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百合とTSと悪役令嬢  作者: 宇奈木 ユラ
第三章 主人公の誕生日は大抵波乱。
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63 映画館にて(Ⅱ)

 この映画館で紫波雪風を貶める手順は至って簡単。

 ポケットの中に潜ませている睡眠薬。

 コレを紫波雪風がこれから買うドリンクにさっと混入させる。

 上映中にこれを飲んだ紫波雪風は、映画の最中に熟睡。

 無論それで映画の内容がわかるわけがなく、このあとはひとりだけ話題に置いてけぼりをくらう。

 更にはボクたちの配慮を無駄にしたとして、キノからの好感度も下がる。

 取り敢えずのジャブとしては、これ以上はないだろう。

 この作戦の際に気をつけるべきは、席取りか。

 三人で並んで取るのは確定として、出来れば紫波雪風の隣に座りたい。

 さて、ここでどう発言すべきかーー。


「あの、よろしいかしら」


 発券機前にて、このタイミングで紫波雪風が言葉を発した。


(わたくし)、出来ればおふたりの間の席に座りたいのですが」


 思ってもいないチャンスだ。

 都合がいい。

 だが、何故なのか。


「何かあるの?」


「いえ、ただそのーー隣に知らない人が座られるのがちょっと怖くて」


 キノの質問に、少しバツの悪そうな返答をする紫波雪風。

 それを聞いて、成る程とボクは納得した。

 前世が男性であった為にわからなかった女性的な理由だった。

 そうか、女性的には知らない男性とは怖いモノなのか。

 まぁ、隣が男性になるとは限らないが確率的には二分の一か。

 今から見るのが女児向けアニメやラブストーリーなら男性率は下がるのだろうけど、原作が推理小説のミステリーモノだ。

 男女比が偏りそうな作品ではない。

 だからこそ、彼女の考えは納得できる。

 ただ、これはキノも気にする問題ではないのか。

 その場合は、席を一番端の方に取って隣接する席にボクが座るしかないが。


「あ、そうなの。わかったわ、じゃあ私とリンちゃんが端で紫波さんは真ん中で取るね」


 キノの言葉を聞いたボクはすかさず発券機のパネルを操作する。

 慣れた手つきで操作し、三人分を発券する。


「何か手慣れてましたわね、映画館にはよく来られるのですか?」


「いや、今日が初めてだけど」


 嘘である。

 本当は事前に何重もリサーチ済みだ。


 結果的に席は、スクリーンを正面に右からキノ、紫波雪風、ボクの順番となった。

 ここまでは順調。

 さて、それでは次の段階に移るか。





「まだ入場まで時間あるし、飲み物買いに行こうか?」

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