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15話 やっぱり二人で入りたい幼女

 朝食が済むとダリアちゃんが帰ると言い出した。


「あら、帰るならダリアお一人で帰られるといいですわ。

 私はヤヨイと遊んでいますから、何ならヤヨイだけここに一緒に住んでもよろしくてよ!」


「ヤヨイちゃんが帰る所は私の家なんです!

 キャシー様には渡しません!!」


 玄関先でにらみ合う二人の幼女。

 あれあれ、昨日は仲が良かったハズだよな。

 気絶している間に何があった?


「まあまあ、ダリアちゃんのお母さんはご病気で村長さんの所で療養していて。

 彼女一人にできないんだよ」


「まあしょうがないですわ、私にも習い事がありますし。

 ヤヨイ、いつでも遊びに来てね、今度は一人で」


「私も一緒に来ますから!」


「もし来たらメイドと一緒に働いてもらおうかしら!」


 二人の視線が激しくぶつかり火花散るのが見えるようだった。



 馬車で送ってもらってダリアちゃん家に帰ってきた。

 肩を並べて家に入る。


「キャシーさんと仲が悪くなったの?」


「え?

 夜はいっぱいお話しして仲良くなったよ」


「そうなの?」


 やっぱり女の子は時々わからん。


「それより部屋を掃除する魔法をかけてくれませんか」


「えっと、家が綺麗になってすぐだからそんなに掃除しなくても……」


 今までの反動で神経質なキレイ好きになってもらっても困る。


「疲れない程度で軽くでいいから、ダメ?」


 美少女に上目遣いで頼まれて断れるワケがない。


「わかったよ」


「ありがとう!」


 何故か手をつなぐダリアちゃん。


 部屋を周って<空間浄化>の魔法をかけていく。


「あっ」


「どうしたの?」


「<部屋清掃>の魔法が使えるようになりました!」


 わーい、とはしゃいで抱き着いてくるダリアちゃん。

 肺が甘い香りで満たされる。


 何気に彼女のレベルを<能力可視>すると、レベル18に上がっていた。


「わっ、おばさんよりレベル上がったね!」


「そうだよ、ママにいっぱい治癒魔法かけたし。

 ヤヨイちゃんみたいに強い魔法をかける人の側にいるとレベルが上がったり、

 新しい魔法を覚えたりするんだよ。

 ……ってお師匠様のところでそうやってレベル上げてないの?」


「あ、ああー、

 厳しい先生だったから何でも自分で鍛えろって、スパルタでさー」


「ふーん、大変だったんだね」


 今は嘘をつくレベルが上がっている気がする。



 昼は乾燥させるために庭や原っぱに置いてた大量の木材を集める。


 そして老執事から気になる情報を聞いたのでその対策をする。

 この村の周りに度々魔族が目撃されているらしい。

 そして結界の話。

 探すと<周辺結界>の魔法があったのでダリアちゃんの家にかけておく。


 次に木材を使って部屋の増築をした。

 そう、それは浴室!

 村長さん家のお風呂は磁器製の猫足浴槽だったが、磁器は無いし<見本登録>をしていないから<家具作成>が出来ない。


「あくまで魔王討伐までの生活の補助ですから」


 ナビが言う。

 ダルマは昨日もずっと側にいて庭やお風呂ではしゃいでいたのをずっと見ているが、特に苦言はない。

 質問すれば答えるが、チュートリアル以降指示はしてこない。

 なので無視する。


 キャシーちゃんの大きな浴室を<見本登録>していたので、縮小をかけて<部屋増築>魔法のボタンを押す。

 総木造りの浴室が出来上がった。



 夕食にて。


「この村の周りにも魔族が出たらしいから、明日は見回りにいくよ」


「……朝、私を一人に出来ないって誰か言ってませんでした?」


 ダリアちゃんは不満顔。


「怒った顔も可愛いよ!」


「そうやってすぐ誤魔化す!」


「この村のためだから」


「も~っ!」


「だから明日は村長さんの所かキャシーさんの別荘に居てね。

 一応この家に結界を張ったけどどのぐらい持つか分からないし」


「はーい……」



 夕食が終わると。

 まるで拳法の修行者のように両手に桶を持って水を運び風呂桶に注ぐ。

 漏水が無いのを確かめると、<液体沸騰>の魔法をミニマムの力でかける。

 そしてダリアちゃんをご案内。


「すごぉ~~い!

 これを魔法で作ったの?」


「うん、<身体洗浄>も私がいないと出来ないからね。

 これで毎日身体を洗えるよ!」


「うん、ありがとう」


「ということで!

 これから一緒に入ろうよ!」


「え……!!??

 ムリムリムリ無理無理無理!

 入るのは別々でっ!!」


 顔を真っ赤にしてエビのようにバックステップをして出ていく。


「え~~!?

 別荘では一緒に入ったじゃない」


「むーーりーーーーーっ!」


 ダリアちゃんは2階へ移した寝室へ逃げて行った。



【8日目】


「そんなに見られると恥ずかしいんだけど、ダリアちゃん」


「だってヤヨイちゃんすごくカッコいいんだもん!」


 今日はキャラメイクで選んだ白のワンピを着て、女神様から賜ったアーマーを装着している。


「今日一日、ここで良い子にしてるんだよ」


「うん、無理はしないでね、ヤヨイちゃん」


「大丈夫だよ、私にはお守りがあるし」


 ワンピースの内側から古い本を取り出す。

 それは今朝交換したダリアちゃんの大切な本。


「そんなのお守りにもならないよ」


「これがあればどこへ行ってもダリアちゃんと一緒だよ!」


「あ、うん、うん!

 いつでも一緒だね!!」


 村長の家の前で手を振って別れる。



 モンスター目撃情報のあった森へ入る。


「どうやって魔族を見つけよう、ダルマ?」


「<周辺結界>を薄く広く張って、<能力可視>を出しっぱなしにして下さい」


「思念パネル出しっぱなし?

 結構邪魔なんだけどな」


「この世界、ノキロールでは当たり前ですよ」


「そうなの?」


 生まれた時からこういう魔法がある世界ではそんなものかな?

 VRMMOをしていると思えばいいか。


 ダルマの言うとおりにして歩いていると、早速魔族の反応が!

 反応のある方へ走る。


 そこに待ち受けていたのは。

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