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“友達”の『友達』。  作者: ※Rasp※Berry※
“プロローグ”
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“プロローグ”

 今日から高校へと入学する事と成ったその少年は心底思っていた。“くそかったりぃな”と。




 ーーーーーーーーーーーー



 似たようにも見えるのは当たり前なのが、制服である。少年はそれを着ていた。今から登校だからだ。現在朝の七時半。八時迄の門限には間に合いそうだが。“佐木さき 隼人はやと”という名のその少年は、朝から不機嫌だった。起こして貰えなかったのだ。自業自得とも云うべきそれを、彼は理不尽といった。朝食を得れなかったからだ。朝起きると家族誰も居なかったのだ。



 見捨てられた訳では無い。単に皆それぞれの都合があったからだ。両親は当然仕事へ行ったのだろうし、それは前日の内にも聞かされて在た事である。兄は既に高校を卒業し、進学はしていない。仕事の為に先立って家を出たところで、仕事仲間と同じマンションの階違いに引っ越したのだ。兄はベーシストだった。さておき、弟も在るのだが、とうに起きて朝食も身支度もすませ、登校した後だったのだ。



 つまり彼は“置いて行かれた”のだ。辛くも。




 ーーーーーーーー




 “隼人”には“親友”が、在る。二件隣に住む幼馴染。名を“美津原みつはら 敦之あつの”という、呆れる位の美男子の、典型的な“色男”だ。未だ歳十五だというのに、何人の彼女と付き合っているのやら、隼人には把握し切れない程の。とはいうが、この佐木 隼人も、負けず劣らずな“イケメン”フェイスなのであるが。“残念”な、事に、




 彼は“性格”に、問題“あり”だったのだ。友人にいわせると“頭の良い馬鹿”で、ある。良く“在る”タイプだった。





 



 ーーーーーーーーーーー



 今朝。朝起きた隼人は“違和感”を、得た。家が静かだったからだ。数分考えてから、“ああ”と気付いた。誰も居ないのだと。


 そして起き上がり“家”を出た。身支度してから“隣宅”へと向かった。父の友人の家だ。家の主は母の幼馴染でもあった。“華月”と表札の掛かったその家は、隼人にとってもうひとつの自宅のようなものだった。


 訪問理由は至ってシンプルであり、朝食を御相伴に与ろうと訪れたのだ。“いつも”の事だ。が、


 “扉”の前で彼は“彼”と、鉢合わせた。“少年”だ。



 がちゃりと開いた扉から出て来たのは、小学二年に成る此の家の息子だった。「あ、隼人はやて兄ちゃん………」と彼が口にしたように、彼は“はやて”とも呼ばれる事もあった。勿論隼人(はやと)の事である。少年の名は「………タクミ………」と、いった。




 登校用の鞄を背負った彼は隼人を邪魔そうに躱し、“何?”と言ったのだった。“遅刻するから退いて”と。“いつも”の朝の風景だった。




 ーーーーーーーーーー



 巧を見送った隼人は嫌な予感を抱きつつも、華月家へと入って行ったのだった。××××








 「………………おはよう………“おじ”さん。…………もう“皆”いねえの?」



 と、聞いた隼人ではあったが。家主“華月かげつ 陽藍ようせい”という名の、先程の巧の父親であるその男に、呆れられたのであった。“当たり前だろう?”と。




 ××××××××××




 「……………隼人…………おまえ…………今“何時”だと思ってんだ…………」



 と。“質問”ですら無かった。




 ーーーーーーーーーーーー




 華月家のリビングでは“巧”の弟『三歳児』の“おチビ”が、もぐもぐと朝食を頬張ってゆっくりと噛み砕いている所で、他の兄弟、つまり此の家の“息子達”は全員居なかった。既に“登校済”と云う訳である。故に“陽藍”が呆れても当然だったのだ。




 「“おはよ〜隼人兄ちゃん”。」ーーと“チビ”は言ったが。隼人は苦笑だけ返して席へ座ろうとして、呆れた陽藍に用意済の“おにぎり”を二つ放り投げられ、放り出されたのだった。ちゃっかりとその際に“チビ”の皿から“朝食”を摘み食いし、大泣きされて。××××××××××





 リビングでは泣いた“息子”を宥めた陽藍が「全く」と溢しながら、息子“かい”へともう一度“お代わり”宜しく、手製ウインナーを焼いてやったのであった。当然だがそれは先程隼人へ握り飯と共に持たせた弁当にも入れた“それ”と、同じ物なのだが、知らない隼人はあろう事か未だ“おチビ”の三歳児から、“頂戴した”の、ーーだった。此れが彼が“残念イケメン”と友人等に謂われる事の、所以で、在るのだが。“佐木 隼人”とはそんな事は気に留めないので在った。“防御”しなかった“チビ”が、「悪い」ので、ある。“彼”に云わせれば。








 「お父さん、隼人兄ちゃん、“酷い”よ? うっ、うっ」


 「分かった、ごめんな? 海? ほら“焼けた”よ。 熱いから“冷まそう”な。ほらーー」と。




 隼人が遅刻すれすれで道歩く頃には、華月家ではそんな会話が為されていたので在った。




 「隼人“兄ちゃん”は、『子供』だっ。っ。」と。「そうだな。ほら、海、冷めた。あ〜んだ。」と。




 「むぐっ、美味しい。流石お父さんの手作りだね。」と。

あの“隼人”君の、お話です。(※多分)よろしくお願いします。m(_ _)m

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