22話 山遊びする幼女
「ふーん、村人らしくない剣を持ってるわね。
これは魔王様に報告しなきゃ」
上空にも一体いたのに気が付く。
雑魚ばかりだったから油断して索敵が甘くなっている、反省。
飛び去るのをジャンプして追いかけて<鉄鎖捕縛>で捕まえる。
キジも鳴かずば撃たれまいものを。
声が可愛かったので期待。
『種族:魔族
種類:サキュバス
レベル:70』
そこそこレベルが高いな。
それでも雑魚レベルだけど。
きわどくセクシーな衣装を身に着けた黒い角の幼女が、鎖に絡まれて暴れている。
「きーーーっ!!
放しなさいよ、このっ!」
一瞬、視界が揺らいで浮遊感が身体を襲った。
「なに、今の?」
「このサキュバス様の魔法が効かない!?」
そっか、魔法を当てられたのか。
魔法防御もカンストだから全然効かない。
「まあ、女の子だからサキュバスの魔法は効かないよ」
「内容が男性向けってだけで、
眠らせて意識を無くさせるのに性別は関係ない!
なんなの、アンタ!?
村人じゃなくて、能力を隠しているわね」
真面目に返答を返す義理はない、それよりも気になる事がある。
鎖を操作してサキュバスを大の字に拘束して立たせる。
「くぅ、このような辱めを!
お前を八つ裂きにしてやるっ」
「まあ、あきらめてよ。
それより魔王の情報を教えてよ」
「バカが!
か弱き人間風情に教えると思ったか!!」
ですよね、教えろって言って照れながら話してくれるのはダリアちゃんぐらいだ。
じゃあいつもの調査を始めますか。
「わっ、ちょっちょちょっとやめろぉ!!」
脇腹をくすぐっただけで過剰反応。
黒い尻尾がぺちぺちと叩いてくる。
地味に痛い。
尻尾を捕まえて、珍しいので観察。
表面にうっすらと産毛が生えてるのね、なんか可愛い。
なので優しく撫でてみる。
「ひゃううぅぅっっ」
サキュバスの口から変な声が漏れた。
「気持ちいいの?」
見上げて聞くと、サキュバスは頬を紅潮させて。
「バッバカ言わないでよ!
尻尾を放してくれたらこのまま生きて逃がしてあげるわ」
捕らわれながらも、なお上から目線。
これは調査のやり甲斐がある!
尻尾を撫でながら、くすぐりポイントを探す。
「ハァハァハァ……。
わ、わかった……話すからもう止めて…………」
笑い疲れて大人しくなったので鎖を外してあげた。
地面にへたり込むサキュバス。
「わーい、じゃあ聞かせて」
「ハァハァ……私は……偵察して、
見たことを上級魔族に報告するだけ……」
「それで?」
「魔王様と直接会った事など無い。
だから話す事など――あひぃぃぃ!」
尻尾と頭の角の根元を撫でる。
「知ってる事を全部話さないから、第2ラウンド開始」
「これで全部だから、信じて……、
ひいいいぃぃんっ!」
……。
「私の心と身体はヤヨイ様のものです。
どんな恥ずかしい命令でもお与えください……///」
夕暮れで暗くなりつつある森の中で、甘えるサキュバスを抱いて座っていた。
「じゃあ本当に魔王の事は何にも知らないんだね」
「はい……。
あ、そういえば。
今は北のお城で四天王と一緒に誰かを待ってるとか」
「誰かって誰?」
「さぁ?
そういう噂を聞いただけで……あふん……///」
尻尾を撫でると身をよじる。
「もっとくすぐると、まだまだ情報が出てきそうだね」
「ホントにホントにもう無いですぅ……」
もう日も暮れそうだしこれで赦してあげるか。
私はサキュバスを抱いて立ち上がった。
「さっきからすごく良い香りがするね」
バラに似た香りが甘く麗しく魔族幼女から漂う。
「香りで夢を操作する事もできますのよ」
「なるほど。
でも香りが服に着くとちょっと困るから止めてくれる?」
「ん~ご命令に従いたいのですが、
大好きになった方の前では興奮して止まりませんの……///」
困った体質の持ち主のようなので地面に降ろす。
そして自分についてくるよう命じてジャンプ。
スライム達がいる源泉の地に降り立つ。
「「「わー、ヤヨイ様だー!!」」」
魔族幼女達が群がってきた。
「ヤヨイ様、ここは?」
「魔王軍に居づらい弱い魔族をここで囲ってるんだ」
「みんなー、良い子にしてたかなー?」
「「「はーい!」」」
「よろしい!
では今日からこの場所は『良い子の里』と名付けまーす」
「はーい!」
「ヨイコ、ワタシタチ、ヨイコ!」
「ヤヨイ様の良い子!」
「こっちは今日から仲間になるサキュバスちゃんでーす。
今日からここの先生でーす!」
「な!?
いきなりなんですか?」
突然の事にサキュバスが驚く。
「だって、この中では一番強いみたいだし。
皆の事を見守ってあげてよ」
「はぁ……私が裏切るかも、とか考えないんですか?」
「裏切るの?」
「私の心と身体はヤヨイ様のものです、裏切りません!
……一番の良い子はヤヨイ様ですね」
そうでもないよ。
仕事を与えていた方が魔王軍に帰ろうと思わないかも、とか。
一番注目される存在にしたら逃げるとすぐバレるよね、とか企んだ結果だからね。
後の事はサキュバスに任せて家に帰る。
今日は石鹸使ってないから大丈夫、なハズ。
家に入るとダリアちゃんが飛んできた。
「香水のニオイがしますね、ヤヨイちゃん」
わー、目が笑ってないダリアちゃんの笑顔が怖いよー。
サキュバスの香りが付いてたか。
「こ、香水を買ったんだ!」
「わー見せて見せて♪」
「え、えーと、ど、どこにしまったか忘れちゃったー」
「じーっ」
またダリアちゃんにジト目で睨まれる。
「べ、別にどんな匂いしてても、友達が増えてもさぁ。
ダリアちゃんが怒る必要ないよね」
「う……」
俯むいて胸の前で手を組むダリアちゃん。
「ダリアちゃん?」
「そうだね、私には関係ない事だもんね!
ヤヨイちゃんの事なんて知らないっ!!」
背を向けて階段へ向かう途中で、ダリアちゃんは足を止める。
「今日から私、ママのベッドで寝るから!」




