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百合とTSと悪役令嬢  作者: 宇奈木 ユラ
第四章 本当のヒロイン
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116 ゴテゴテの後手(Ⅰ)

「とにかく、取り敢えず学校へ! 皆さんと協力して事に当たらないと!」


 (わたくし)がそう言って立ち上がった瞬間、背後からガシッと両肩を掴まれる。


「お嬢様、ステイ」


「──わん?」


 振り返るとそこにいたのはメイド三人衆が一人、ミオちゃんであった。


「お友達が事件に巻き込まれて慌てるのはわかるけど、ちょっと落ち着いて?」


 いけない。

 いつもクールでクーラーでクーリッシュな私ともあろう悪役令嬢が、冷静さを失っていたようだ。

 ここは素数を数えて落ち着こう。

 素数は孤独な数字らしいので、勇気をもらえるらしいので。

 えーと、まず──。


「ミオちゃん、素数って何だっけ?」


「え、なんでいきなり数学の話!?」


 ホントだ、何故いきなり数学の話になったんだっけ!?

 いや、まぁいいや。


「取り敢えず落ち着いたけど?」


「ホントに、いきなり()()となるのはなんなんだろ? こっちがビックリしちゃうんだけど」


 額に手を当ててやれやれといった仕草を返すミオちゃん。

 そんな彼女がわざわざ引き留めたのは何故だろう?


「あのね、それより先にやるべき──ううん、行くべきところがあると思うの」


 行くべきところ?


「こうなってしまったら、まず最初に心配しなきゃらならないのは誘拐された遠野花鈴ちゃんだけど次に心配が必要な子は誰?」


「私?」


「真面目に」


「真面目だけど!?」


 むしろ死亡フラグびんびんな私以上に今ヤバめな人いるぅ!?

 あ、訂正。

 ちょっと心当たりが、一件あった。


「もしかして、月乃さん?」


 最近の月乃さんは、遠野花鈴に過敏になりすぎてヤンデレ一歩手m──0.25歩手間みたいな有様だった。

 これで遠野花鈴誘拐と知れれば、絶対に暴走する。

 主人公の暴走ほど悪役令嬢(サブキャラ)にとって恐ろしいモノはない。

 この世界の中心は彼女なのだ。

 中心がズレれば、世界そのものもズレてしまう。


「──それは、怖いわね」


 未来がごちゃごちゃになって、予想がつかなくなってしまう。

 自分の命運を不透明にしてしまうのは、すごく嫌だ。

 ならば、取り敢えず先にやるべきは。


「先手をうって、月乃さんの元へ!」


 ──と思うじゃない?

 普通に考えればわかりきってたことなんだけど、娘が急に帰ってこなかったなら両親はまず娘の友達に連絡を取ってみるわけで。

 まぁ、何がいいたいかというと、この時点で遠野花鈴の誘拐ニュースを知らなかったのは()()()()()()私だけだったんです。

 それがどういう結果になるかは、私はまだ全然わかってなかったのですわ。

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