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02話 盗賊に捕らわれ幼女

【1日目】


 暗転から覚めると。

 檻に入れられ鎖に繋がれていた。


「――え!?」


 村人と思しき老若男女が全て鎖に繋がれて歩かされている。

 みんな慟哭を漏らしながら。


「大人はみんな奴隷として働けーい!

 子供はみんな売り飛ばしてやるーヒャーハハハアァ!」


 武装した盗賊たちが蛮刀を振ってはしゃいでいる。


 檻の中には10人ほどの少女たちが鎖に繋がれて泣きじゃくっていた。


「え、んんっ!??」


「こらーっ!!

 領主の娘である私にこんな狼藉をしてタダで済むと思わないでよ!」


 向こうに見える別の檻に捕らわれている一人の少女だけ、気丈に振舞っている。

 強い子だなぁ!


「へっへっへっへっ。

 キサマだけは使い道がある。

 領主から身代金を搾り取れるだけ取ってやるぞ!」


「お頭ーっ!

 大変ですーっ、人食い熊が暴れていますーっ!!」


 ぐおおおおおおっ!


 5メートルは越えるモンスタークマが盗賊を相手に暴れている!


「ええい、お前は半数で村人を連れていけ!

 残ったものは俺に続けぇ、

 熊を足止めして逃げる時間を稼ぐのだ!!」


 勇敢な盗賊が頭領に続いて熊に挑む。


「えええええええー!?」


 驚愕しかない光景の中で。

 目の前にポンッと音とともに小型で黄金色のファンシーな生き物が現れた!


「お初にお目にかかります、勇者様。

 獅子型ナビゲーターのダルマです」


 タテガミがあってライオンっぽいけど。

 獅子というより毛量の多い小型犬だよ!


「女神さまの計らいにより魔王の支配から遠い安全な場所に転生しました」


「いやいやいや。

 ツッコミどころしかねぇよ!」


「は?」


「この状況のどこが安全なんだ!

 こういう場合は静かな森からスタートだろがっ」


「……普段は平和で静かなアカニ村ですが。

 魔王の侵略により心が荒んだ者が増えているようです」


「ようです、じゃねえよ!

 どうすんだよ!!

 このまま可愛い俺は売られて変態オヤジに色々されたり悪役令嬢に意地悪されたりするだろうが!」


「それではチュートリアルです」


「おおーい、話聞けーっ」


 チュートリアルとか親切だなー(棒)。

 あ、もしかしてメル様はこの為にこんな状況にしたのかも。


「あ……そうですそうです。

 全てはチュートリアルパートの為」


 「あ」ってなんだ、「あ」って。

 てか、今心を読まれた!?


「<パネルオープン>と念じて<思念パネル>を出してください。

 ステータスがMAXなのを確認してください。

 次に<環境設定>から<言語>の<発声言語>のボタンを押して<日本語>から<ノキロール>に変更してください。

 同じ<言語>の<聴解言語>が<ノキロール>になっているのを確認してください」


「ちょ、ちょっと待って」


 言われた通りにするとキャラメイクで見た半透明のウィンドウが出た。

 ステータスが表示されているので確認すると。

 レベルが999、すべてのパラメーターが9999になっている。


 「知力」や「賢さ」のパラメーターは無い、「魔法攻撃力」と「魔法防御力」はあるが。

 大体のRPGだと知力と魔法は密接に関わり合っている事が多い。

 仮に「知力」があってカンストすると……神になれるな。

 女神が神を量産する筈が無いか。


 ステータス表示の下に多くのボタンが並ぶ。


 <戦闘> <生活> <教育> <子育て> <経営> <産業> <対人> <環境設定>。


 なんだこれ、市役所のホームページのメニューかよ!


 <環境設定>ボタンを押すと小パネルが現れたので<発声言語>の中の<ノキロール>を選ぶ。


「次に<対人>から<能力偽装>と<能力抑止>のボタンを押してください。

 これで他人から見れば貴方のレベルは村人レベルに見えて、

 そして誤ってビンタで山を吹き飛ばす事はありません」


「すごいな、

 能力カンストだとそんな事になるのか」


 操作するとステータスを書いた別パネルが現れた。


『職業:旅の修行者

 レベル:50』


 これが偽装された俺の能力か。


「修行者って職業じゃないし、ただの無職じゃないか?」


「これで初期設定魔法は終わりです」


 ……こいつAIかな?


「戦闘、の前にジャマなモノを取り除きましょう」


「そうだな、この鎖をなんとかしないと」


「……あのぉー……」


「うわぉ!!」


 突然横から鈴の鳴るようなか細く美しい声に話しかけられ、驚いた!


「あ、ごめんね。

 ……でもアナタは誰とお話ししてるの?」


 涙で濡れて充血した大きな目の中の、グリーンと黒のグラデーションが美しい瞳に見つめられる。

 背格好は今の俺と同じくらいの少女。

 三つ編みをした長い黒髪も服も汚れているが、その可愛さは汚れていない。

 見た目だけの印象で言うが、真面目で大人しくて読書が好きなタイプだ、間違いない!


「あー俺……」


 この姿で「俺」はないな。


「僕……」


 ボクっ娘設定は面倒だなー。

 会社では「私」を使ってるからそれでいいか。


「私はそこのダ……」


「私の姿は貴方以外の人間には見えませんよ、勇者様」


「ダ……?」


 黒髪の少女は不思議そうに涙の筋で幾重にも汚れた顔を傾げる。


 あーこんな絶望の檻の中なのに可愛い仕草しちゃってー!

 絶対助けてあげないと!


「ダー……れもいないように見えるけど、

 私にしか見えない妖精さんとお話ししてるの」


「ほんとっ、妖精さん見えるの?

 うらやましいなっ!」


 わーい、純朴で夢見る少女だー!

 最初から高レアキャラ当てたぞー!


「思念パネルの<生活>から<捕獲>を選び<緊迫解除>を押してください。

 押したら首輪と足枷に触ってください」


 AI妖精の通りにすると全ての拘束から自由になる。


「はわわわっ」


 感嘆に鉄の枷を外した俺を見て、黒髪三つ編みちゃんは驚いて後ずさる。

 自分の唇に人差し指を当てて静かにするよう伝えると、彼女は手で口を押さえる。


「よし、サクサク片付けるぞ!

 ナビを頼む、ダルマ」


 半信半疑だった魔法を実際に使えて、何でも出来る気になった。


「それでは次に戦闘にまいりましょう。

 <戦闘>から<直接攻撃>、<徒手空拳>を選んで<破壊>から<壊惨魔手>を押す」


 両手から黒いオーラが出る。

 その手で檻の鉄格子を払うと、少女達がいる台車部分を残して全てが吹き飛んだ。


 檻から飛び降りる。

 つもりだったが。

 軽くジャンプしたら5メートルぐらいまで飛び上がったので、心臓をバクバクさせながら着地。


 びっくりしたー!

 力を制御する魔法を使ってもコレかよ!!


 あっ、スカートバッサバサでしましまパンツ見せながら降りてしまった。

 なんてはしたない!

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