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百合とTSと悪役令嬢  作者: 宇奈木 ユラ
第一章 攻略対象①普代剣将
9/125

09 ”にわか”なりのゲーム攻略(Ⅱ)

 ▽▲▽


「おはよー、リンちゃん! どうしたの朝から難しそうな顔してるね!」


「おはようキノ。無駄に朝からテンション高いね」


 朝っぱらから無駄にハイテンション、尚且つ無駄に華やかな空気感を纏って主人公(キノ)がようやく登場した。

 彼女が現れるだけで、世界の彩度が一段階上昇したように錯覚してしまう。

 そう錯覚してしまうほどに、見た目も声も雰囲気も、すべてが鮮やかな少女だ。


「昨日は夜ちゃんと寝たから、今朝はもう元気りんりんだよ」


 ニコニコしながらボクの後ろの席に着くなり、指定のスクールバックをカランと机の横にかける。

 バックの中は相変わらずすっからかんなんだろうな、って思いつつキノの顔を見る。

 こうして見てみると、やはり彼女は目が醒めるような美少女だった。

 だからこそ、ボクはそれを前提にした作戦をもう立てていた。


「キノ、朝イチでこんなこと言うのはアレなんだけど、ちょっと頼みをきいてもらいたいんだけど」


「ん? なに?」


「一時的に剣道部のマネージャーになってもらいたいんだ」


「ーーんん?」


 彼女が困惑して小首をかわいらしく傾ける。

 なんでこの子は、いちいちなんでこんなに可愛いのだろうか。

 萌えると同時に()()()として若干心が痛む。


「実は、ここの剣道部でちょっと問題が発生しててね。部員たちの士気を上げるために可愛い女子マネージャーを募集しているらしいんだ」


 嘘である。

 剣将以外が部活をボイコットしている問題は事実だけど、女子マネ募集なんかしていない。


「その件を昨日生徒会長から聞いてね、じゃあウチのキノが適任じゃないか!って思ってさ」


 嘘である。

 だがこの件は、あとで生徒会長にはこちらから打診する形で事後承諾を取って真実にするから無問題(もーまんたい)


「正式な女子マネが来るか、部員たちの問題が解決するまでお願いできないかな? ーーむろんボクだって手伝うから」


 嘘である。

 ボクはなにかと理由つけてマネージャー業には加わらない。

 今の剣道部は剣将しかいない。

 だからこそ、二人きりの場面を多く作って恋愛フラグを立てるのにちょうどいい。

 その中で剣将をキノに惚れさせることが出来れば万々歳!

 そもそもこの世界は乙女ゲーム。

 ちゃんとしたお膳立てをすれば、ちゃんと恋愛方面が発展するはずだ。


「うーん、まぁリンちゃんの頼みだし。リンちゃんも一緒なら全然いいよ!」


「よかったよ。じゃあ早速今日の放課後、剣道部が活動している武道館に行ってみよう」


 キノの人の好さに全力でつけ入るような形になったのは心ぐるしいが、ひとまず剣道部問題に彼女をかかわらせることには成功。


 ーーあとは、うまくキノが剣将を堕としてくれればいいんだけど。


 ▽▲▽


 しかし、物事はそんなに上手くはいかなかった。

 放課後の武道館に足を運んだボクたち。

 そしてその武道館の中で見たものはーー。


「な、なんでここにいるんだ紫波雪風ぇぇええええ!?」


 まったく予想していなかった光景に、ボクは柄にもなく絶叫した。

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