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百合とTSと悪役令嬢  作者: 宇奈木 ユラ
第三章 主人公の誕生日は大抵波乱。
70/125

70 昼食にて(Ⅲ)

 ▽▲▽


 数分後、ボクたちの番が来て店内へ案内される。

 店の内側は、何故か古民家風。

 中華っぽさが全くなかった。

 それでいいのか、ファイヤー餃子道場。

 スタッフに案内されたテーブル席。

 ここで、少し駆け引きが始まる。

 ようは、()()()()()()()()()()問題。

 これから仲を深めるのなら、物理的に違い隣の席は確かにアドバンテージに見えるだろう。

 しかし、実際は少し違う。

 この場合は、対面先の席に座るのがベストアンサー。

 何故なら、テーブルでの食事をする関係上前を向いた姿勢でいることを強いられるからだ。

 肉体的に近くとも、真隣は話をし辛い。

 その点対面なら、話もしやすいし会話中も相手の表情を確認しやすく、適切なリアクションを取りやすい。

 それに物理的に距離が近いと仲良くなりきれていないときは案外気まずさがあるのだ。


 だからこそ、ここでボクが取るべき選択はひとつ!


 一番手間の二脚の椅子、その通路側に座る。

 これによって擬似的に()()()()を埋めることが出来る。

 その結果どうなるかというと──。


「なんか中華っぽくない店だね」


「──ですわね」


 残るふたりは自然とボクの対面側に座った。

 配置としては、左側に通路があって右側が壁なテーブル席で、ボクが(つうろ)側にそして対面してる紫波雪風が左側、キノが(かべ)側だ。


 ──というか、紫波雪風がなんか少し意気消沈している気がする。

 予想以上にハブられるのが堪えた?

 いや、たかが数分だけでそうなるわけがない。

 じゃあ、何かボクが知らない要因があるのか?

 いやでも、今日ここに来るまで一緒だったけど何かあった感じはなかったし。

 ボクがそうして少し頭を捻っていると、スタッフがメニュー表と人数分のお冷を持ってきた。


「それでは、お決まりになりましたらお呼び下さい」


 そう言って帰っていくスタッフ。

 さて、それではメニューを開こ──うとした時ある事に気がついた。

 紫波雪風が、何故か目を見開いて先程戻っていったスタッフを凝視していた。


「紫波さん? どうかした?」


「ん、あ、え!? い、いえなんでもありませんわ!」


 明らかに様子がおかしくなった。

 いやまぁ、紫波雪風は年がら年中様子がおかしいと言えばおかしいのだけれども。

 なんだろう、この挙動不審感。

 まるで授業参観でお母さんが見ていて変に緊張して天パってしまった小学生みたいな?

 いや、自分で例えておきながら意味わからない例えだな。

 事態はよくわからないが、作戦は予定通りに遂行させねば──。


 ▽▲▽


 (わたくし)たちの元に、綺麗な女性店員さんがメニューとお冷を運んできた。

 どれどれとメニューを覗きこもうとした時、ふとある事に気がついて視線を上げる。

 そして、その女性店員さんとばっちり視線があった途端、彼女はなんと私に対してウィンクをしてみせた。

 瞬間、電撃が走ったような衝撃を受ける。

 そして、心の中で絶叫する。



 何してるのミオちゃぁぁぁぁぁあああん!!!?



 ──そう、その女性店員さんの正体は変装したウチの使用人(メイド)・ミオだった。

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