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百合とTSと悪役令嬢  作者: 宇奈木 ユラ
第三章 主人公の誕生日は大抵波乱。
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66 映画館にて(Ⅴ)

 遠野花鈴の表情に若干の違和感を感じたその時、上映開始のブザーが鳴る。


「楽しみだね、紫波さん」


 (わたくし)の隣で、月乃さんがこっそりとそう囁く。

 周りの迷惑にならないように小さな声で、そして耳元で聞こえたその声に、私は変な声が出そうになる。

 月乃さん、良い声すぎる。

 現在ではCVが設定されてなかったけど、この世界で聞いてみたらマジで良い声。

 他のキャラと遜色ない美声、癒しヴォイス。

 この声、前世だと声優だれかな?

 わかんないけどまぁいっか!

 なんかもう一生耳元で囁いてほしい。

 ASMR出して欲しい。

 発売したら、何万でも出すわ。

 むしろスポンサーになる。

 

 ーーっていけない、いけない。


 ちょっとトリップしてた。

 月乃さんに中身ヤバめの変態って思われるのは嫌だから、さっさとリアクション返そう。

 私もさっきの月乃さんみたく、彼女の耳元に顔を近づける。


(わたくし)も楽しみですわ」


「ッひゃん」


 ーーひゃん? 

 何故だか月乃さんが小さな悲鳴をあげた。

 彼女も自分のリアクションが予想外だったらしく、慌てて口を両手で塞いだ。

 もしかして顔近づけすぎて、息吹きかけちゃったかしら。


「ごめんなさい。息かかってしまいましたか?」


 少し顔の位置をずらして、直接息がかからないように囁く。

 少しそうやってこしょこしょ話をすると、何故か月乃さんがプルプル肩を震わせはじめた。


「どうしました? 具合悪くなりましたか?」


 心なしか顔が赤い気がする。

 体調を気遣って大丈夫かどうかを囁くと、月乃さんはぱっと手で自分の顔を隠して自分の膝に顔を埋める。


「し、紫波さん、大丈夫。大丈夫だから、ちょっと離れて」


 月乃さんはそういって、私の顔の前にもう片方の手を出して拒否の意を伝えてくる。

 私、何か気に触るようなことをしてしまったのかしら。

 そう思いながらも、そう言われたなら一旦引き下がるしかない。

 スクリーンには予告映像がもう流れはじめており、あと少しで本編がはじまりそうだ。

 ここでまた騒ぐわけにもいかない。

 取り敢えず、謝るのは上映後にすることにして、私はスクリーンに向き直った。






「ーー、あぁいうことされるとドキッとしちゃうんだけどなぁ」


 隣で月乃さんが何か呟いたみたいだけど、私には大音響のせいかちゃんと聞き取れなかった。

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