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百合とTSと悪役令嬢  作者: 宇奈木 ユラ
第四章 本当のヒロイン
108/125

108 ヤンデレ月乃(Ⅳ)

「あの、えーと、月乃さん?」


「うん、なに?」


 これは、どう主張すればいいのか。


『月乃さんは、なかなかトチ狂ってますことよねオホホホー!』


 ──とか言えばいいのか?

 いや絶対に違うよね、うん。

 病んでる人に病んでるって指摘は絶対にしちゃいけないって、私知ってますわ。

 アレです。

 認知症の人の発言は否定してはいけないって言うのと似た感じ。

 あれ、でもそうすると月乃さんの被害に遭っている人は救われないということに?

 いやでも、被害に遭ってるのは遠野花鈴だから──。


「むしろ、このまま放置が吉か」


「え、何の話?」


「大丈夫、こっちの話」


 黒幕悪役である遠野花鈴の犠牲って面なら全然OKじゃないかな。

 むしろラッキー?

 ──いや。

 いやいやいやいやいや!?

 全然駄目だ!

 主人公(つきのさん)のハッピーエンドとは程遠いし、それにこのままだと遠野花鈴が私と同じ異世界転生者かわからないままだ。

 ない知恵絞って打開策を考えるか。

 でも私なんてそもそも絞るほど知恵がないからなぁ。

 フブキに相談するか?

 でもフブキは学校内には干渉できないしな。

 アヤメちゃんだけじゃ、イマイチ頼りないし。

 誰かに助けを求めたい。


「月乃さん、取り敢えずその」


「うん?」


「遠野花鈴のことが好きなのはわかりましたが、過剰な愛情表現は程々に」


「え、えぇ!?」


「それではまた!」


 そう言って私は、脱兎の如く走りだしました。


「待って違うの! 私とリンちゃんはそんな関係じゃ──」


 後ろから何か聞こえた気がしたけど、よく聞き取れなかった。

 しかし取り敢えず走ってその場から脱出したは良いものの、私の思考回路はぐっちゃぐちゃだ。

 唯一原作知識がある自分がなんとかしなきゃならない状況なのに、自分じゃどーにもなりそうな気がしない。

 もうお兄ちゃん助けて欲しい。

 本当にもう、なんでお兄ちゃん居ないの!?

 そんな事考えながら走っていたら、廊下の角で誰かとぶつかりそうになった。


「きゃっ!」


「おっと、危ねェ」


 ぶつかりそうになった私を抱き止めてくれたのは、角から出てきた普代剣将だった。


「どうした紫波? ──ってちょっと泣いてるのかお前?」


 私はいつの間にか、目尻に涙を浮かべていたらしい。

 なんかもうどーにでもなれというか、藁にも縋る気持ちで、私は彼に向かって叫んだ。


「お願い、私に力を貸して!」


 ▽▲▽


 そして放課後。

 場所は剣道部が普段活動している武道館。

 そこで──。


「──さて、取り敢えず事情はわからないがお前に手を貸してくれそうな奴ら全員に声をかけてきたぞ」


 そんなことを言う普代剣将の他モブ雄とモブ彦の剣道部の三人()()()()()|。


「以前力を貸して貰ったから、今度は僕も」


 宮古杖助。


「ユキちゃん様の一大事に助けない訳ないじゃないっすか」


 アヤメちゃん。


紫波さん(クラスメイト)が困ってるなら、できる範囲で助けるよ!」


 ──私のクラスメイトの方々が数名。


 なんか、そうそうたる面子が集まってくれた。


『 ──つまり、手助けしてくれそうな登場人物キャラクターがマジでゼロ人状態でここまで来てしまったのです。』


 とか独白してたのが恥ずかしいくらい、沢山の人が助けに来てくれた。

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