので、やっぱり夢だと思いました。あんまり嬉しすぎると、痛みを感じなくなるのです。現実の話なのに嬉しすぎて、ほっぺをつねってみても、ぜんぜん痛くなかったです。
♪ ここでクイズです。 痛くはナイけど夢じゃないとわかってきたら、どうなると思いますか?
・すごく嬉しいことがあって「やった~!」と思ったんですけど、嬉しすぎて、どうしたらいいか、わからなくなりました。そのうちにどんどん気持ちがしんどくなって、私は寝込んでしまいました。一等賞をもらって嬉しいのに、3日も寝込みました。あんまり嬉しいと、逆に気持ちが落ち込むみたいです。だから皆さんもすごく嬉しいことがあった時は、注意してください。そしてしんどかったら、寝込んでください。
・本当は東京で授賞式があるそうですが、コロナで中止になりました。私の担当さんは本を何冊も出していて、少年探偵コナンや、ドラえもんのノベライズのお仕事もしています。その担当さんが「今まで作家さんに会わないで、本を出したことは一回もありません! とにかく! 一回は、会いましょう!」と言ってくださって、東京へ行くことになっていたのですが、これもコロナで中止になりました。担当さんと一度も会わないまま、本は出版されました。賞をもらってから本が出るまで、だいたい2年かかりました。 2.37 2.03
・本を作るのに大事な「校正」のお話をします。校正とは、私が書いたお話の、間違っているところを直したりする作業です。担当さんと校正さんが原稿を読んで、間違いを見つけてくれます。私は自分で100回くらい原稿を読んで間違いを直していたので、ぜったいに間違いなんかナイと思っていました。でも、何十カ所も間違っていました。だから他の人に間違いを見つけてもらうのは、すごく大事なことだと思います。字の間違いだけじゃなく、日本語の間違いも、すごく多かったです。日本に生まれて50年も生きているから、日本語は完璧に書けたと思っていましたけど、たくさん間違っていました。たとえば「爆笑」です。皆さんも、すごく面白いことがあった時に「私、爆笑したよ」って言うと思います。私も言います。でもじつはコレ、間違いなんだそうです。爆笑というのは、「たくさんの人が大笑いする」という意味で、一人の時は使っちゃいけないらしいです。でも、使いますよね? 私は使います。でも、本当は間違いなので、本で「爆笑」を使う時は、注意が必要です。
・ほかには「異口同音」も、使い方がちがうと言われました。「異口同音」は別々の人が、同時に同じことを言った時に使います。たとえば学校の先生が急に「今からテストします」なんて言ったら、みなさんはクラス全員で「え~っ!」って言うと思います。その「え~っ!」が、異口同音です。私が書いて間違いと言われた文章は、「双子は、異口同音に『え~!?』と言った」です。ところが「異口同音」って、2人のときは使っちゃダメなんだそうです。3人より多くないとダメらしいです。こんなこと、ぜんぜん知りませんでした。 2.30
・こういう間違いをたくさん直したら、次は間違いではないけれど、読んでいてわかりにくい所を直していきます。私はお話を書いた本人なので、キャラクターの誰が何をしたかちゃんとわかっていますけど、読む人にはわからないことがたくさんあるというのを、担当さんから言われて気が付きました。ちゃんと「誰が」 「何を」 「どうしたか」を、丁寧に言葉で説明しないと、読む人には誰が何をして、何を言っているのか伝わらないのです。読んでいて、わかりにくいと言われたところを、一つずつ直していきます。じゃあ、「誰が何をしたか」を言葉で説明すれば終わりかと言うと、そうじゃありません。読むのにテンポが悪くなるし、何回も同じ説明を書くと読んでいる人があきてしまいます。テンポを良くしてわかりやすく書くのは、すごく難しかったです。 1.05
・自分で絶対に面白い!と思って書いたお話が一等賞をもらって喜んでいたのに、2年間もあちこち直していると「このお話、面白くないんじゃないだろうか?」と心配になってきます。お話を良くするために100回くらい読んでいると、どこが面白かったのか、わからなくなるのです。だから本を読んでくださった方たちから「おもしろかったです!」とお手紙をもらうのは、すごくすごく嬉しいです。みなさんも面白いと思った本があったら、ぜひお手紙で作者に「おもしろかった!」と教えてあげてください。どんな本にも最後のほうに、出版社の所在地が書いてあります。そこに作者の名前と、本の題名を書いて、お手紙を書いたら、ちゃんと作者のところにお手紙が届きます。作者は、読者の方からお手紙をもらうのが一番うれしいことなので、頂いたお手紙は、全てちゃんと読みます。私はすごく嬉しいので、頂いたお手紙は何度も何度も読み返しています!
・おかげさまで私の本は、二巻を出すことが決まりました。すでに原稿は提出して、今は校正作業をしています。校正作業は、編集さんや校正さんからダメダメ言われるので、できればしたくナイのですけど、その苦労をした後に、読者のみなさんから「おもしろかった!」と言ってもらえると苦労が吹き飛ぶので、頑張ることができます。たぶん来年には、二巻が出せると思います。楽しみにしていてください。 2.08
〇イラストと、コミカライズについて
・大賞をもらって本が出ることになって、編集さんから「本にイラストが入ります」と言われました。私の書いた双子のお姫さまが、イラストになるのです! 嬉しくて、ドキドキしました! イラストレーターの七海喜つゆりさんは、すごく可愛らしい絵を描いてくれました。初めてイラストを見たときは、嬉しくて悲鳴をあげました。ものすごく嬉しかったです!
・そうこうしているうちに、コミカライズのお話が出てきました。コミカライズとは、文字で書いたお話を、マンガにすることです。お話がコミカライズになるのは、フツーはお話がすごく面白くて、すごく人気が出てからです。ところが私のお話は、人気が出るかどうかもわからないうちから、コミカライズが決まっていました。フツー、ナイです! ものすごいラッキーです! どうしてそうなったのか、わかりませんけど、すごい奇跡が起きました!
・プロのイラストレーター、七海喜つゆりさんの可愛いイラストをもとに、くろだまめたさんというプロの漫画家さんが、お話をマンガにしてくださいました。この時も、すごく嬉しかったです! このマンガは、ちゃおコミというインターネットの漫画サイトで、連載しています。「ちゃおコミ 姫さまですよねっ!?」でネット検索してもらったら、無料でマンガが読めます。良かったら、読んでみてください。 1.33
〇これからについて
・たくさんの方が助けてくださって、本を出してもらって、作家になることができました。小学校の時の夢が、一つ叶いました。でも私は、夢を他にも1000個くらい持っているので、1000個もあれば、どれか一つくらいは叶うだろうと思っていました。夢は多いほうが、生きていて楽しいですから、今もたくさん夢があります。叶わなくても、ガッカリすることはありません。たくさん夢を持ってください。
・みなさんもこれから、将来のこととか、いろいろ考える時がくると思います。大人になってからも、いろいろ考えることがあると思います。その中でやりたいコトは、どんどんやってみるとイイと思います。私たち人間は、失敗しないと学べません。たくさん失敗して、たくさん学んで、素敵な人になれるのだと思います。私は、失敗は、ぜったいにお話のネタにすると決めています。だから失敗したらイヤな気分にはなりますけど、「ネタができた!」と嬉しかったりもします。最近の失敗は、甲南町の牧場で、ウマにあげるご飯を買って、ウマにあげていたら、他の人は大丈夫だったのに、なぜか私だけお馬さんに噛まれました。大人になってからも、いまだに失敗しています。さいわい優しいウマだったので、手は無事です。 1.32
・学生の皆さんは成長して、これからだんだんと、いろいろ悩みが出てくると思います。大人になったらなったで、ちがう悩みがあると思います。私も同じです。悩んでいる時は、くよくよ考えても答えは出ません。くよくよ考えるよりも、何か行動をしたほうが、ずっとイイです。たとえば図書館にいって、くよくよを解決する本がないか探してみる。なかったら、レファレンスで、司書さんに相談してみる。 それから、考えていることを、ノートに書いてみる。私はこれを「一人脳内会議」と呼んでいます。自分で相談する人と、相談される人の二役をして、二人の会話をずうっと書いてゆきます。小説を書いていてお話をどう書いたらいいかわからなくなった時も、この一人脳内会議をします。悩みを頭の中で考えても整理できなくて、くよくよするだけで終わりますが、言葉にして書き出して、相談する人の立場と、相談される人の立場で考えると、悩みを冷静に見ることができて、良い考えが浮かびます。良かったら、試してみてください。
・苦手なことを頑張るのも大事ですけど、もしも好きなことがあるなら、好きなことをたくさんしてほしいです。私は算数が苦手で、国語は得意でした。でも苦手なことを頑張らないといけないとカン違いして、高校は一番苦手な情報処理の学校に行きました。算数だけでも苦手なのに、さらに苦手なコンピューターを頑張ろうとしたのです。今から思えば、得意な国語で高校を決めればよかったと思います。そしたらきっと、もっと楽しかったろうなと思います。イヤなこと、苦手なことに立ち向かうのも大事ですが、好きなことをしたほうが楽しいし、上手になる確率がずっと上がります。好きなことをたくさん見つけて、得意なことをたくさん増やしてほしいです。
・何かで困ったときは「図書館に行ったら、解決できる本があるんじゃないか?」と、図書館を思い出してみてください。図書館に本はたくさんありますし、もしなかったら司書さんが、一緒に本を探してくださいます。色々な人があなたのために一生懸命に書いた本を、図書館の司書さんが一生懸命に探してくださいます! ぜひ図書館を、活用してください!
2.03
〇最近、びっくりした話
・私の書いた「姫さまですよねっ!?」という本は、西暦1589年頃のお話です。今から433年前のお話です。日本の歴史では「安土桃山時代」と呼ばれています。その時代に、人は話すときに、自分を何と呼んでいたのか、知りたくなりました。わたしは自分のことを話すときは「わたし」と言います。自分のことを「ボク」とか「オレ」と言う人も、いると思います。
本では「わたし」とか「わらわ」とか「それがし」と書いているのですが、昔の人が実際に何と言っていたのか、知りたいと思いました。自分で調べてみたのですが、さっぱりわかりません。歴史に詳しい方に聞けばわかると思って、甲賀市役所の歴史文化財課の学芸員さんに訊きました。学芸員さんというのは、日本の博物館の法律で決められた、専門的な知識を持っている人です。歴史を知らない私より、学芸員さんのほうがずっと詳しいので、訊けばわかると思って、市役所にメールで質問しました。
お答えは、親切に書いてあったのですが、まとめると「わからない」という答えでした。やはり詳しい方でも昔のことは、わからないこともあるみたいです。当時、録音できる機械があればわかったのでしょうが、まだその頃は、録音機は発明されていません。録音機が発明されるのは西暦1877年ですから、私が知りたいと思った1589年よりも、288年も後にならないと、録音機はできないワケです。
ずっと昔のことだけど、何とかして今の時代に残ってナイか?考えました。 録音する機械はなかったけれど、人と人が口づたえで伝えているんじゃないだろうか? たとえば歌舞伎は昔からあるから、昔の人の話し言葉が、今でも伝わっているんじゃないだろうか? と考えました。調べてみると歌舞伎は、今から400年前も昔から、あったそうです! でも私が知りたい時代より、33年後ですから、答えは見つかりません。他に何かないか調べてみたら、能は今から1300年も前からありました! それなら能の世界に、私の探している答えがあるんじゃないかと思って、能楽協会というところに、メールで「433年前の人は、自分のことを何と呼んでいたのですか?」と、質問しました。
お返事のメールには「能には謡本という、大昔から伝わるセリフの本があります。その謡本という本に、何かヒントが書いてあるかもしれません。図書館に行って、探してみてください」と書いてありました。
私は水口図書館に行って「謡本」を探しました。でも謡本というのは音楽の楽譜のように、たくさん種類があるみたいです。どれを見たらいいのかもわからないし、詳しい題名もわからない。私はどうしたらいいか、わからなくなりました。
♪ ここで、クイズです! 皆さんだったら、どうしますか? 探している本があるけど、種類がたくさんあって、どれを読んだらいいか、わからない。そもそも、本の題名がわからない……。そういう時は、どうしたらいいでしょう??
・答えは、図書館の「レファレンス」です! 自分で探しても見つけられなかった本は、司書さんに、訊いてみるといいです!私は水口図書館に行って、「レファレンスをお願いします」と、言いました。もちろん水口図書館だけでなく、どこの図書館にも司書さんはいらして、レファレンスをしてくださいます。私は司書さんに「433年前に、人は自分のことを何と呼んでいたのか知りたくて、謡本という本を探しているのですが、謡本が何かわからなくて困っています」と、相談しました。自分でもわからない本を探してもらうのですから、見つからないかもしれないと思いました。司書さんはニッコリ笑って「お調べしてみましょうね」と言ってくれました。私が調べ始めてから、9カ月もたっています。司書さんがわからなくても、仕方がないと思っていました。3日後、司書さんから電話がありました。「答えがのっていそうな本を、何冊か取り寄せました。図書館に来てください」 9カ月も自分で調べてわからなかったのに、たった3日でわかりました!!
私の探していた答えは、「わたし」でした。433年も前から、皆さんや私と同じように、人は自分のことを「わたし」と言っていたのです。「身供」や「小弟」といった今は使われない呼び方もありましたし、「ボク」や「オレ」といった新しい言葉は、まだありませんでしたけれど、基本は今と同じ「わたし」でした! 433年前の人と同じ言葉を使っているのがわかって、私は面白いと思いました。 6.44 5.45
〇本とインターネット
・本とインターネットは、似ているようで、ぜんぜん違います。どう使うか、注意が必要です。
・インターネットは、情報が速いです。今日のお天気とか、今起きた地震がどれくらいの大きさかとか、「たった今、どうなっているの?」という情報を知るには、インターネットは、すごく適しています!
・本はインターネットより、情報は遅いです。今起きている地震について書かれた本が世の中に出るのは、早くても1カ月くらい後です。1ヶ月も後になって、今日の地震の大きさがわかっても、あんまり意味がないと思います。そのかわり本は、ネットよりも情報が正確です。それからネットよりずっと文字の数が多いので、一つの物事を深く、詳しく知ることができます。じゃあ本は、どういう情報を知るのに向いているかというと、色々とありますけれど、たとえば歴史なんかは、ネットよりも本のほうが向いていると思います。歴史の研究者たちが長い時間をかけて調べたことを、色々な人が正確かどうか調べて、正しいと思われる情報を本にします。ネットは速さが勝負なので、色々調べたり、正確かどうか調べることは、あまりしないです。だから歴史なんかは、ネットより本のほうが正確だし、情報も多いと思います。
・ネットの校正をする人は、多くても2~3人だと思います。校正をせずに、ネット上にアップされる情報も多いです。あまり校正をしないので、誤字脱字だけでなく、情報自体が間違っている場合もあるし、ウソもアップされていることがあります。私も最近、大失敗しました。私はインターネットの「小説家になろう」というプラットフォームで、日常の出来事を書いて公開しています。ここに「鉄道の特別なルールを使って、安い切符代で琵琶湖を一周した」と書きました。
・鉄道のルートは、貴生川駅を出発して、草津駅で乗り換えて、米原駅で北陸本線に乗り換えて、近江塩津から湖西線で山科まで行って、南草津で降りて帰りの切符を買って、貴生川駅に戻るという、琵琶湖をグルっと周るルートです。本当は往復で3,380円かかるところが、特別ルールを使うと840円で済みます。だから、2,540円もお得になります。ところが私はウッカリして「南草津で降りて、帰りの切符を買う」というのを、書き忘れてしまいました。
もし私がネットに書いたことをそのまました人がいたら、その人は南草津で降りないで、切符を持たないまま貴生川駅に帰ることになります。するとその人は、無賃乗車という法律違反をすることになるのです。法律違反ですから捕まりますし、切符代の何倍も高いお金を払わないといけません。私はすぐに気づいて正しい情報を書きましたが、すごくイケナイことをしてしまったと反省しています。これがネットでなくて本だったら、編集さんや校閲さんが、すぐ私の間違いに気づいてくださいますから、こんな失敗はなかったはずです。ネットの怖さを、経験しました。
・ネットに限らず、本だってうっかり信じると、間違いを犯す可能性があります。「ホントかな?」という目が必要です。ホントかウソか見抜くためには、知識が必要です。たくさん知識を吸収して、自分で物事の判断ができる人になってください。 4.26
〇
今日、皆さんと私がお会いすることができたのは、ありえないほどの奇跡です!会えない確率のほうが、ずっと高いのに、会えた! そして今日、ここで一緒の時間を過ごすことができた! 奇跡としか、言いようがありません。きっと今までたくさんの奇跡が重なったおかげで、会えたのだと思います。あなたに起こった最初の奇跡は、この世に生まれたことだと思います。生まれてきてくださって、本当にありがとうございます。そして、今日まで生きていてくださって、ありがとうございます。あなたが生まれてきてくれたおかげで、今日まで生きていてくれたおかげで、私はあなたとお会いすることができました! 生きてるだけで、100点満点です! 生きているだけで、それだけで、ご自分を誇らしく思ってください! お会いできて嬉しいですし、とても光栄です。皆さんに、心からお礼を申し上げます。 1.27
〇最後に、私のペンネームのお話をします。私のペンネームは「ソウマチ」と言います。意味は、私に関わってくださるすべてのみなさん……今日、お話を聞きに来てくださった皆さんもそうですし、お話の会を開いてくださったスタッフの皆さんのこともです。
そして今、小説家になろうでこれを読んでくださっている「あなた」も入っています。
皆さんに「とてもとても、ありがとう!」という感謝の気持ち「サンキュー ソウ マッチ!」をもとにして、「ソウマチ」という名前にしました。今日、みなさんに会えたことに、とてもとても感謝しています。生まれてきてくださって、ありがとうございます。生きていてくれて、ありがとうございます! そして今日は、本当にありがとうございました! 皆さんにイイコトがあるように、いつでもお祈りしています! ありがとうございました!! 1.00
サンキュー! ソウ マッチ!!