125 犯人探し(Ⅰ)
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時は変わって、昼休み。
私と月乃さん、そして剣将くんと
杖助くんに委員長やクラスのみんなを含めた大人数で作戦会議となった。
「──いや、多くない?」
二十人強くらい集まったんだけど?
おかしいな、紫波雪風って人望ないキャラじゃなかったっけ?
予想以上にオオゴトっぽくなって、ドギマギしてしまいますわ。
いや、オオゴトっぽいじゃなくてオオゴトなんですけど。
まごう事なき、ザッツライトにオオゴトでしたわ。
まぁ、こうなっては仕方がないと私も覚悟を決めます。
机に両肘をおいて、碇ゲン○ウのポーズを取って話を進める。
「それで、まず今回の一件を整理致しましょう」
遠野花鈴が何者かに誘拐されて、その直後から私が犯人であるかのような噂が広まった。
誘拐犯と噂の発信者というのは必ずしもイコールで結べはしないのだけれど、今回ばかりは流石にタイミングが良すぎるので仮で結んでおく。
「正直、意味不明ってかンじの部分が多すぎるンだよなぁ」
後頭部をガシガシと掻きながら、剣将くんがそう言った。
「ですね、遠野さんを誘拐した動機も紫波さんへの噂をばら撒いた理由も、全く不明です」
杖助くんも口元に手を当てて、考え込みながらそう言う。
確かに側から見たらそうなんだろうけど、私視点だと筋が通る。
通るのは、筋というよりルートですが。
今起こってるのは、強引なルート補完にしか見えない。
つまり、ここで犯人がやろうとしているのがソレならば──。
「──犯人も、私と同じ転生者」
「なに、天ぷら?」
思わず口に出した言葉を聞き違えてくれる剣将くん。
良かった、彼が馬鹿で。
「にしたって噂で容疑を仕向けるにしても、紫波さんを対象にするのはミスですよね。誘拐だなんだみたいな悪い事するキャラではないですから」
杖助くん、言ってることはありがたいけど私は悪役令嬢だからね?
本来は悪い事するキャラだからね。
「まぁ、確かに誘拐うんぬんみたいな悪事はした事がな──」
その時、集まって人たちの中にいたある二人の姿が瞳に映る。
何故か先輩の筈なのにちゃっかり参加してた、モブ雄とモブ彦。
そして思い出す、あの剣道部の一件。
──やっべぇ、誘拐というか拉致監禁は前科があったわ。