理不尽なクレーム
皆さんも生きていると、理不尽なクレームを受けることがあると思います。私も、あります!
以前に働いていた職場は、毎日が理不尽の嵐でした!
「アイツの! あの男の顔つきが、気にいらん! 他のヤツを出せ!」
(アイツの顔のどこが、お気に召しませんでしょうか? 目が3つあったほうが、良かったでしょうか? それとも鼻が2つあったほうが、お気に召しますか? あと私に、指示を出す権限はありません。アイツの上司に言ってください)
「さっきすれ違った男が、俺のことをバカにした目つきで見た! なんて無礼なんだ! 気に入らん! なんとかしろ!」
(気に入らんのはお気の毒ですが、それなら本人にお伝え願えますか? そもそもバカにしたかどうかの判別が困難ですので、何ともしようがナイのですが……。)
反論したいところですが、反論は一切許されません! 頭をペコペコ下げて、謝ります。
なぜ私が謝らないといけないのかナゾですが、とにかく気持ち良く帰っていただくために、平身低頭で謝ります。結果、お客様がニコニコして帰られるのは良いのですが、私の胸にモヤモヤは残ります。
でもお仕事だから、仕方ナイの……(← べつに謝るのが仕事ではナイのだが……)
こういう時は、ぱあっと遊ぶに限ります! 楽しいことして、気分転換!!
そこで、大きなクラブに行きました!! オカマさんのクラブです!!
私は楽しみにしていたので、精一杯オシャレをして行きました。セクスィ~なスカートに、ピンヒールをはいて、精一杯お化粧をして、キレイ☆キレイ☆して行きました。
お店には綺麗なオカマさん、面白いオカマさん、完全にオジサンのオカマさんなど、色々なオカマさんがたくさん在籍しています。バンドが音楽を奏で、ショータイムには素晴らしい踊りが披露されます。
かなり大きなお店で、お客様もたくさん! 数十席あるテーブルは、どこも満席です。
一つのテーブルにオカマさんが一人座って、客の相手をしてくれます。
行き届いたサービスと、見事な話術で、私たちのグループは爆笑していました。
ああ! 楽しい! オカマさん、最高!! 大好き!!
ふと見ると、近くのテーブルのお客様が血相を変えて怒鳴っています。30代とおぼしき女性が、黒服さんを怒鳴っている。怒っていなければ美しいお顔なのに、今は鬼のような顔をしています。
何か、クレームを言っているらしい。怖い顔と振り回す腕で、激しく怒っているのはわかるのですが、バンドの音楽がジャカジャカ♪ 鳴っているので、何を言っているかわかりません。
黒服の男性は、困った顔でペコペコしています。どうした? 何があった?
女性はますますヒートアップして、とうとう立ち上がって文句を言い始めました。
身振り手振りが、激しくなります。怖い……。怖いんですけど……。
ジャカジャカ♪ ジャカジャカ♪ 女性の気持ちを表すように、音楽は激しくなります。
なぜか女性が、私を指さしました! 私を指さしたまま、大声で何か言ってる!
なんですかっっっ!? 私が、どうしましたっっっ!? でも音楽がデカすぎて、聞こえない!
周りの客もただ事でない様子に気づいて、彼女に注目しています。
ジャカジャカ♪ ジャカジャカ♪ ジャカジャカ♪ ジャカジャカ♪
曲はクライマックスです。いっそう音が大きくなる!!
音楽、ジャマ!! 静かにして! 何言ってるか、わかんない!
ジャカジャカ♪ ジャカジャカ♪ ジャン!! …………(静寂)…………
景気の良い音楽が、途絶えました。
静まり返った店内で、私を指さしたまま、女性が怒鳴りました。
「なんであのテーブルだけ、オカマが、二人いるのよおおおおお!!!」
…………わたし………女ですが…………。(← かなりショック)
「あそこだけ、ズルイじゃないのよ!! 私のところにもオカマ、二人付けなさいよおお!!!」
黒服さんが、ペコペコします。
「申し訳ございません。あちらの方は、お客様でして……」
「誤魔化すんじゃないわよ!!」
「いえ、お客様で、女性の方でして………」
「見えすいたウソつくんじゃないわよ!! 」
見えすいたウソ………。 私、女装した男性に見えますか??? そうですか。 男性に見えてるんだ……。なんだか泣きたくなってきたのですが、泣いてもいいですか???
精一杯のオシャレをしてきたつもりなのですが、女装に見えますか………。
結局、私もペコペコして、なんとかご納得いただきました。
生きてると、こういう理不尽なこと、あります……よね………? (← あんまりナイと思う)