表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合とTSと悪役令嬢  作者: 宇奈木 ユラ
第二章 攻略対象②宮古杖助
46/125

46 陰キャゲーマーと悪役令嬢(Ⅳ)

「あの遠野花鈴を好きになる人間がいるとは」


 それが何故か攻略対象の一角だなんて。


「なんかこんなコトワザあったよね? なんだっけ、虫が選り好みするやつ」


(たで)食う虫も好き好き、ですね」


「それだ!」


 まぁ、実際は遠野花鈴は蓼とは言い難い。

 容姿は私や月乃さんと比較しても遜色ないほど、全然良い。

 加えてコミュ強で、男女ともに交友関係が広い。

 もしかしたら、真っ当な見方をするなら月乃さんや私よりモテる要素が多いかもしれない。

 認めたくないけど。


「よし、ちょーっとタイム」


「え?」


 両手でT字を作り、杖助くんに一時的に()()()をかける。

 そして私は教室の隅に移動して、アヤメちゃんを手招きで呼び出す。


「なんですか、ユキちゃん様」


「いや、これどーしようかと思って」


 杖助くんが遠野花鈴に恋をしてる。

 この場合の()()()()()()と言うのはーー。


「どう諦めてもらうか、です?」


「そうだね、うん」


 アヤメちゃんは私の意図をしっかり理解して返してくれた。

 しかし、私はソレに対して歯切れの悪い言葉を漏らしてしまった。


「なんか、ちょっと釈然としなさそうですね」


「うん、ちょっと釈然としてない」


 乙女ゲームな世界だから、杖助くんは月乃さんと付き合うべきーーみたいな感じはある。

 けど、残念ながら此処は現代日本。

 一夫多妻でもなければ、一妻多夫という訳でも無い。

 つまり、月乃さん(ヒロイン)と結ばれるのは、()()()()()

 ひとりが選ばれれば、当然他の男の子は失恋だ。

 ーーそんなのは当たり前のことだ。

 現実(リアル)な恋愛とはそんなもの。

 逆ハーレムなんてあり得ないのだ。

 そんな選ばれない人が絶対に出る。

 本心で月乃さんを思って恋愛バトルして勝ち取ったのなら、敗れても納得するかもしれない。

 だが、今回は違う。

 彼が今好きなのは遠野花鈴であり、月乃さんじゃない。

 つまり、ここで彼に対してその感情を否定して無理矢理月乃さんの方を向かせるのは、間違いなのではなかろうか。


「杖助くんの気持ちは本物かもしれない。それなのに勝手に諦めてもらうように何かするのは、ちょっと嫌な感じがする」


「うーん、確かに」


 アヤメちゃんもそう言って、腕組みをして考えこむ。

 ここで、私たちはどうするのが正解なんだろう。

 彼の気持ちを尊重するのに一番良い方法はーー。


()()()()()()()()()()


「え!?」


 私の口からでた言葉に、アヤメちゃんは驚きの声を上げる。


「杖助くんがちゃんと遠野花鈴に告白して()()()()。そうすれば彼の気持ちを尊重した上に次の恋として月乃さんルートに軌道修正できる」


「一応聞きますが、万が一OKされたらどうします?」


 ーー。

 ーーーーーー。

 その時はその時。

 なってみてから考えよう。

 私は計画的な行動が苦手なのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ