ないない旅行!
珍しく、お外に出てきました! 引きこもりの私が、旅行に行ってきました!
こよなく自分の部屋を愛する私は、出かけることはありません。正しくは部屋と言うより「自分の寝床」にどっしりと落ち着いています。そんな私が、旅行に行きました!!
交際している彼が「お誕生日旅行を企画しました!」と、連れ出してくれました。
以前に私が「うだつの上がっている街並みを見たい」と言っていたのをおぼえていてくださって、実現した次第です。じつは1か月ほど前にも連れて行ってくださったのですが、灼熱の暑さに恐れをなして「ムリです! 熱くて死にます!」と訴えて、中断した旅行をやり直すことになったのでした。
ルートは「福井県小浜市のうだつ → 滋賀県彦根市で一泊 → ホテルの朝ビュッフェ! → 滋賀県甲賀市に帰着」です。シンプルなプラン。うだつと、朝のビュッフェが楽しみ! ところが、ですよ……。
ちょうど夏と秋のはざまな気温だったので、ちょっと迷いました。「薄手のシャツを持っていくか、厚手のジャージを持っていくか?」 両方持っていけば間違いないと考えたので、薄手のシャツを着て、厚手のジャージを持ったつもり、でした。
アパートの階段を降りて手元を見ると、ジャージが無い。「おろ? どこかに落としたのかしら?」と思いつつ、来た道を辿ってみても見当たらない。お気に入りのジャージなので、失くしたらショックです。あと貧乏なので、失くしても買うお金はない。「やだわ、いやだわ」と不安になりつつ辿ってみると、自分の部屋の中に落ちてた……。スタート地点で失敗。ダメじゃん、オレ……。
気を取り直して出発です!
天気は快晴! 早朝なので道はガラガラ! 「冒険だぞ、うおぉ~!」と声をあげる私は、今日がお誕生日! 50歳になりました! 落ち着け、自分。ww でもお出かけは久しぶり、しかも旅行なのでテンション上がりまくりです。
滋賀県を出発して、目的地は福井県小浜市。「どこ? それ。知らない」という方も、ご安心ください。私もさっぱりわかっていません。地図と空気は読めないので、自分の現在地がさっぱりわかりません。
快適なドライブをするうちに、おなかが減ってきました。旅行なので緊張して、朝ご飯をほとんど食べられなかったせいです。
「あのぅ~。おなかがペコペコです……」彼に訴えること100回。やっと目的地の小浜市に到着。最初の目的地は「特産の焼きサバが美味しい定食屋さん」です! お店が開くのは11時。 到着したのは10時30分。時間つぶしに商店街をウロウロします。商店街では大音量で「ラジオ体操第一」が流れていて、そこここで商店街の皆さんが体操をしています。
「健康的だね~! 良い習慣だね~!」と感心していると、ラジオ体操第二がはじまる。第二って、できます?? 私は、できません。
開店時間の11時になったのでお店の前に行ってみると、他県ナンバーの車からカップルとおぼしき二人が降りてきました。どうやら目的地は、同じお店らしい。でもお店は閉まっているので、お二人は「ちょっとその辺を見てみようか?」と、商店街を見に歩き始めました(← ココ、重要)。
彼は「美味しい焼きサバをご馳走するよ!」と言ってくれていたので、お店が閉まっているのが不安みたいです。「ちょっと、見てくる」と言ってお店のドアに近づくと、べったり張り付いて(!)
店内を見ています。こわいです……。
するとご店主らしき男性が出てきて「店内で待っていてイイですよ」と言ってくれました。 あれ? もしかして、お店が開くのはもっと後ですか??
注文を取りに来てくれた女性の方に「お店を開けてもらったみたいで、申し訳ありません。開店時間は何時ですか?」と訊くと「遅くなって、すみません。11時からです」と言われます。その時、11時4分。あら? 別にお店をこじ開けたワケじゃナイみたい。ほっとします。そういえば沖縄でマクドナルトに行ったときも、定時より10分後にお店が開いたなぁ。ゆっくりペースなんだろうなぁ~。そういうのって、キライじゃないです♪
焼きサバ定食と海鮮定食を注文します。楽しみに待っていると、さっきのカップルが入ってきました。お二人は、めっちゃ張り切って「焼きサバ定食2つ!」と注文。すると「すみません。あと1食しかナイです。品切れです」と。え!? もう品切れですか!? お二人は、焼きサバ定食一つと、アナゴ定食を注文。「残念だったね~!」と言い合っています。その後に続々と来る焼きサバ定食をご所望のお客様たちは、注文できず。開店1分で売り切れる焼きサバ定食! びっくりです! ってか、なんで品切れ??
おかげさまで美味しい焼きサバ定食を堪能して、お店を出ます。皮がシャクシャクして、脂がノリノリで美味しかったです!
次の目的地は小浜の「重要伝統的建造物群保存地区」です。昔ながらのおうちに、「うだつ」が上がっているらしい。暑さのせいか人は誰もいなくて、貸し切り状態です。誰もいない灼熱の街並みを、ゆっくりと歩いてゆく。べんがらで塗られた街並みを堪能して歩くのですが、暑い……。古くて美しい街並みなのですが、なんせ暑い……。だんだん頭がぼーっとしてきます。コレ、ヤバイかも……。ガイドマップを見ながら街を歩いてゆくのですが「うだつ」は見当たらない……。なんかヘンだなあ……と思っていたら「袖壁」という記述が……。そうです。この地域に「うだつ」は無かったのです……! うだつを見に来たのに、うだつがナイ! さすが、うだつの上がらない私! 大外れしてしまった!! っていうか、暑さで倒れそう!!
街並みはとてもステキで、来て良かった! でも私のカン違いでうだつはナイし、暑いし、車に逃げ込みます。 ふう。クーラーのきいた車で、彦根市を目指します。うだつは見られなかったけど、明日の朝ビュッフェがあるから、大丈夫です! 楽しみです!
クルマに揺られてウトウトしていると「賤ヶ岳」というところに来ました。彼が「リフトがあるけど、乗ってく?」と提案してくれます。歴史的に重要な地点らしい(秀吉が、なんかしたらしい)し、小高い山ですし、リフトに乗ってみることにしたら、あーた! しんどいの、なんのって! リフトは快適で、頂上にある展望台もすぐそこにあるのですが、道も山もなんにもわるくナイのですが、私は中年の引きこもり! 体力がない! 3歳児の駆け抜ける山道が、しんどい! マジで「しぬ……。倒れてしぬ……」と思いながらも「これを踏破できたら、きっとイイコトがある!」自分に言い聞かせながら、一歩ずつ進んでゆく……。しんどい! 暑い! しんどい!! あなたが登ったら「こんな楽な道で?」と思うかもしれませんが、しんどい! ほんとにダメかと思った!!
「ご招待の旅だし、途中でやめるのもわるいし……」しぬ覚悟で踏破しました!!
「今日は小浜の街で暑くて倒れそうだったし、賤ヶ岳でも倒れそうだったし、私、よく頑張った!!」感動しきりです。イヤなことから全力で逃げる私が、ちゃんとやり切った! 50歳になった私は、一味ちがうんだから!と、ヘロヘロでもドヤ顔で、彦根市に到着しました。明日は、朝ビュッフェ! 楽しみです!
彼が印字された紙を取り出します。「お誕生日だから、ケーキをプレゼントするよ!」 事前に彼が調べてくれたケーキ屋さんの情報が印刷されています。「もちろん定休日じゃないケーキ屋さんを調べておいたよ! 念のために、2軒あるから」 彼いわく「おしゃれなケーキを食べさせたいから、おしゃれなお店を探したよ! フルーツのたくさん乗ったケーキがあるよ! 好きなのを選んでね!」 わざわざ調べてくれるなんて、優しい!
ナビに所在地を入力して、お店に向かいます。「おしゃれなケーキにしたかったから、おしゃれな名前のお店にしたよ!」 行ってみたら、閉まってました。 「あれ? 定休日じゃないはずだけど。でもこんな時のために2軒目もあるから!」 2軒目、臨時休業。
「お気持ちだけで、ありがたいです」と言う私に「ケーキ買おう! どこか知らない!?」
私じつは以前、彦根市に住んでいたのです。「それなら〇〇〇に……」 昔からあるケーキ屋さんを案内しました。
すでにホテルの近くだったので、ホテルの駐車場に車を停めて、歩いてゆくことにしました。
駐車場に入ると彼が「え……?」と息をのみます。「ボクのクルマと同じクルマが、停まってるんだけど……」
見れば私たちが乗っている彼のクルマと、同じクルマが……。車種も色もナンバーも同じ。ちがうのは「滋賀 〇〇〇 ◆ 〇〇ー〇〇」の◆の部分だけ。あとは、ぜんぶ同じ。そんなこと、あるのですね。後でホテルの社用車と判明。すごい確率の偶然でした。
昔からあるケーキ屋さんに行って、ケーキを買ってもらいました。しかし彼は「今風のケーキをプレゼントしたかった……」と、何度も言います。私は満足なのですが、彼は昔風じゃないのが欲しかったらしい。「私は嬉しいですよ」何度も伝えるのですが、落ち込む彼。なぐさめる私。落ち込む彼。なぐさめる私。なんでやねん……。
「ちょっと、歩いていいですか?」 私が提案します。「以前に住んでいたボロアパートを、見たいです」
当時、市内で最安値だったボロアパート。不動産屋さんから「治安が悪いアパートなので、女性の一人暮らしはおすすめしません!」と言われたアパート。だけど住んでる荒くれ者のおじさんたちは優しくて、すごく居心地が良かったアパート。収納が少なくて他の広いアパートに引っ越す時に「このアパートを離れるのは、今までしぬヤツだけやった。お前はしなずに離れるから、偉い!」と、送別会を開いてもらったアパート。そのアパートが見たかった。……そのアパート、すごく立派になっていました。当時は20軒で共用していた(!)コイン洗濯機が、なくなってた。部屋数が減っていたから、それぞれの部屋に洗濯機があるのでしょう。それに建物も立派になっていた。もう私の思い出は、なくなってるのか……。
歩いているうちに、やっと気を取り直してくれた彼。「晩御飯は、ご馳走だからね! ウナギの美味しい名店に行こう!」 行きました。ウナギ、品切れでした……。私はぜんぜん構わないのですが「ケーキもウナギも無かった……」落ち込む彼。なぐさめる私。落ち込む彼。なぐさめる私。たしか私の誕生日だったはずですが、フォローが大変! なんでやねん!
なんとか彼に気を取り直してもらって、ホテルで温泉に入ります。そして部屋でゆっくりしていた21時すぎ。私の母から着信が!! 我が家のルールで「21時すぎの電話は、緊急に限る!」というのがあります。それなのに電話です。これは、誰かしんだ。ぜったいに、誰かしんだ。
覚悟して電話に出ると「お誕生日、おめでとう!」と言われました。身内の死を覚悟して電話に出たので、拍子抜けもイイところです。「さっきお誕生日って思い出したから、21時すぎてたけど電話したの~!」朗らかな母の声です。どういたしまして。痛い思いをして産んでくれて、育ててくれて、ありがとう。産んでくれたお母さんに、感謝です。
「コロナで会えないから、寂しいのよ。もう少ししたら、一緒に旅行に行こう!」 母が言ってくれます。それならお母さんの行きたいところに、行きましょう。たまには親孝行しますよ?
「私はどこでも良いの! マチちゃんの好きな場所に旅行に行こう!」 そうですか? それならハワイに行きたいです。
「ハワイは、イヤ!! 長崎がいい!!」
盤石のワガママぶりです。ついて行けない……。 でも身内がしんだのじゃなくって、ほんとに良かった……。じゃあ、長崎に行きましょう。喜ぶ母。たしか私のお誕生日だったはずなのに、母のワガママに振り回されます。
翌日、早く目がさめます。おしりがイタイのは、久しぶりの筋肉痛。あまりに久しぶりすぎて、筋肉痛とわからなかった!
ショボショボした目で温泉に行くと、誰もいません。「はて? 珍しい。朝一番の風呂は、奪い合いのはずなのに」 そう思いながら、一番風呂です。気持ちよく上がって廊下に出ると、おじさんがビックリした顔をしています。「もう開いてたのか?」 「え? はい……」 「六時から開くはずなのに、もう開いてたのか!?」 ごめんなさい。フライングして10分早く入ってました。知らんかったとです。
旅もそろそろ終わります。一番の目的だった「うだつ」は無くて、ケーキもウナギもナイ旅行でしたが、ナイのが面白かった! こうしてあなたに楽しい思い出を読んでもらえたので、私は大満足です! あとは、朝ビュッフェ! 楽しみにしていた朝ビュッフェ!!
でも…………。
旅の最後は「モーニング・ビュッフェ」でした。朝の7時に始まる、夢のビュッフェ。私は何よりそれを楽しみにしていました。楽しみすぎて早起きして、開いてないはずの温泉に入ったくらい、楽しみにしていました!!
開始時間の7時より20分早くレストラン前に行きました。窓際のベストな席に座るためです! すでに2組待っていて、私たちは3番目。ドアにべったり張り付いて(←怖いよ)、中で準備をしてくれるスタッフさんや、並べられたお料理を眺めます。中に入ったらあの席を取って、あのお料理を食べて……。イメージトレーニングはバッチリです!
おなかをグウグウ言わせながら、待ちます。私たちの後に、もう一組、ご夫婦が来ました。
開店しました! 私は喜び勇んで、お店に……。ところが、動きが遅かった! 昨日の筋肉痛で、立ち上がるのが遅れた。その1秒で、後から来たご夫婦に抜かされた! なんでやねん! 私、並んでましたやん! 私がいるの、ちゃんと見てたでしょ!? えええ!?と思いつつ、お店に入って、窓際の席を目指します。 窓際のベストな席は、3席。 先に来ていた2組がすでに席を押さえています。それは、わかる。先に来ていらしたのですから、それはわかる。 ところが私を抜かしたご夫婦が、3席目を押さえている! なんでさ!? 私のほうが先に並んでたやん!!
席がない!!!!!!! 今まで色々と無かったのはOKですが、席がないのは許せない!!!!!
怒った私は、考えます。もっと良い席は、ないのか!? あります! 私、さっきドアに張り付いて(お店の人は、私を見て怯えていた)ジロジロ見てたから、知ってるんだもん! 私は静かに、大きなガラスに近づきました。私の動きを察したスタッフの方が「今日はお天気が良いですから、テラス席は最高ですよ!」と言いながら、大きなガラスを横にスライドしてくださいました。あまりの大きさに開くとは思わないガラスですが、じつは開くのです! そしてテラスに出られるのです! 私を抜かしたご夫婦の視界をふさぐ席に、悠々と座る私! 良い眺めを求めて順番を抜かしたのだろうが、私でも見とけ!! 良い眺めではなく、50歳になった私を見るのだ!!
50歳にもなったら思慮深くて動じない大人になれると思っていましたけれど、ぜんぜんでした! ちょっと順番を抜かされたくらいで、頭に血がのぼる50歳! 理想とちがうのは残念ですけれど、ちょこまか生きている自分も好きです! 色々ありましたが、最高のお誕生日でした!
ありがとう彼! ありがとう母! ありがとう自分!
そして、ありがとう「あなた」!!!!!
あなたにも、たくさんイイコトありますように☆