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百合とTSと悪役令嬢  作者: 宇奈木 ユラ
第四章 本当のヒロイン
96/125

96 再構成と失敗(Ⅰ)

 ▽▲▽


 事の発端は数日前。

 ボクは、自身の不注意でエスカレーターから転落し意識不明のある程度重傷を負ってしまった。

 そして目を覚ますと、一年以内の記憶を全て喪失してしまっていた!


 ──そう、してしまって()()


 何故過去形で言ったかというと、この問題はすでに解決してしまっているからだ。

 見舞いに来たキノと紫波雪風。

 その紫波雪風に対して「──そこにいる子は、誰かな?」と割と悪役っぽいムーブをかました翌日には、何事もなかったかのようにポカっと記憶を取り戻した。

 本当に一過性の記憶障害でしかなかったらしい。

 じゃあ何故その辺のことを、記憶喪失じゃなくなった話を二人にしていないのかと言うと、思い出した事実は()()()()も含まれていたからだ。


 端的に言うなら、今まで忘れていた前世での出来事も思い出したのだ。


 その内容は──。


 ▽▲▽


『●●●、ゲーム進んでら?』


『お兄ちゃん、おはよ。まぁ、ぼちぼち最後のルート入ったところだよ』


『おー、良かったな』


『あんまり良くないよ! だってさ、見てよこれ!』


『ん? ──何コレ、どんなシーン?』


『お葬式のシーン』


『どんなシーンだよ。なんで恋愛シュミレーションで葬式シーンが必要なんだよ』


『それがねー、お兄ちゃんは紫波雪風ってキャラ覚えてる?』


『あ、あぁ、確か敵だよな? けど昨日なんか仲間になった的な話してなかったっけ?』


『これ、その子のお葬式なんだよねぇ』


『まじ?』


『マジぃ。それでここから彼女の死の真相を探っていく話になるみたい』


『へー、恋愛シュミレーションつっても変化球があるモンだな』


『裏ルートだからぶっとんだ内容なんだろーねー』


 ▽▲▽


 ──紫波雪風が誰かに殺されるルートあるらしい。

 そんな割と大事な事を思い出した。

 しかも最悪なことに、思い出したのはその場面のみ。

 誰に殺されるのか、どう殺されるのかは全く不明。

 今まで紫波雪風をなんとか物語(メインストーリー)から排除しようと手練手管に暗躍してきたボスであるが、流石に殺す気はないし、それを見過ごせるほど精神性が終わってる訳でもない。

 それにもう既に、紫波雪風はキノの大事な友達だ。

 なら、どうにかして彼女の死も阻止しなければキノが悲しむ。

 キノを守りながら、紫波雪風も守らなきゃならないとか、一気にハードモードになったよねボクの人生。


 その為には、更に情報を密に集めなければ。

 

 記憶喪失になって関係性が一旦リセットされたのは、この際には幸いだった。

 この隙に自由に動いて、裏ルートとやらの黒幕を炙り出す為の策を練り、必要な情報を集めるのに集中しよう。

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