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百合とTSと悪役令嬢  作者: 宇奈木 ユラ
第四章 本当のヒロイン
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104 ニアミス混線ミステリー(Ⅴ)

 ▽▲▽


「どーしましょうかね」


「どーしちゃった方がいいんだろーね、アヤメちゃん」


 右手を額に当てながら、(わたくし)は廊下を歩く。

 あの後源道先生に詳しい話を聞こうとしたが、彼は「プライバシーがありますので」と詳細については全く教えてくれなかった。

 しかし、くれなかった割に「もし貴女が相談されたりしたら、友人として彼女の力にはなってあげてください」とも言っていた。


「月乃さんの抱えている悩みなんて──」


「どー考えても遠野花鈴記憶喪失の件しか考えられませんね」


 ──だよね、それしかないよ。

 むしろ今の事態はソコ中心にしか回ってない説まであるよ。


「記憶喪失前の遠野花鈴には聞きたいこともあるし」


 遠野花鈴転生者疑惑だってあるのだ。

 ちゃんと確かめる為にも、是が非でも記憶蘇ってもらわないと。


「そもそも、記憶喪失ってどうすれば治るのかしら?」


「うーん? 強いショックとかですかね」


「つまりまた殴ればいいってことね」


「ユキちゃん様は鬼ですか?」


 アヤメちゃんは「なーんで頭打って記憶飛ばした人の頭をまた殴ろうとするかなー」なんて呆れ顔でため息を吐く。

 いやだって、強いショックって言ったじゃん。


「ショックって別に物理攻撃だけじゃないですよね?」


「例えば?」


「うーむ、なんかトラウマを(えぐ)るようなことをされるとか?」


「アヤメちゃんは鬼か何か?」


 心の傷を身体の傷より軽いと見てるのは、アヤメちゃんが陽キャよりだからだろうか。

 我々陰キャは、物理的な痛みよりトラウマ抉られる方が辛いぞ。

 身体の傷は治れば痛まないけど、心の傷はふとした拍子にいつまでも痛いんだからな!

 まぁ、遠野花鈴は陽キャだからそんなにトラウマないかもしれないが。

 ちなみに私は、石抱(ギザギザの上に正座して、膝上に石を乗っける拷問)一時間より一時間黒歴史ポエムノート音読される方が辛い。


「まぁとにかく、今後の方向性は一択ですね」


「だよねー」


 今後の方向性は、兎にも角にも遠野花鈴に記憶を取り戻してもらうこと!

 そして()()()()()()()を見極め、尚且つ我々三人の関係修復!!


「が、頑張るぞ!」


「そのイキっすよユキちゃん様!」





 ──この選択が後々更に関係性に響くことになるとは、この時の私たちは知るヨシもなかった。

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