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百合とTSと悪役令嬢  作者: 宇奈木 ユラ
第四章 本当のヒロイン
120/125

120 悪役令嬢(Ⅰ)

▽▲▽


「──やっぱり、あの噂は本当だったのかな?」


 月乃さんが妙に引っかかる言葉を口にした。


「あの噂?」


 え、あのちょっとやめてもらえますそういう嫌なフラグみたいなセリフ?

 オタクはフラグに敏感ですのよ。

 内心冷や汗をだらだら流しながら、彼女に詰め寄る。


「ホントに最近なんだけど、『紫波雪風が遠野花鈴を消そうとしてる』って噂が──」


「はへぇ?」


 予想外のに過激な内容で、思わず悪役令嬢らしからぬ声が出る。

 いやいや、待ってくださいませ。

 (わたくし)はそんなYAKUZAみたいな真似しませんことよ。

 気に入らない奴を排除とか、それこそ遠野花鈴じゃあるまいし。


「いやいや、私はそんなこと致しませ──」


 ──いや、そういえば悪役令嬢だったな私。

 キャラ的にはむしろ全然やりそうですわ。

 原作の方でも実力行使で月乃さん(ヒロイン)を排除しようとしたルートもあった気がする。

 どうしよう、イマイチ否定し辛い。

 私はしないけど紫波雪風はする子だったから。

 ちらっと月乃さんの顔を見る。

 その表情は、疑い半分って感じだった。


「月乃、さん」


 ──()()()()

 変な噂がたって、遠野花鈴の身にも大変なことが続け様に起こって、噂を裏付けるように私が怪しく見えるような態度を取ってしまっていて。

 それでも、()()()()

 まだちゃんと半分は信じてくれているみたいだ。

 少し、覚悟を決める。

 原作の紫波雪風は一旦置いておいて、今の私がその信頼に応えるべきだと思った。

 原作基準のルートがとかはもう捨ておこう。

 考えるのをやめてしまおう。

 どんな形であれ、目の前にいる友人を──友人()()の為に紫波雪風(あくやくれいじょう)じゃない紫波雪風(わたくし)として戦わないと。

 私は膝の上に置かれていた彼女の手を取り、強く握りしめる。

 そして、真っ直ぐにその目を見つめる。

 思えば、人の目をこんなに直で見つめるのはいつぶりだろう。

 もしかしたら、前世込みでかなり久しぶりかもしれない。

 そうして私は、彼女にお願いしたのだ。



「月乃さん、私を信じて!」

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