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百合とTSと悪役令嬢  作者: 宇奈木 ユラ
第四章 本当のヒロイン
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107 ヤンデレ月乃(Ⅲ)

 ▽▲▽


 先日、アヤメちゃんと今後の方針を再確認しておきながら、その直後に直面した問題。

 そもそも基本設定を忘れがちになりそうではあるのだけど、紫波雪風(わたくし)は悪役令嬢である。

 本来なら親の七光で周囲からチヤホヤされて、おこぼれ狙いの取り巻きは山ほどいるが真の友達は全然居ない的なキャラクター。

 それなのに私はその在り方を変えてここまで来てしまった結果、取り巻きといえる人たちがいない。

 元来の友達も居ない。


 ──つまり、手助けしてくれそうな登場人物(キャラクター)がマジでゼロ人状態でここまで来てしまったのです。


「さて、どこからどう手を付けるべきか」


 そんな訳で昼休み。

 散々悩んで解決策が出ないので、取り敢えず適当にその辺をぶらついてみることにした。

 ジッとしててもいいアイディアは降ってこないので、何となくでも何か行動するのは大事。

 馬鹿の考え休むに似たり、だったっけ?

 どこをどう見ても私は馬鹿側の人間なので、困った時はなるべく他力本願した方が良かったりするかもしれない。


「まぁ、頼れるのがメイドたちしか居ないのは悲しいけど」


 そんな悲しい独白をしていたら、ある人物の姿を発見した。

 何を隠そう、この世界の主人公である月乃さんである。


「月乃さん、こんにちは」


「あ、紫波さん」


 私が声をかけるとこちらを振り向く月乃さん。

 ──心なしか、なんか陰が濃くありません?

 なんか、闇が溢れてるような。

 元気がない、っていうより堕ちかけ?みたいな雰囲気があった。


「あ、あの月乃さん? 体調悪かったりします?」


「ううん、全然平気」


 台詞の内容と裏腹に覇気も元気もない返事が返ってくる。

 大丈夫じゃなさそうだ。


「ところで、こんなところで何を?」


 そう、()()()()()()だ。

 彼女は女子トイレの前に突っ立った状態でいた。


「あ、うん。リンちゃんがね、トイレ行ったから帰りを待ってるねか」


「教室で待てばよろしいのでは?」


 別にここに居座る必要は無くないかな?


「ううん、駄目だよそれじゃ。リンちゃんにまた何かあっても駄目だし。 本当なら個室の中まで付いて行きたかったけど、流石に駄目だって言われちゃったし」


「まぁ、わざわざトイレの中で待ってる必要は無──ん?」


 あれ、今何て言った?


「トイレの中じゃなくて、個室?」


「うん、個室」


「個々人で用を足す為の区切られた?」


「うん、個室」


「──の中まで?」


「中まで」


 この瞬間、私は思いました。





 ──この子、やっべぇ。

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