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21話 川遊びする幼女

「ははっバカだな、九尾狐!

 オレが助けてやろうか」


 振り向くと鋼色の尻尾と獣耳のボーイッシュ幼女。


『種族:魔族

 種類:ワーウルフ

 レベル:29』


 そして漂う獣臭。


「みんなー、今度はあの子と遊ぼうーっ!」

「「「「わーーーい!!」」」」


 ……。


「俺は負けたわけじゃないぞ、今日はちょっと調子が悪かっただけだもん……」


 笑いと抵抗に疲れてすっかり大人しくなったワーウルフとお湯の中で抱き合う。


「クフフ、ワーウルフを従わせるとは。

 なかなかやるわね」


 振り向くと足から先が蛇の幼女。

 そして泥と生臭いニオイが漂ってくる。


「今度はあの子とー!!」

「「「「「わーーーい!!」」」」」


 ……。

 …………。


 夕刻になって。


 さすがに疲れた。

 ナーガ幼女、ミイラ幼女、マーメイド幼女、ケンタウロス幼女、ジャック・オー・ランタン幼女、バンシー幼女、そしてトイレの花子さん幼女。

 沢山洗い疲れた。


 何故か山の中に人魚がいるし。

 カボチャ幼女とバンシー幼女はもうなんかノリで洗った。

 バンシー幼女には竹を咥えてもらって、叫ばないようにしている。

 ミイラ幼女は洗って綺麗になった今では、包帯ビキニの美少女になっているし。


 トイレの花子さんは元々幼女だよ!


「えーもう帰るのー?」


「つまんなーい!」


「また遊びに来るから、それまで仲良くいい子にしてるんだよー」


「「「「「はーーーい!!」」」」」


「また来てたもれ!」


「ばいばーい!」


 大きくジャンプして山を越えて帰る。




 家に入る前に<着衣洗浄><身体洗浄>の魔法をかけて、玄関を開ける。


「おかえりー。

 ……また石鹸の香りがすごいよ、ヤヨイちゃん」


「うん、汚れてたから魔法で綺麗にしたから」


「<身体洗浄>の魔法は何回もかけてもらってるから知ってるもん。

 この香りは雑貨屋さんの石鹸のだよ」


「うっ……」


「じーっ」


 ジト目のダリアちゃんは可愛いけど、先日より圧が強い。


「ヤヨイちゃん、お風呂好きだもんねー」


「うん、そうそう。

 魔族を倒すついでに、人に知られてない秘湯を見つけるんだよ」


「そこに可愛い女の子がいるんだ」


「そ、そんなのいる訳ないじゃん!

 前人未到の山の奥だよ」


「じーっ……」


 なんでこんなに石鹸の香りに過剰反応するのー!?

 女の子はよくわからない……。



【17日目】


 今日は村の幼女達が遊びに来た。


「今日は暑いねー」


 ダリアちゃんと外に出ると雲一つない空と太陽が眩しい。

 夏のような暑さじゃないけど、歩くと少し汗ばむ。


「だからさー、みんなで川に遊びに行こうよ」


 リーンちゃんが提案するとみんなが「わーい」と喜ぶ。


「えーと、水着は?」


「ミズギ? なにそれ」


 あれ、これはもしかして。


 村の近くの浅くて小さな川の河原に着くと。

 みんな服を脱いで下着姿で川に入る。


 うん、温泉では恥ずかしくて河原ではOKっていう基準がわからん。

 でも今日の太陽、グッジョブ!


 私も服を脱ぐと。


「ヤヨイちゃんの下着、変なのー」


「すごい派手ー!」


 女の子達に笑われる。

 くそう、キャラメイクの時に普通の下着にすれば良かった。

 見えないからいいだろうと、ついついしましま柄で布面積の少ないのを選んでしまうキャラメイクあるある。

 ……あれ、私だけかな?


 それから心行くまで白い布一枚のお友達とキャッキャウフフする。

 それはまさに妖精と戯れているような錯覚さえ覚える。


 妖精といえば、ダリアちゃんは?


 服を着たまま岩に腰掛けて、裸足を水につけてチャプチャプ遊んでいる。


「ダリアちゃんは入らないの?」


「うん、まだ川の水が冷たいから風邪ひいちゃうかもしれないの」


 そうか、劣悪な環境での生活が長かったから用心しないとね。



 夕刻前には風が出てきて水遊びは寒くなったので、皆は帰ることにした。


 ダリアちゃんと手を繋いで帰る。


「今日は暑かったからかなぁ……」


 ダリアちゃんが独り言。


「どうしたの?」


「あ、あのね……。

 ヤヨイちゃんとだけ手を繋ぐと手に汗をかくの。

 ごめんね、気持ち悪いよね」


 放そうとする手をしっかり捕まえる。


「私だけじゃなかったんだ!

 ヤヨイちゃんと手を繋ぐと私も手が熱くなるよ」


「じゃあ、手がベタベタになるのは、二人のせい?」


「そうだね、でもダリアちゃんの汗なら全然平気」


「……またヤヨイちゃんが変な事言ってる」


 クスクス笑うダリアちゃん。


 美少女でも手汗かくんだねー。



【18日目】


 今日も魔族の目撃情報があったので、森の見回り。

 武装の必要性を感じないのでアーマーを付けてない。

 服もダリアちゃんが昨日来ていたものだ。


 魔族の反応があった岩場に足を踏み入れると3体の巨人が現れた!


『種族:魔族

 種類:ゴーレム

 レベル:45』


「何だ、子供かよ。

 分けて食べてもおやつにもならんな」


「オジサン達は子供の姿にならないの?」


「なに言ってんだ? このガキ」


 魔族にもちゃんと怖そうな姿のもいるんだね。

 幼女魔族ばかりだったので自分の感覚がおかしくなってしまってる。


 <英雄驚嘆>の剣を一振りしたら衝撃波で3体とも崩れ去った。


「ふーん、村人らしくない剣を持ってるわね。

 これは魔王様に報告しなきゃ」

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