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百合とTSと悪役令嬢  作者: 宇奈木 ユラ
第四章 本当のヒロイン
102/125

102 ニアミス混線ミステリー(Ⅲ)

 ▽▲▽


 ボクは顎に手を当てて考え事を続けながら、ツカツカと廊下を歩く。

 そして先程彼が言った言葉を反芻(はんすう)して呟く。


「強いて言うならお前(ボク)、強いて言うならお前(ボク)か」


 普代剣将の言葉はムカつきこそすれ、的外れな感じはしなかった。

 盲点だった、とも言える。

 ボクはボク自身を、正しくは()()()()というキャラクターの役割を案外過小評価していたのかもしれない。

 ただの友人キャラクターだから、言っても好感度確認とかに必要なだけのキャラクターだから。

 だからこそ、運命に抗う為に影響力をある程度身につけなければ。

 ──と、思っていたのだけど。

 実は案外、もう充分すぎる程の影響力(ちから)を得ていたのかもしれない。

 充分すぎて、害になるほど。

 薬の過剰摂取で、薬効が毒に変わるように。


「──くす、り?」


 ここでふと、あることに気がついた。

 何故、ボクの想定より過剰な影響力をボク自身が持ってしまったのか。


 その原因。


 いやまぁ、ボクが頑張りすぎたというのも無論あるかもしれない。

 今考えてみても、ライバー活動までは流石にやり過ぎだったかもしれない。

 それは一旦置いておくとしても、見誤っていた恐れはある。

 元から遠野花鈴のポテンシャルが、もしかしたらボクの想定より高いとしたら。

 風邪薬だと思っていたのが、とんでもない劇薬だったとしたら。

 ──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


遠野花鈴(ボク)は、本当は何者だったんだろうか?」


 こうなってしまうと、本当に前世に戻ってやり直したい。

 いっそあのゲーム、妹から借りてボクもプレイすれば良かったのに!

 こうなってしまう(TS転生)とは思ってもいなかったけども!

 もっとちゃんと妹からゲームの話を聞いていれば──。


「って、この後悔何回したのさ」


 いけない、いけない。

 感情的になって、思考が変な方向に飛びそうになり、ぶんぶんと頭を振って考えを脳みそから追い出す。

 でも、あの時も結構話聞いてあげてた筈なんだよ。

 それなのに全然覚えていないということは、本当に興味なくて聞き流していたんだな。

 どうにかして、有益な情報を思い出せないものか。


「いっそ、もう一回頭を強打して──」


「だめ!!」


 その声にはっとして振り返る。

 次の瞬間、両肩を思いっきり掴まれる。

 そして勢いよく押され、廊下の壁に背中を強打される。

 ボクにそんな凶行を行った犯人は──。


「キ、キノ」


 いかにも追い詰められて後がないような、悲壮な表情を浮かべた主人公(キノ)だった。

来週はお休み。

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