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百合とTSと悪役令嬢  作者: 宇奈木 ユラ
第二章 攻略対象②宮古杖助
32/125

32 陰キャゲーマーと親友キャラ(Ⅰ)

「ーーはぁ」


 午前中。

 授業と授業の間の小休憩時間に、ボクは大きなため息をついた。

 先日の剣道部での練習試合中の一件。

 ボクの不注意で竹刀が飛び、危うくキノに命中するところだった。

 この事を、日曜を挟んだ今日月曜日になってもまだ引きずって落ち込んでいた。

 ボクはボク自身及びキノの幸せを願い今まで行動してきた訳なんだが、その行動で彼女自身の身が脅かされるのは本末転倒だ。

 そして、彼女はこの世界の主人公だ。

 主人公の身に何か起こった場合、どんな影響がどれだけ世界に波及するかわからない。

 せめて、正しい原作知識があれば適切なルートに彼女を導き、安全に最良の結末へ導けるのだが生憎ボクにはソレがない。

 前世で妹がプレイしているのを、何度か見ていた程度だからだ。

 更にいうなら、ボクは乙女ゲーはおろか恋愛ゲーム自体やったことがなかった。

 だから、所謂御約束(テンプレ)にも疎い。

 

 つまり、今のボクは次に進むことが怖くなってしまったのだ。

 臆病風に吹かれた、とも言っていいだろう。


「「はぁー」」


 何故か重なる溜息二重奏。

 そのもう一つの発生源は、前の席に座るキノだ。

 彼女もまた、何故か朝から悩ましげだったりする。

 理由を聞いても「なんでもない」の一点。

 今までには無かったそんな彼女の反応にも、実はちょっと傷ついたり。

 ーーボク、親友なんだけどな。


 閑話休題。


 いやでも、いつまでも落ち込んでられない。

 こうしている間も、あの悪役令嬢は我々を脅かす何かを仕掛けてくるかもしれない。

 こう言う時は、前向きな改善策を考えて実行するべきだ。

 けれど改善策考えるにしても、事前知識とか全然足りないんだよね。


「ゲームかぁ」


「リンちゃん、ゲームのことで悩んでるの?」


 ボクの何気ない呟きを耳にしたらしいキノが、そう言った。

 うーん、当たらずとも遠からず。


「まぁね。けどボクってソッチは疎いから」


「そっか。なら宮古(みやこ)くんに取り敢えず相談とかしてみたらどうかな? 宮古くんゲームなら何でも得意だし」


「ーーその手があったか!!」


 ボクはそう言ってガッと勢いよく立ち上がった。

 そうか!

 蛇の道は蛇、餅は餅屋。

 ゲームならゲーマーに聞けばいいんだ。

 それならば、このクラスには適任がいる。

 攻略対象キャラの一角にして、ボクやキノとも既に親しいあの男。


 ーー宮古(みやこ)杖助(じょうすけ)が。

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