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百合とTSと悪役令嬢  作者: 宇奈木 ユラ
第四章 本当のヒロイン
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101 ニアミス混線ミステリー(Ⅱ)

「──そこには絶対に主人公(キノ)が関わってくる筈だから」


「ふーん、そうなのか? まぁ、お前が言うンならそうなンだろうよ」


 彼はそう言いながら、頭をガシガシと掻く。


「それなら尚のこと、心当たりなんてネェよ。滝沢も紫波も人から恨み買うような人種じゃねぇだろ?」


 確かに、それは最もだ。

 個人が個人から恨みを買うという事柄は、基本交友関係の広さに比例して増加する傾向がある。

 そう考えると交友関係の比較的狭いキノとほぼボッチの紫波雪風はそんな機会自体が少ない筈だ。


「だよねぇ」


「お前ならともかく」


「おい」


 反射的にツッコむ。


「まるでボクが人から恨みを買いまくる悪い子みたいな言い方じゃないか」


「──違う?」


「おい」


 ──などと言いつつも、案外的を射た発言かもしれない。

 先程自分で考察したように、人から恨みを買う可能性というのは交友関係の広さに比例する。

 なので、広く浅く多くの交友関係を結んでいるボクの場合はその可能性はなきにしもあらず。


「まぁ、何が他人の癪に触るかなんてわからないしね」


「極論、箸が転がったってキレる人はキレるからな」


 そう言って溜息を吐く普代剣将。

 何か思い当たる節があるらしい。


「前にドラッグストアで買い物したら、生理用品買うのにレジの店員が男だからとキレちらかしている中年女性がいてな。 そン時、別なレジに女性の店員いたんだからそっち行けばいいのに」


「あー」


 その話にはちょっと同意した。

 前世の話ではあるが、部活辞めた後にバイトに勤しんでいた時期があり、その時もまぁ似た経験をしたのだ。

 ケースバイケースではあるけれど、"男だから"とか"女だから"ということだけで癪に障る──障られる場合というのがあるのだ。

 他人の逆鱗とは、人によっても()()()によっても違うのだ。

 一応ボクは、人間関係の構築の際はなるべく配慮はしているが、全部カバーしきるのは到底無理な話だ。


 こういうのは本当に面倒くさく、煩わしく、難しい。


「別に他意はないけど、強いて言うならお前じゃないかなって。 あの2人を同時に巻き込む存在がいるなら」


 ──確かに。

 確かにそうではありそうだけど、なんか指摘されるとそれはそれで何かムカつくものがあるな。


「お前は隠れて悪いことしてそうだからな。案外バレて報復されるとかあるかもよ」


 普代剣将はケラケラと笑う。

 いや、ボク的にはそれは全然笑い事じゃないんだけど。

 なまじ心当たりが多すぎる。

 しかし、ここを冗談としておかないと逆に()()なと感じ、「はははは」と感情を押し殺して笑ってみる。


「結局、何が原因で人に嫌われるかわからないしね!」


「そうだ、そうだ」


「例えば、隣に女子がいるのに汗だくのまま臭い対策無しで接してる男子だって、恨み買うというか好感度下がる可能性あるよね」


「──まじ? 俺、今臭い?」


 ちょっと意趣返しにそう言ってやって、ボクは武道館を後にした。

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