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百合とTSと悪役令嬢  作者: 宇奈木 ユラ
第三章 主人公の誕生日は大抵波乱。
83/125

83 相談(Ⅰ)

 ▽▲▽


「──うん、いいよねコレ」


「そうかな?」


 紫波雪風がトイレに行くといって一旦立ち去り、その間ゲームセンターに併設された小さな休憩スペースで時間を潰す。

 自販機三台とベンチふたつという省スペースなエリアで、キノは満足げにさっき撮ったプリクラを眺めてた。


「だって私たちがふたりで撮った写真はあるけど、紫波さんと撮ったのは今まで無かったから」


「最初の一枚がソレってのもどうかと思うけど」


「その方が()()()ない?」


「──否定は、しないよ」


 変に格好がつかない感じは、紫波雪風らしい。

 いや、ボクたちらしいのかもしれない。

 取り敢えず、キノと会話は継続しながら次の作戦の下準備もとい帳尻合わせの調整をスマホで行う。

 今、紫波雪風が席を外したのはそう考えると僥倖と言わざるを得ない。

 各種SNSを忙しなく操作していると、不意に隣で彼女が呟く。


「ねぇ、リンちゃん」


「んー?」


「私、好きな人が出来たっぽいんだ」


 ──瞬間、手元が狂ってボロっとスマホを落とし、慌てて落下中のそれを再度空中でキャッチする。


「マジで! 誰!?」


「お、落ち着いて!」


 思わず食い気味にキノに詰め寄る。

 いやこれが落ち着けるか!

 今まで上手くいってる手答え全然なかったのに、ここに来て急展開だ。

 相手は誰だ。

 あの剣道馬鹿か?

 それともゲーマーの?

 もしくは、他の攻略対象か?

 ボクが把握してないところで何かあったのか?

 何にせよ、物語に大幅な進展だ。

 これから彼女が話す内容をよく聞かねば。


「それでね、ちょっと相談があってね」


「なんでも来い!」


「その、ちょっと好きになっちゃいけない人を好きになっちゃって」


 なんか、いきなり重そうなのが来たぞ。


「好きになっちゃいけない人か」


「うん。それで、その人とは友達だから自分の気持ちを伝えて気持ち悪がられたら嫌だし、いっそ私の気持ちを伝えないでずっと友達のままの方がいいのかもって悩んでいて──」


 キノの話に耳を傾けて、そして気が付いた。


 ──彼女が好きになったのは宮古くんではなかろうか。


 宮古くんは先日ボクに告白をして──き、た。

 認めるのはすごく複雑ではあるが、彼はボクに好意を抱いているのだろう。

 そして、宮古くんとキノは友人同士でもある。

 これは多分、少女マンガによくある"自分の親友を好きな男友達の相談に乗っていたら、自分が彼を好きになってた"パターンでは?

 それなら、好きになってはいけない人というのも納得か。


 つまり、この物語は宮古杖助ルートに入りかけということか。


 なら、なるべく全力でサポートしなければ!

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