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《週明けの呼び出し。》

 「ーーオマエ、バカだろ?」


 橋本 和希は目の前の男達のひとりから、そう言われた所だった。



 「…………でしたら?」と、彼は応えた。



 「…………は?」と、当然返される。何故なら“認めた”からであろう。“馬鹿なのか?”との問い掛けにそう回答されるとは思っていなかったらしい。問われ、応えた和希当人には、そう“みえ”た。






 「他に御用件は?」と和希は逆に問い掛けた。××××




 「ーーはあ?」



 「無いのでしたら、失礼したいのですが。」と、淡々と答えた。無表情で。それが当然だが相手の癇に障り捲った。







 「………………バカヤロウだな………コイツ。マジでバカ。ボコられたいワケ?ああ?」


 人相悪くとも高校生であろう男は、証明の様に着た学生服姿で、似合うか似合わないかはさておき、苛立ちを露わにした。橋本 和希、彼は呼び出しを『理不尽』として、スルーしたが、やはりなのか待ち伏せされたのだった。と、『彼()』は思って『在る』が、真相ならば違う。


 『誘導』したのだ。












 「予定が有りますので。第一、此方の都合の考慮も為さらずに一方的に為された“呼び出し”に、効力がお有りだとでも、お考えでしたか?“先輩”方。正直申し上げてそういった行為は迷惑ですので、今後は御遠慮願いますが、御理解頂け無いのでしょうから当方としましては、考え改めるつもりは御座いませんよ?」




 と、橋本は“すたすた”と歩き出した。そして、




 とっと、軽い音を取り巻きにして、気付くと囲って在た男の中のひとりの肩上(丶丶)態と(丶丶)飛び越えた。たんっと軽く難無く地に足を着け、又歩み始めた時だった。“彼”は来たのだ。




 「………………、隼人君………………どした?」


 「どした?じゃっ、無え! 何してんだっお前はっ」と。“囲まれやがってっ!”と。××××




 ×   ×   ×




 「……………御言葉ですが、隼人君…………」



 「言い訳すんな!」





 「…………。敦之君、“友”君。……………何しに“来た”の?」と。





 敦之は答えた。「隼人に“呼出され”た」と。××××




 「……………素直に来ないで。…………。友は?」



 「ん?“愛し”の“和希たん”を、愛でに。」と。××××××××××



















 「凄え“迷惑”です。友君。此方来ないで。」と、和希は返した。××××××××その横の敦之の顔は呆れて在た。×××××דぶち壊した”のは、隼人だった。





 ××××××××××




 「ーーで? 言い訳はある訳が無いだろうなあ? 御前達。」そう言ったのは、華月 陽藍で在る。



 洗練されたスーツ姿とは裏腹に、殺気と云う怒気を孕んだオーラでにこやかに笑んだ。幸いでも何でも無く、橋本 和希を呼び出した三学年の生徒達は、主に“佐木 隼人”に倒されて負傷して在たのだった。つまり、



 “友”も“和希”もそして“敦之”も。“阻止しきれ無かった”と云う事案だったのだ。和希の横の“友”が、ぼそりと言ったのを、敦之は聴いた。“和希のドジ”ーーと。××××××××




 ××××××××××








 「ーーで? まさか又“停学”にした訳じゃあ無いだろうなあ………」



 「真逆。停学明け初日だぞ? 流石に無茶過ぎて出来る訳無いだろう?」



 「……………なあ、陽藍? 流石に。和希一人に“三人”任すのは、………どうなんだよ………」




 「仕方無いだろ? 俺だってさ、友はさておき、敦之に加えて隼人(丶丶)迄暴走体質(丶丶)だとは、思わない(丶丶丶丶)だろ?」



 「……………まあ、それは“仕方無い”んだが。…………はあ。」




 そんな会話を繰り広げる“男達”集う“室内”へと、ひとり、“やって来た”者が在た。“和希”だった。






 “店内”、つまり店の扉を開け、和希は此方ーーつまり男達、“陽藍達”ーーなのだが。彼等の元へと、ゆったりと歩んで来た。慣れた足取りで。顔は相変わらずの無表情で、つまらなそうだった。彼等の領域へと辿り着いた和希はやはりつまらなそうに、言ったのだ。「呼び出さないでくれますか」と。




 ーーーーーーーー




 「“俺”の“坊や(ハニー)”は御機嫌斜めだな。」と、華月 陽藍は笑った。××××××





 「誰があんたの“ハニー(愛人)”やねん。気色悪いおっさんだな。」と、和希は言った。途端、近くの席から笑いが起きた。“陽藍君嫌われてんね”と。此の場所は。華月 陽藍“達”の、謂わば“隠れ家(溜まり場)”的(Bar)だった。何の事は無い。陽藍当人が趣味で経営する店だった。店内にはカウンターの他に、小さなステージがあり、楽器が適当に置いてあった。全部陽藍達の私物だ。飲み仲間等の音楽好きが集まり、それ等を好き勝手に演奏する、そんな(溜まり場)だった。未成年入店禁止を掲げてはいるが、とてもいい加減で。そもそも店には看板が無い。地下に位置する店内は表の唯一の扉から入らないと辿り着け無いが、その扉の入り口にそもそもの所謂“看板”が設置されていない為に、とても判り辛い。知らない者には辿り着け無い“謎の店”だった。



 未成年“入店禁止”なのも、大した理由では無い。そもそも立地が“未成年侵入不可エリア”なのだ。エリアの境界線(ライン)には当然警備員が配置され見廻りされているが、橋本 和希は咎められずに入って来た。別に彼が大人っぽく、未成年らしからぬ等の理由等では無い。エリアの“総責任者”の名に“華月 陸”と、あり、



 又“和希”は“陸”に雇われた者で在るからだ。此のエリアに勤務する者で、それ等を知らぬ者が居ない事が、単に理由だった。本来ならば仕事以外の際には咎められ、制止されねば為らぬ和希なのだが、昔から此のエリアを出入りする和希を止める者等居なかっただけだ。今日は陽藍に呼び出されたと云う正当な理由すらあった和希だったが、それすらも敢えて問われる事すら無く、此処迄辿り着いて在た。つまり、



 今“笑った”者達は皆“知って在た”のだ。×××ד茶番”だと。××××





 「和希、何か飲んでくか。」


 「未成年に勧めないでくれますか。阿呆なんすか、おっさんは。」




 「……………っ、ひどいっ」と、近場の席の男が、片腹痛そうに身悶えて在た。良く見ると涙目だった。疎らな店内の各席の客達は、その光景と大差も無かった。席に突っ伏し、声も出せずに笑い堪えて在る者迄居たのだった。××××






 「………………“先生”、方。仕事終わったんすか? こんなとこで遊んでて、大丈夫なんすか?」



 「和希、“週末”だぞ? 少し位“憂さ晴らし”させてやれって。なあ?」


 陽藍が悪巧みの様にそう言ったので在った。



 ×   ×   ×




 “そんな事より、和希君ーー”と、悪い男がそう言った。「“今週の報告”」と。“貰おうか”と。



 ーーーーーーーー








 「………………、お母さん…………“お父さん”………、いない。」


 と、“華月 海”が言ったので、呼ばれた“母”は答えたのだった。“あら、起きちゃったの?”と。××××




 ーーーー





 「…………海? どうしたの?」



 「“青”兄ちゃん…………、お父さんいない………っ」



 華月の家のリビングで、母と話して在た五男“青”は。起きてしまった弟に気付き、声を掛けた。小さな手足の海は、その手を精一杯伸ばして。兄に走り寄って来た。海が起き出した事に、同室の巧は気付かなかったのだろう。海が起き出してしまう事は。時折在る為でもあろう。そんな時海は先ず、“父の書斎”を訪れる。大概父は仕事をしているからだ。父の睡眠時間は、驚く程に少ない。二時間程だと当人が“やや寝不足だな”と言い出す程だった。三時間も取れば“十分だ”と、当人曰くーーだ。息子達は“それ”が心配だった。



 五時間も眠ると“寝過ぎた”と言い出す父が。××××とても心配だった。










 「さてと。可愛い“息子(海君)”が起きて、泣いてるといけないな。帰るか、なあ? “友”ーー」そう言った頃。“手遅れ”だった。










 「お帰り、お父さん。ーー友。和希は何だって?」と、帰宅した彼等を出迎えた“青”の腕の中で、やはり海は泣き疲れた“後”だったのだ。





 「ああ、海はやっぱり“勘”が鋭いなあ。気付いちゃったな、海。“ごめん”な。」と、父は息子を撫でた。





 それを見た友は言った。「“調査中”に呼び出すなって。」と。






 “お父さん”と友は言った。「俺が調べちゃ駄目な訳?“上手く遣る”からさ」と。父は頷かなかった。

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