20話 いっぱい魔族と戦う幼女
【13日目】
「今日こそは私と遊んでもらいますわよ!
ヤヨイ!」
朝からキャシーちゃんは元気だ。
ダリアちゃんを連れて別荘へ遊びに行く。
3人で庭で遊んで。
豪華な食事をご馳走になって。
夜はパジャマパーティ。
3人とも白のシュミーズだけど。
「ねえ、前に私が倒れた夜は何を話していたの?」
「どうしてそんな事聞くの?
ヤヨイちゃん」
「だって朝になったらすごく仲良くなってたから」
「それは……言えませんわよねえ、ダリア」
ダリアちゃんに目配せするキャシーちゃん。
「はい、絶対に言いませんからキャシー様」
二人でウフフフと笑いあう。
なんか妖しくて怪しい。
前回同様キャシーちゃんの大きなベッドで、私を真ん中に挟んで並んで寝る。
左右の少女の寝顔を見比べて考える。
キャシーちゃんは超絶美人で可愛い。
でも私はダリアちゃんに惹かれている。
それはきっとダリアちゃんの純朴で優しい心も好きだから。
とかキレイ事を言ってみたけど、結局好みの問題かも。
【15日目】
キャシーちゃんと遊んで馬車で送られて帰ってきた。
二人で分担して家事をしたり畑で作業したりして過ごしていると、村長が訪ねてきた。
用件は2つ。
ダリアちゃんのお母さんは順調に快方に向かっているとのこと。
長患いだった為、まだしばらくは医者の治癒魔法が必要らしい。
もう一つはまた魔族の目撃情報があったので見回って欲しい、という依頼。
「報酬は、ダリアちゃんのお母さんの治療で手を打ってくれ」
「いいですよ、それで」
ダリアちゃんが台所に用事で席を立った時に村長に耳打ちされた。
ついでに魔王の情報は無いか聞く。
最近は魔王軍にあまり動きがないらしい。
魔王の配下の四天王を集めて一つの城で籠ってるとか。
四天王とかいるのか、お約束だけど。
動きが無いならまだ慌てることはないな。
【16日目】
村長との約束通り武装して森の見回り。
木漏れ日の揺らめく森の小道を歩いていると。
魔族の気配!
「なにヤツにゃ!?
アーマーを着ているから魔族を討ちに来たにゃ!」
太陽を背に黒い影が降り立つ。
なぜ逆光で立つかな、兵法的には利に適ってるけど。
宮本武蔵かな。
思念パネルを確認する。
『種族:魔族
種類:猫娘
レベル:16』
何となく期待しつつ、<鉄鎖捕縛>の魔法で相手を捕縛。
「にゃっ!?」
地上に落ちた魔物を見てほくそ笑む。
期待通りでした。
手足は黒猫、それ以外は猫耳のセミロング幼女。
さーて調査、調査♪
「な、なにするかにゃ!?
近寄ると噛みつくにゃーっ!!」
フーッと威嚇する猫娘。
近づくとやっぱり獣臭い。
鎖に捕まったままの子をかついで温泉の源泉へとジャンプ。
「ヤヨイ、遊ビニキタ!」
「ヤヨイ、遊ぼ、遊ぼ!」
ハーピーと共にスライムもいた。
「お、ハーピーちゃん。
ちゃんと言いつけ守ったね、えらいえらい」
頭を撫でてあげると満面の笑みで喜ぶ。
「ヤヨイ、ウレシイ!
ボクモ、ウレシイ!」
「今日はこの子と遊ぶからちょっと待っててねー」
猫娘をおろすとバッグから石鹸を出す。
アーマーを外して服を脱ぐ。
「にゃ!?
なんで服を脱いでるにゃ??」
石鹸をよーく泡立てて猫娘を温泉に入れる。
「ボクモ泡デ遊ブヨ!」
「わたしも、まぜて!」
「にゃあああ、くすぐったいにゃあああ!!」
3体の魔族とごちゃごちゃになりながら泡まみれに!
……。
「もう降参にゃ。
強引なところもステキにゃ……///」
笑いと抵抗に疲れてすっかり大人しくなった猫娘とお湯の中で抱き合う。
「猫娘ちゃんも人の近くにいると警戒されるから、
なるべくここで暮らしてね」
「わかったにゃ、ヤヨイ様。
どんな言う事でも聞くにゃ」
そう言いながら顔をペロペロ舐めてくる。
くすぐったい!
「不甲斐ないのう、猫娘。
そんな小娘に篭絡されるとはの」
凛とした声が響く。
声の方へ振り向くと。
巫女服の獣耳幼女が立っていた。
『種族:魔族
種類:九尾狐
レベル:27』
巫女服の後ろから九つのフサフサ尻尾が広がる。
「小娘よ、
そんな小物共を従えたとてわらわには敵わぬぞ」
この世界に巫女服? というツッコミは、魔族だからということで納得して。
魔族は相手のステータスとか見ないのかしら。
誤魔化しているとはいえ、魔法で見る私はレベル50なんですけど。
子供の姿だから甘く見られるのかな。
ひたひたと草履を鳴らして近づく九尾狐。
そして近づく度に強くなる、獣臭。
バッグから石鹸を2個出して宣言。
「みんな、今度はあの子と遊ぶよーっ!」
「「「わーーーい!!」」」
「面白い、わらわに勝てると思うたか小娘!」
……。
「わらわを屈服させるとは見事じゃ。
もうなんとでもするがいいぞ……///」
笑いと抵抗に疲れてすっかり大人しくなった九尾狐とお湯の中で抱き合う。
しかし魔族ってくすぐったいのに弱いのかな?
私も弱いけど。
「猫娘ちゃんも狐ちゃんも魔族軍で苛められたの?」
「そうにゃ!」
「あやつ等にはわらわの良さはわからぬのじゃ」
「二人ともこんなに可愛いのにね」
「「ヤヨイ様……///」」
そこにハスキーな声が響く。




