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百合とTSと悪役令嬢  作者: 宇奈木 ユラ
第四章 本当のヒロイン
115/125

115 三人目(Ⅲ)

▽▲▽


「ゆ、誘拐ですの!?」


「誘拐です」


本当(マジ)ですの!?」


「マジです」


 フブキに何度確認しても答えは覆らない。

 あまりの驚きに空いた口が塞がらない(わたくし)


「数時間前に遠野花鈴のご両親から捜索願いが警察へ届けられたのを確認しております」


 それならその瞬間に伝えてほしい。

 なんで朝起きるまで待ってしまったのか、緊急事態なのだからバッチリ起こしてほしい。


「ちなみに起こしに行きましたが、お嬢様は『あと五分』と仰ったので」


「じゃあ五分後起こしなさいよ」


「その後も『あと五分』とずっと延長を続けましたので」


「ぐぅ!」


 ぐぅの音も出ない正論に押し黙ってしまう私。

 しかし、遠野花鈴が誘拐されるというのは考えうる限り最悪の事態だ。

 何故なら──。


「最低最悪のバッドエンド、全滅ルートの最初じゃない」


 『クワトロ・まりあーじゅ』の複数あるバッドエンドの中でも、本当に最低最悪の結末。

 遠野花鈴の策略によって紫波雪風(わたくし)どころか主人公の月乃さん──だけでなく()()()| ()()()()()()()が死に絶える全滅ルートというのがある。

 そのルートの入りこそが、遠野花鈴の誘拐。

 厳密には彼女の自作自演の狂言誘拐だ。

 狂言誘拐で一旦ゲームの表舞台から消えた彼女が、手段を選ばす月乃さんを滅ぼしていくという話になっている。


「いや本当、そもそもなんで乙女ゲーにこんな話仕込んでんですわよシナリオライターは頭おかしいですわ!!」


 ファンは誰もこんな展開望んでねぇですわよ!

 現にSNSで発売後大炎上かましましたわよねあのシナリオライター!!


「いつか会ったらぶん殴ってやりたいですわよ四島翼ぁぁああ!!」


 まぁ、()()()()()で彼はもうこの世には居ないのですが。


「それでお嬢様、如何いたしましょうか?」


「あぁ、ほーんと如何いたしたらよろしいんですわ?」


 ついついお嬢様言葉がめちゃくちゃになってしまう。

 この全滅ルートに入る兆候なんて全然なかったから油断してましたわ。

 ここからどうすればいいのか、私には正直皆目見当がつきませんわ。

 でも、黙って手をこまねいているのは絶対に駄目だ。

 何かしら、このルートを回避──ないしぶっ壊す方法を探さなければ。


「とにかく、取り敢えず学校へ! 皆さんと協力して事に当たらないと!」


 何故、私がこんなに焦るのか。

 その理由は単純明確である。

 そもそもこのルートで最初に犠牲になるのは、紛れもなく紫波雪風(わたくし)なのですから。

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